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第二章 婚前旅行編
18 日の国
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気晴らしに散歩に出かけた後、執務室に戻ると、開いた扉の向こう側でルーカスが見知らぬ人と話しているのが見えた。
(来客なんて珍しいですね)
ルーカスは人付き合いが得意な方ではないので、基本的に訪問客は少ない。近頃は陰謀を企んだギルバートや道場破りのようにやってきたローランドがいたが、これは全く友好的ではない。
それなのに、今のルーカスはいつになく穏やかな顔で話をしているではないか。
「じゃあそろそろお暇するよ」
「あぁ、気をつけろ」
「ていうか、僕らにも転移魔法使わせて欲しいんだけど。ここまで来るの大変なんだからね」
「検討しておく」
「その台詞を何回聞いたことか……あ、奥さん、お邪魔しました~」
「いえいえ」
「待て、まだ妻じゃ…………聞いてないな」
さらさらした金髪の少年は、覗いていたミリアを見つけるとにっこりとお辞儀をしてその場を辞した。どこぞの魔王様とは正反対のとても感じのいい少年だ。
いや、少年ではなく青年かもしれない。ルーカスと気安げに話していたし、何より見た目は全く当てにならないと、ミリアは身をもって知っている。
「どちら様ですか?」
「あれは記録の魔女だ。今回は私的な報告に近いものだったがな」
記録の魔女とは、死後の審判をする魔王に死者の人生の記録を伝える者たちだ。
ミリアは目を丸くした。
「まぁ、わたしてっきり、記録の魔女って言うくらいですから女の方なのかと思っていました」
「初めて記録の魔女になった者が女だったから、魔女と呼ばれるようになったんだ。それ以来慣例的に性別に関係なく記録の魔女と呼んでいる」
「なるほど。それで、あの方のご用件は? 私的な報告っておっしゃってましたよね」
ルーカスはミリアの言葉に目に見えて動揺した。視線が面白いほど泳いでいる。
手に持っていた書類を机に叩きつけ、ミリアに顔を寄せる。
好きな人の顔がぐいっと近づくと、流石に胸がきゅっとなる。
「そ、そんなことよりだな。……婚前旅行に行かないか?」
「ふふ、露骨な話題変えですけど、一回だけならそれに乗ってあげますわ」
ミリアも負けじと耳元に囁いた。
ルーカスの表情が引きつったが、優しい婚約者は気にしないことにする。
「婚前旅行、いいですね。今のところどちらへ行く予定ですか?」
「東の果ての島国、『日の国』に」
「あら! わたし、昔暇つぶしに日の国の言葉を覚えたんですよ。独自の文化が発達しているんですよね!」
「あまり開かれていない国だからな」
ミリアは文字による情報でしか知らない国に行けると知って、とても興奮していた。
たしか日の国は他国との交流をほとんど持っていないはずだが、ルーカスが行くと言うからには、何らかの伝手があるのだろう。
ルーカスは見るからにわくわくしているミリアを微笑ましげに見つめるが、少しだけ眉を下げて申し訳なさそうな表情を見せる。
「持ちかけておいて悪いんだが……仕事の予定を合わせねばならないから、実際に行くのはかなり先になりそうだ」
「構いませんよ。わたしたち、この先ずっと一緒にいるんですから、いくらでも待てます」
「……ミリア」
ルーカスはミリアの言葉がよほど嬉しかったのか、腕を伸ばして肩を抱き寄せようとしたが――。
ミリアは何かを思い出したように手を叩いた。
「思い出しました!」
「…………何をだ?」
ルーカスはミリアにばれないようにそっと伸ばした手を下ろす。その場に誰かいたなら、ルーカスの肩を落とした姿に同情を禁じ得なかっただろう。
「いえ、最近どこかで日の国の話を聞いたなぁと思ったんですよ。ギルバート様からの手紙で見たんでした」
例の躾以来、ギルバートはすっかりミリアに従順になった。
本来なら魔王に楯突いた主犯として極刑にしてもいいくらいだが、ミリアが与えた罰が非常に厳しかったことと、減刑を望む者がいたこともあり、財産をほとんど没収されたただけで済んだのだ。
「なんでも、ギルバート様の家臣に、日の国出身の方がいらっしゃるらしいですよ」
「ほう。日の国は閉鎖的なのに、珍しいな」
「現地の方なら面白い情報を持っているかもしれませんし、ちょっと聞いてみますわね」
初めてのルーカスとの旅行に心浮き立つミリアは、いそいそと手紙を書き始めた。
所変わって、アシュレイ家。
魔王に捕縛され、その婚約者に折檻されて以来、ギルバートは机に向かって政務に取り組むようになった。
(これも、ミリア様々だな)
アシュレイ家の執事、カディスは心の内で呟いた。
あの事件以前は、ギルバートが行うべき仕事を全てカディスがこなしていたため、激務に追われる日々だった。しかしそれも過去のこと――。
ぺらりとギルバートの終えた書類を確認する。
「はぁ……」
いや、もしかしたらギルバートのミスの尻拭いをしなければならない今と仕事量は変わらないかもしれない。
(だが、仕事に取り組み始めただけ進歩だ)
カディスはまるで父親のような目でギルバートを見つめた。いや、実際の父親よりもカディスの方が愛情深かった。
アシュレイ家現当主、つまりギルバートの父はクーデターの話を聞いてすぐにギルバートを切り捨てようとした。
それを止めたのが他でもないカディスだ。
幼少のみぎりからギルバートに手を焼かされたカディスは、どれだけ問題児でも、ギルバートを見捨てたくなかったのだ。
当主にも魔王にも懇願し、ギルバートを更生させることを誓った。その甲斐あってギルバートは廃嫡されずに済んだのだ。
ギルバートは以前のように昼間から酒を飲まなくなったし、節操なしに女に手を出すこともなくなった。まずまずの成果と言えるだろう。
(後は、ギルバート様がいざ暴れた時に窘めてくれるような奥方が現れれば――)
名門の出とは言え問題を起こしたギルバートに嫁ぎたい良家の女性はいないかもしれないが、カディスとしても家柄より性格を重視したいので、それは問題ではない。
カディスがギルバートの未来を計画していると、大きなため息が聞こえた。
「ギルバート様?」
目を遣ると、ギルバートは並みの女性なら胸を高鳴らせずにはいられないくらい物憂げな表情を見せていた。
「……幼女は、いいな」
カディスはすぐに書類に目を戻す。ただの発作だった。
「どうしてあの時の俺はミリア様に成長が楽しみだなんて言ったのだろう? ミリア様はあの姿こそが至上だというのに――」
ギルバートは恍惚として、何かを思い出すように目を瞑る。
この光景はもはや日常茶飯事だから、カディスも相手しても無駄だと悟っていた。
(……奥方候補は、幼い見た目でないといけないかな)
無視は可哀想になってきたので、適当に相槌を打つ。
「ミリア様は見た目が幼いだけで、幼女ではないでしょう」
「そうなんだ! だから俺は幼女もいいと思うが! 成長しても幼いままな女性が理想だ!」
(あんなに大きい胸に夢中だったのに……人の好みは変わるのだな)
ギルバートは突然立ち上がると、カディスの肩を掴み、顔をずいと寄せた。
「そこで、だ!」
「な、何でしょうか?」
「カディス、お前の妻は日の国の出だよな?」
カディスは最愛の妻のことを考え少しにやけそうになるが、ギルバートの質問の意図が分からなかった。
「そうですが……」
「あの国の者は老けにくいと聞く。お前、娘がいただろ?」
カディスは絶望した。
「うちの娘はまだ子供で……」
「今度連れて来い」
有無を言わさぬギルバートの物言いに、カディスは必死で退路を探す。
確かにギルバートの妻の身分はどうでもいいと思っていた。ギルバートは自分の子同然に大切だ。だが――。
(娘の婿にギルバート様は嫌だ!)
と、その時。誰かが扉を叩いた。
「入れ」
「失礼します。お父さま? お弁当を忘れて――」
「綾! 後にして――」
よりによって最悪のタイミングで、最愛の娘が来てしまった。
扉の向こうから顔を覗かせる娘。黒い真っ直ぐの髪がさらりと揺れる。
そして一瞬でギルバートは綾の足元に膝をついていた。足元といっても、小さい綾からしたら目線が同じくらいだ。
「俺と結婚してくれ!」
「誰がさせるか!」
敬語をかなぐり捨ててギルバートの頭を叩く。
その様子を見ていた綾は、凍えそうなほど冷たい声でギルバートに言い放った。
「気持ち悪いです」
ギルバートの目は反対に更に熱を帯びた。
完全に目をつけられたと、カディスは頭を抱えたのだった。
(来客なんて珍しいですね)
ルーカスは人付き合いが得意な方ではないので、基本的に訪問客は少ない。近頃は陰謀を企んだギルバートや道場破りのようにやってきたローランドがいたが、これは全く友好的ではない。
それなのに、今のルーカスはいつになく穏やかな顔で話をしているではないか。
「じゃあそろそろお暇するよ」
「あぁ、気をつけろ」
「ていうか、僕らにも転移魔法使わせて欲しいんだけど。ここまで来るの大変なんだからね」
「検討しておく」
「その台詞を何回聞いたことか……あ、奥さん、お邪魔しました~」
「いえいえ」
「待て、まだ妻じゃ…………聞いてないな」
さらさらした金髪の少年は、覗いていたミリアを見つけるとにっこりとお辞儀をしてその場を辞した。どこぞの魔王様とは正反対のとても感じのいい少年だ。
いや、少年ではなく青年かもしれない。ルーカスと気安げに話していたし、何より見た目は全く当てにならないと、ミリアは身をもって知っている。
「どちら様ですか?」
「あれは記録の魔女だ。今回は私的な報告に近いものだったがな」
記録の魔女とは、死後の審判をする魔王に死者の人生の記録を伝える者たちだ。
ミリアは目を丸くした。
「まぁ、わたしてっきり、記録の魔女って言うくらいですから女の方なのかと思っていました」
「初めて記録の魔女になった者が女だったから、魔女と呼ばれるようになったんだ。それ以来慣例的に性別に関係なく記録の魔女と呼んでいる」
「なるほど。それで、あの方のご用件は? 私的な報告っておっしゃってましたよね」
ルーカスはミリアの言葉に目に見えて動揺した。視線が面白いほど泳いでいる。
手に持っていた書類を机に叩きつけ、ミリアに顔を寄せる。
好きな人の顔がぐいっと近づくと、流石に胸がきゅっとなる。
「そ、そんなことよりだな。……婚前旅行に行かないか?」
「ふふ、露骨な話題変えですけど、一回だけならそれに乗ってあげますわ」
ミリアも負けじと耳元に囁いた。
ルーカスの表情が引きつったが、優しい婚約者は気にしないことにする。
「婚前旅行、いいですね。今のところどちらへ行く予定ですか?」
「東の果ての島国、『日の国』に」
「あら! わたし、昔暇つぶしに日の国の言葉を覚えたんですよ。独自の文化が発達しているんですよね!」
「あまり開かれていない国だからな」
ミリアは文字による情報でしか知らない国に行けると知って、とても興奮していた。
たしか日の国は他国との交流をほとんど持っていないはずだが、ルーカスが行くと言うからには、何らかの伝手があるのだろう。
ルーカスは見るからにわくわくしているミリアを微笑ましげに見つめるが、少しだけ眉を下げて申し訳なさそうな表情を見せる。
「持ちかけておいて悪いんだが……仕事の予定を合わせねばならないから、実際に行くのはかなり先になりそうだ」
「構いませんよ。わたしたち、この先ずっと一緒にいるんですから、いくらでも待てます」
「……ミリア」
ルーカスはミリアの言葉がよほど嬉しかったのか、腕を伸ばして肩を抱き寄せようとしたが――。
ミリアは何かを思い出したように手を叩いた。
「思い出しました!」
「…………何をだ?」
ルーカスはミリアにばれないようにそっと伸ばした手を下ろす。その場に誰かいたなら、ルーカスの肩を落とした姿に同情を禁じ得なかっただろう。
「いえ、最近どこかで日の国の話を聞いたなぁと思ったんですよ。ギルバート様からの手紙で見たんでした」
例の躾以来、ギルバートはすっかりミリアに従順になった。
本来なら魔王に楯突いた主犯として極刑にしてもいいくらいだが、ミリアが与えた罰が非常に厳しかったことと、減刑を望む者がいたこともあり、財産をほとんど没収されたただけで済んだのだ。
「なんでも、ギルバート様の家臣に、日の国出身の方がいらっしゃるらしいですよ」
「ほう。日の国は閉鎖的なのに、珍しいな」
「現地の方なら面白い情報を持っているかもしれませんし、ちょっと聞いてみますわね」
初めてのルーカスとの旅行に心浮き立つミリアは、いそいそと手紙を書き始めた。
所変わって、アシュレイ家。
魔王に捕縛され、その婚約者に折檻されて以来、ギルバートは机に向かって政務に取り組むようになった。
(これも、ミリア様々だな)
アシュレイ家の執事、カディスは心の内で呟いた。
あの事件以前は、ギルバートが行うべき仕事を全てカディスがこなしていたため、激務に追われる日々だった。しかしそれも過去のこと――。
ぺらりとギルバートの終えた書類を確認する。
「はぁ……」
いや、もしかしたらギルバートのミスの尻拭いをしなければならない今と仕事量は変わらないかもしれない。
(だが、仕事に取り組み始めただけ進歩だ)
カディスはまるで父親のような目でギルバートを見つめた。いや、実際の父親よりもカディスの方が愛情深かった。
アシュレイ家現当主、つまりギルバートの父はクーデターの話を聞いてすぐにギルバートを切り捨てようとした。
それを止めたのが他でもないカディスだ。
幼少のみぎりからギルバートに手を焼かされたカディスは、どれだけ問題児でも、ギルバートを見捨てたくなかったのだ。
当主にも魔王にも懇願し、ギルバートを更生させることを誓った。その甲斐あってギルバートは廃嫡されずに済んだのだ。
ギルバートは以前のように昼間から酒を飲まなくなったし、節操なしに女に手を出すこともなくなった。まずまずの成果と言えるだろう。
(後は、ギルバート様がいざ暴れた時に窘めてくれるような奥方が現れれば――)
名門の出とは言え問題を起こしたギルバートに嫁ぎたい良家の女性はいないかもしれないが、カディスとしても家柄より性格を重視したいので、それは問題ではない。
カディスがギルバートの未来を計画していると、大きなため息が聞こえた。
「ギルバート様?」
目を遣ると、ギルバートは並みの女性なら胸を高鳴らせずにはいられないくらい物憂げな表情を見せていた。
「……幼女は、いいな」
カディスはすぐに書類に目を戻す。ただの発作だった。
「どうしてあの時の俺はミリア様に成長が楽しみだなんて言ったのだろう? ミリア様はあの姿こそが至上だというのに――」
ギルバートは恍惚として、何かを思い出すように目を瞑る。
この光景はもはや日常茶飯事だから、カディスも相手しても無駄だと悟っていた。
(……奥方候補は、幼い見た目でないといけないかな)
無視は可哀想になってきたので、適当に相槌を打つ。
「ミリア様は見た目が幼いだけで、幼女ではないでしょう」
「そうなんだ! だから俺は幼女もいいと思うが! 成長しても幼いままな女性が理想だ!」
(あんなに大きい胸に夢中だったのに……人の好みは変わるのだな)
ギルバートは突然立ち上がると、カディスの肩を掴み、顔をずいと寄せた。
「そこで、だ!」
「な、何でしょうか?」
「カディス、お前の妻は日の国の出だよな?」
カディスは最愛の妻のことを考え少しにやけそうになるが、ギルバートの質問の意図が分からなかった。
「そうですが……」
「あの国の者は老けにくいと聞く。お前、娘がいただろ?」
カディスは絶望した。
「うちの娘はまだ子供で……」
「今度連れて来い」
有無を言わさぬギルバートの物言いに、カディスは必死で退路を探す。
確かにギルバートの妻の身分はどうでもいいと思っていた。ギルバートは自分の子同然に大切だ。だが――。
(娘の婿にギルバート様は嫌だ!)
と、その時。誰かが扉を叩いた。
「入れ」
「失礼します。お父さま? お弁当を忘れて――」
「綾! 後にして――」
よりによって最悪のタイミングで、最愛の娘が来てしまった。
扉の向こうから顔を覗かせる娘。黒い真っ直ぐの髪がさらりと揺れる。
そして一瞬でギルバートは綾の足元に膝をついていた。足元といっても、小さい綾からしたら目線が同じくらいだ。
「俺と結婚してくれ!」
「誰がさせるか!」
敬語をかなぐり捨ててギルバートの頭を叩く。
その様子を見ていた綾は、凍えそうなほど冷たい声でギルバートに言い放った。
「気持ち悪いです」
ギルバートの目は反対に更に熱を帯びた。
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