【連作ホラー】伍横町幻想 —Until the day we meet again—

至堂文斗

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最終部【伍横町幻想 ―Until the day we meet again―】

二十四話 「お姉ちゃん」

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「……ん……」

 アキノが目覚めた場所は、降霊術を発動した犬飼家の前。
 周囲から仲間の姿は消えていて、彼女は自分以外のメンバーがどこかへ飛ばされたことを、何となく察知した。

「私だけ、みたいだね……」

 遠くを見やれば、悪霊たちが徘徊しているのが分かる。
 町の様子も随分変わっており、暴走の影響なのか建造物の壁や道路に亀裂が生じていたりもした。
 霊空間が持つエネルギーが、町そのものに負荷を与えているのだろうか。細かいことは不明だが、十分に気を付けなければいけないことだけは確かだ。
 ここからは、私の――私たちの出番。
 焦らずに、注意しながら役目を果たさなくては。

「……ふう」

 精神を集中させ、アキノは静かに祈りを紡ぐ。
 どうかこの言葉よ届けと、何度も念じる。
 それが如何ほどの効果をもたらすかは分からなくとも、きっと。
 姉妹の繋がりは今なお続いていると、信じて。

 ――私の声が、聞こえますか。

「……心配いらないわよ、アキノ」

 声は、現実のものとして返ってきた。
 アキノが目を開くと、そこには――会いたかった、肉親の姿があった。

「あっ……!」
「……久しぶりね」
「ん。久しぶり、アキノ」

 あの時と変わらないまま。
 大切な二人の姉が、そこに立っていた。
 凄惨な事件で命を奪われ、帰らぬ人となってしまった二人。
 その事件に乗じて、一時は自分が目を覚ますため、利用してしまった二人……。

「お姉ちゃあぁあん……!」

 久々の再会に、アキノは抑えていた感情を爆発させ、二人の元に飛び込んでいく。
 霊体である彼女らも、力を増幅させて何とかそれを受け止める。

「ちょ、ちょっと。もう……だらしないわね」
「だって――だって」
「ふふ。……私たちも、それくらい嬉しいよ、アキノ。まさか……またこっちで、こうして会うなんてね」
「うん。嬉しいよ、お姉ちゃん……」

 光井家の三姉妹。長女の陽乃ようのと次女の月乃つきの
 三神院事件のとき、アキノには二人とまともに話す時間が多く残されてはいなかった。
 三年間の空白を取り戻せるような猶予は、全然無かったのだ。
 涙を流しながら、笑顔で別れたあの日だけれど。
 アキノは常々、まだ話し足りなかったと後悔していた。
 そんな姉たちとこうして再会出来たことに、アキノは堪らなく嬉しい気持ちになったのだった。
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