【連作ホラー】伍横町幻想 —Until the day we meet again—

至堂文斗

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最終部【伍横町幻想 ―Until the day we meet again―】

十八話 「やっぱりね」

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 目が覚めたとき、マスミは自身が先ほどまでとは別の場所に倒れていることに気付いた。
 視線の先にあるのは、星空ではなく白い天井。それだけで今いるのが屋内であることは理解出来た。

「……ここは……」

 ズキズキと痛む頭を手で押さえつつ、マスミは上体を起こす。
 硬い床に倒れていたせいか、背中や腕も痛かった。
 清潔感のあるベッドに、見舞客用のパイプ椅子。
 小さな冷蔵庫と、簡易テーブル。
 覚醒したばかりで混乱しているマスミでも、ここがどこであるのかはすぐに分かった。
 懐かしい場所。かつてこの場所を目指して、自分たちは奔走したものだ。

「三神院の病室か……」

 どうしてこんなところに移動したのか。当然ながら疑問には感じたが、降霊術は神秘なる儀式だ。
 ましてドールが計画したように、その力が増幅されたのだとしたら……霊脈のようなものが通る地点に飛ばされることもあるかもしれないと、無理矢理結論付けることにした。
 考えていても、今は仕方ないことだ。
 それより、ここには自分一人しかいないのだから、早く他のメンバーと合流すべきだろう。
 マスミはすぐに気持ちを切り替え、立ち上がった。

「よし、行こう」

 数ヶ月前まで、アキノが眠っていた病室。
 再びその場所と訣別するように、彼は扉を開け、部屋を立ち去る。
 明かり一つない、暗闇の廊下。
 深夜零時を過ぎた頃なので、歩き回っている人は勿論いないだろうが……人の気配そのものが感じられない。
 そして、壁や床に薄っすらと浮かんでいる亀裂が、マスミに儀式の成功を教えてくれる。
 この町はもう、霊空間と化しているのだ。

「……やっぱりね」

 前方から、微かに聞こえるもの。
 それは生ある者の足音でも声でもない。
 ふわり、ふわりと彷徨うように移動する、霊たち。
 降霊術の暴走により、悪意に蝕まれた悪霊たちの発する音だった。

 ――気を付けて行かないといけないな。

 ごくりと、生唾を飲む。
 一瞬の油断が、間違いなく命取りになるだろう。
 一人で飛ばされた以上、助けも期待は出来ない。
 マスミはゆっくりと深呼吸し……覚悟を決めて、悪霊蔓延る院内からの脱出を目指す。
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