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突き刺さる名札
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「ふーん‥‥‥」
とゆきは重い声を上げた。
昨夜の1時間近い、メス犬(もう奴隷と呼ぶのがめんどくさくなったから、これで統一することにした)たちの散歩はそれなりに動いていなかった身体に筋肉痛を起こした。
あの散歩用の拘束具は何気に、厄介だ。
そう、ゆきは判断した。
むりやりに両腕と両膝を拘束するあれは、血流を妨げる。
下手をすると、機能障害を起こす可能性もある。
SMとは、ある意味、命がけの趣味である。
これは何かのそれ系のサイトに書かれていた文言だが、その意味がいまはよくわかる。
あのあと、マッサージを必要としたのは。
ゆきではなく、大型犬7頭のメス犬だった。
腕や足、腰や首にしびれや麻痺がないかどうか。
そういった検査をしながら、個別に診断し、必要ならマッサージを施してやる。
「いけません、御主人様。
こういったことは奴隷の仕事ですーー」
と、メス豚にランクダウンされたリオが抗議の声を上げたから、とりあえずあんたはイスになりなさいと命じて最後まで四つん這いで過ごさせた。
「メス豚に発言権は与えてないからね」
われながら冷たい言葉を投げつけるものだなと思ったが、この関係をしばらく崩す気は、ゆきにはない。
この子の中にいる、前の御主人様。
その影が消えるまではーー
しばらくはこのままで行こう。
それがゆきの方針だった。
「ほら、さやか。
今日は全員の検診をするんだからね!
ちゃんと働きなさい!」
ここに来る前。
よくよく聞くと二十代前半。
ホストに貢いだお金を返済できなくなり、売られてきたというこのメス犬は元々、ゆきと同じ医師。
まあ、医師免許に合格しただけ。
それだけの存在だったが、それでも役には立つ。
「はい、御主人様!」
普通の女性を性奴隷に躾ける専門の部署があるという。
部署というよりは、業者、というべきか。
そこで数か月を過ごし、さやかはいまここにいる。
「まあ、使えるならなんでもいいわ」
と、いうことで。
この施設でいま管理している総勢600匹からなる、人間や亜人? と呼ばれる奴隷たちの健康管理もゆきに一任されるようになりーー
「まったく、いい迷惑よねー‥‥‥」
とぼやきながら、さやかと二人では人手が足らず。
闇医師だか、闇看護師だかよくわからない連中もあわせて医師10名前後で対応していく。
採決に、各種問診に‥‥‥
「ねー、ドワーフとかエルフとか。
えーと、あなたの種族?
ああ、バジルス。
バジルス?」
と鷹の様な翼を背に生やしたそれ以外は、人間と変わらない種族名を聞いてゆきは怪訝な顔をする。
「あなた、まさかとは思うけど。
視線で人間を石に変えたり‥‥‥とかしないわよね?」
と、伝説の幻獣を連想して聞いて見るがそんな能力はないとのこと。
それならよし、とその次に来たのは爬虫類のような、身体つきは人間だが大きな尾を持つ亜人というかなんというか。
「あなた、喉の奥に毒腺とか持ってない?」
なんとなくコモドオオトカゲを連想させるその尾の色に、嫌な予感がして尋ねるとーー
「先生、なぜご存知なのですか」
と頭を悩ませる返事が返ってくる。
「あなたねえ、それじゃ奴隷としての奉仕もできないでしょ?」
「いえ、もう毒腺はここに捕獲された後に手術でー……」
と悲しそうに言われると、返す言葉が無い。
何より、その日は12種族の亜人と呼ばれる人種(人類含む)の生態や、正常値もわからぬまま、人類用に作られた検査機器で診断をしていくのだから、誤差がでるのが正解なのか間違いなのかすらもわからない。
仕方ないから、白石を呼び出して、
「ここの私以外の医者は、どこまで熟知してるの?
この子たちについて」
と聞くしかなかった。
「おお、先生。
久しぶりだな、どこまで知ってるかって?」
うーんーー
と白石の返事はとても頼りない物だった。
「実はな、先生。
いまいる、その亜人たちは今回のハンティングで狩られてきたばかりの、新種でなーー」
ハンティング???
「奴隷ハンティング。
まあ、政府も公認してるやつだからな」
政府が公認?
「あちらの事情を知ろうにも、こっちみたいな統制された国家機構がないんだとさ」
「だからって、乱獲していいなんて法はーー
法は‥‥‥--。
人間だけ、ってことね」
「まあ、そういうことだ。
だから、そこにいる連中に知的生命体としてというか。
人類と対等の知的レベル、文化レベルにない動物としていまは扱われているのさ」
喋れるのにね、日本語。
「言葉をどうやって教えたかは聞かないけどーー」
「まあ、その辺りはこっちも教育のプロもいるからな。
調教というべきかーー」
ロクデナシどもの集まりが、まさかの異世界文化との最先端にいるなんてね。
めまいがしてきた。
「あーはいはい。
適当にやるわ‥‥‥」
そして、どうにか数値も内臓の臓器の位置も無茶苦茶な各種画像をファイリングし、分析し、それを医療用の分析専門ソフトに落とし込みーー
「あー……。
肩凝った。
ねえ、メス豚」
そう、部屋の隅に用意された大型犬用のゲージに、押し込められたリオを呼んでやる。
「はい!
御主人様!!!」
ここ、数日放置されていたから、しょげてしまい元気がないメス豚は、その一言だけで笑顔を取り戻す。
「肩揉みなさい。
出てきていいから」
呼ぶまで、そこで排泄も管理されて過ごせ。
さやかに飼育係を任せ、エサも犬用の皿から与えていた。
四つん這い以外を許されず、それまで従えていた格下の奴隷たちに排泄まで管理される日々。
それがどれほどの屈辱をリオに与えるか、わからないゆきではない。
しかし、リオに二足歩行は許していないから、さやかに首輪につけられたリードを引かれるようにして彼女はゆきの傍にやってくる。
「メス豚、四つん這いってさ。
膝ついて歩いてどうすんの?」
「あー……」
とリオの顔面が蒼白になる。
はーあ、まったく。
そんなに恐怖だったり、歓喜だったり。
忙しい子ね、本当に。
そう思ってしまう。
「ほら、早く揉んで。
もうこの書類の山。
まだ続くわねえ」
と、ふとこのリオという少女が、以前の主人の元にいた時にしていたという事務処理だの、機密書類だの。
そういったものに携わる中で身に着けた能力はどれほどのものなのか。
そこに興味が出てきた。
「ねーえ、メス豚」
「‥‥‥はい、御主人様」
「あんた、前の御主人様のところでどんな仕事してたの?
正確に端的に言ってみなさい」
リオは手を動かしながら少し考えーー
「税務や会計処理と、法律関係。
あとは、雑務的な書類整理をーー」
ふーん、とゆきは考える。
だから、機密を守ろうと廃棄処分依頼がでたのか。
「いいわ。
仕事を与えてあげる。
この書類の山。全部、まとめてみなさい。
どうせ、時間はいくらでもあるんだからーー」
二日後。
ゆきは簡単に与えた仕事をこなすリオの仕事に対して、唖然とすることになる。
「御主人様、これでよろしいでしょうか」
一流企業の秘書でもここまで精緻にまとめれるだろうかというほどの、作業効率。
資料の正確さ。
そして、各種族ごとに分けられた情報の精密度。
「参ったわね‥‥‥。
なんでこんな能力があるのに、メス豚なんてやってんのよ。この子は」
その能力に見合った場所へ。
いつかはこの子たちを実社会へと送り出したい。
まともに生きれる、普通の女性として。
まあ、それはかなり先になりそうね。
この子たちもなにかご褒美を欲しがってるしーー
さて、どんな褒美を与えたものか。
ここ数日どころか、前回の散歩からすでに一週間は経過している。
その間、各自に自慰行為をすることは禁止しているから、それなりに溜まってはいるだろう。
たまには、痛いご褒美もいいかな?
「ねえ、みき」
と、さやかの隣に立つメス犬を呼ぶ。
「はい、御主人様」
「あんた、上のショッピングモールで買い物して帰ってこれる自信ある?」
「えー‥‥‥!?」
逃亡する恐れがある奴隷を、一人で行かせようというのだろうか?
何かの処分の前触れだろうか?
みきの顔に、疑念と恐怖が浮かび上がる。
「逃げるとか、処分とか考えてないから」
「あーー」
お見通しなんですね、とみきは悟る。
「つまらないこと考えなくていいから。
御遣いはできるって聞いてるの」
「は、はい‥‥‥。
服を着る許可を頂ければーー」
うん、なら許可を上げるから。
と、ゆきは現金をみきに渡す。
「いい?
名札を買ってらっしゃい。
わたしがつけてるようなやつね?」
と、ゆきは自分の白衣に着いているネームプレートを見せてやる。
「はあー‥‥‥。名札、です、か」
何に使うのだろうかと、頭を捻りながら、白石に監視兼ボディーガード役の警備員を一人つけさせて。
ゆきは、みきが戻ってくるのを待っている。
麻酔はした方がいいかな?
でも、そのままの方が喜びそうよねーー
「イライア、リオ。
お前たちはーー」
元から着いている。
仕方ない、それ以外の部分にするか。
「戻りました、御主人様」
と、みきが言いつけたのとほぼ同じものを買ってきたのを確認すると、ゆきはさやかを呼ぶ。
「全員の、右胸を消毒なさい。
その間に、あんたたちはーー」
と、メス犬たちに名札に名前を記入するように命じる。
イライアの分はリオに任せたが、意外にもこの子は達筆だった。
「御主人様、消毒が終わりましたがー……」
とさやかが言い、ならこれも消毒して。
と名札を指差す。
それを見たメス犬たち6頭とメス豚1頭が、全員、嫌な予感を察したらしい。
「ま、まさかー……御主人様???」
と、さやかが頬を引きつらせてーー
「はい、一列に並びなさい。
麻酔はないからね‥‥‥」
各メス犬たちの右乳首にその名札を貫通させてやる。
「ほら、この程度で声だすんじゃない!
みき! 泣くんじゃない!」
と逃げることも出来ないまま、メス犬たちは苦悶の表情を浮かべて耐えていく。
「へー、なかなか貫通しないものねーー」
と、ゆきはあくまで、医療行為と思いながらするから情など持つ気はない。
イライアは乳房に貫通させーー
「さて、あとはーー
メス豚、だけね。
あれ、あんた、そっちだけピアス空いてないんだ?
へーー」
と、六頭がうめき声を上げないように耐え抜いて終わった途端、床にへたりこんだのを見て、リオの顔には恐怖が映りこんでいる。
「ほら、逃げるんじゃないわよー‥‥‥」
この時、多分、ゆきはSMで言うところの女王様。
そう呼ばれてもいい顔をしていたに違いない。
痛みにうめきながら調教を受け入れるペットを見て、まあ、これも面白いわね、と笑顔を浮かべていたのだから。
とゆきは重い声を上げた。
昨夜の1時間近い、メス犬(もう奴隷と呼ぶのがめんどくさくなったから、これで統一することにした)たちの散歩はそれなりに動いていなかった身体に筋肉痛を起こした。
あの散歩用の拘束具は何気に、厄介だ。
そう、ゆきは判断した。
むりやりに両腕と両膝を拘束するあれは、血流を妨げる。
下手をすると、機能障害を起こす可能性もある。
SMとは、ある意味、命がけの趣味である。
これは何かのそれ系のサイトに書かれていた文言だが、その意味がいまはよくわかる。
あのあと、マッサージを必要としたのは。
ゆきではなく、大型犬7頭のメス犬だった。
腕や足、腰や首にしびれや麻痺がないかどうか。
そういった検査をしながら、個別に診断し、必要ならマッサージを施してやる。
「いけません、御主人様。
こういったことは奴隷の仕事ですーー」
と、メス豚にランクダウンされたリオが抗議の声を上げたから、とりあえずあんたはイスになりなさいと命じて最後まで四つん這いで過ごさせた。
「メス豚に発言権は与えてないからね」
われながら冷たい言葉を投げつけるものだなと思ったが、この関係をしばらく崩す気は、ゆきにはない。
この子の中にいる、前の御主人様。
その影が消えるまではーー
しばらくはこのままで行こう。
それがゆきの方針だった。
「ほら、さやか。
今日は全員の検診をするんだからね!
ちゃんと働きなさい!」
ここに来る前。
よくよく聞くと二十代前半。
ホストに貢いだお金を返済できなくなり、売られてきたというこのメス犬は元々、ゆきと同じ医師。
まあ、医師免許に合格しただけ。
それだけの存在だったが、それでも役には立つ。
「はい、御主人様!」
普通の女性を性奴隷に躾ける専門の部署があるという。
部署というよりは、業者、というべきか。
そこで数か月を過ごし、さやかはいまここにいる。
「まあ、使えるならなんでもいいわ」
と、いうことで。
この施設でいま管理している総勢600匹からなる、人間や亜人? と呼ばれる奴隷たちの健康管理もゆきに一任されるようになりーー
「まったく、いい迷惑よねー‥‥‥」
とぼやきながら、さやかと二人では人手が足らず。
闇医師だか、闇看護師だかよくわからない連中もあわせて医師10名前後で対応していく。
採決に、各種問診に‥‥‥
「ねー、ドワーフとかエルフとか。
えーと、あなたの種族?
ああ、バジルス。
バジルス?」
と鷹の様な翼を背に生やしたそれ以外は、人間と変わらない種族名を聞いてゆきは怪訝な顔をする。
「あなた、まさかとは思うけど。
視線で人間を石に変えたり‥‥‥とかしないわよね?」
と、伝説の幻獣を連想して聞いて見るがそんな能力はないとのこと。
それならよし、とその次に来たのは爬虫類のような、身体つきは人間だが大きな尾を持つ亜人というかなんというか。
「あなた、喉の奥に毒腺とか持ってない?」
なんとなくコモドオオトカゲを連想させるその尾の色に、嫌な予感がして尋ねるとーー
「先生、なぜご存知なのですか」
と頭を悩ませる返事が返ってくる。
「あなたねえ、それじゃ奴隷としての奉仕もできないでしょ?」
「いえ、もう毒腺はここに捕獲された後に手術でー……」
と悲しそうに言われると、返す言葉が無い。
何より、その日は12種族の亜人と呼ばれる人種(人類含む)の生態や、正常値もわからぬまま、人類用に作られた検査機器で診断をしていくのだから、誤差がでるのが正解なのか間違いなのかすらもわからない。
仕方ないから、白石を呼び出して、
「ここの私以外の医者は、どこまで熟知してるの?
この子たちについて」
と聞くしかなかった。
「おお、先生。
久しぶりだな、どこまで知ってるかって?」
うーんーー
と白石の返事はとても頼りない物だった。
「実はな、先生。
いまいる、その亜人たちは今回のハンティングで狩られてきたばかりの、新種でなーー」
ハンティング???
「奴隷ハンティング。
まあ、政府も公認してるやつだからな」
政府が公認?
「あちらの事情を知ろうにも、こっちみたいな統制された国家機構がないんだとさ」
「だからって、乱獲していいなんて法はーー
法は‥‥‥--。
人間だけ、ってことね」
「まあ、そういうことだ。
だから、そこにいる連中に知的生命体としてというか。
人類と対等の知的レベル、文化レベルにない動物としていまは扱われているのさ」
喋れるのにね、日本語。
「言葉をどうやって教えたかは聞かないけどーー」
「まあ、その辺りはこっちも教育のプロもいるからな。
調教というべきかーー」
ロクデナシどもの集まりが、まさかの異世界文化との最先端にいるなんてね。
めまいがしてきた。
「あーはいはい。
適当にやるわ‥‥‥」
そして、どうにか数値も内臓の臓器の位置も無茶苦茶な各種画像をファイリングし、分析し、それを医療用の分析専門ソフトに落とし込みーー
「あー……。
肩凝った。
ねえ、メス豚」
そう、部屋の隅に用意された大型犬用のゲージに、押し込められたリオを呼んでやる。
「はい!
御主人様!!!」
ここ、数日放置されていたから、しょげてしまい元気がないメス豚は、その一言だけで笑顔を取り戻す。
「肩揉みなさい。
出てきていいから」
呼ぶまで、そこで排泄も管理されて過ごせ。
さやかに飼育係を任せ、エサも犬用の皿から与えていた。
四つん這い以外を許されず、それまで従えていた格下の奴隷たちに排泄まで管理される日々。
それがどれほどの屈辱をリオに与えるか、わからないゆきではない。
しかし、リオに二足歩行は許していないから、さやかに首輪につけられたリードを引かれるようにして彼女はゆきの傍にやってくる。
「メス豚、四つん這いってさ。
膝ついて歩いてどうすんの?」
「あー……」
とリオの顔面が蒼白になる。
はーあ、まったく。
そんなに恐怖だったり、歓喜だったり。
忙しい子ね、本当に。
そう思ってしまう。
「ほら、早く揉んで。
もうこの書類の山。
まだ続くわねえ」
と、ふとこのリオという少女が、以前の主人の元にいた時にしていたという事務処理だの、機密書類だの。
そういったものに携わる中で身に着けた能力はどれほどのものなのか。
そこに興味が出てきた。
「ねーえ、メス豚」
「‥‥‥はい、御主人様」
「あんた、前の御主人様のところでどんな仕事してたの?
正確に端的に言ってみなさい」
リオは手を動かしながら少し考えーー
「税務や会計処理と、法律関係。
あとは、雑務的な書類整理をーー」
ふーん、とゆきは考える。
だから、機密を守ろうと廃棄処分依頼がでたのか。
「いいわ。
仕事を与えてあげる。
この書類の山。全部、まとめてみなさい。
どうせ、時間はいくらでもあるんだからーー」
二日後。
ゆきは簡単に与えた仕事をこなすリオの仕事に対して、唖然とすることになる。
「御主人様、これでよろしいでしょうか」
一流企業の秘書でもここまで精緻にまとめれるだろうかというほどの、作業効率。
資料の正確さ。
そして、各種族ごとに分けられた情報の精密度。
「参ったわね‥‥‥。
なんでこんな能力があるのに、メス豚なんてやってんのよ。この子は」
その能力に見合った場所へ。
いつかはこの子たちを実社会へと送り出したい。
まともに生きれる、普通の女性として。
まあ、それはかなり先になりそうね。
この子たちもなにかご褒美を欲しがってるしーー
さて、どんな褒美を与えたものか。
ここ数日どころか、前回の散歩からすでに一週間は経過している。
その間、各自に自慰行為をすることは禁止しているから、それなりに溜まってはいるだろう。
たまには、痛いご褒美もいいかな?
「ねえ、みき」
と、さやかの隣に立つメス犬を呼ぶ。
「はい、御主人様」
「あんた、上のショッピングモールで買い物して帰ってこれる自信ある?」
「えー‥‥‥!?」
逃亡する恐れがある奴隷を、一人で行かせようというのだろうか?
何かの処分の前触れだろうか?
みきの顔に、疑念と恐怖が浮かび上がる。
「逃げるとか、処分とか考えてないから」
「あーー」
お見通しなんですね、とみきは悟る。
「つまらないこと考えなくていいから。
御遣いはできるって聞いてるの」
「は、はい‥‥‥。
服を着る許可を頂ければーー」
うん、なら許可を上げるから。
と、ゆきは現金をみきに渡す。
「いい?
名札を買ってらっしゃい。
わたしがつけてるようなやつね?」
と、ゆきは自分の白衣に着いているネームプレートを見せてやる。
「はあー‥‥‥。名札、です、か」
何に使うのだろうかと、頭を捻りながら、白石に監視兼ボディーガード役の警備員を一人つけさせて。
ゆきは、みきが戻ってくるのを待っている。
麻酔はした方がいいかな?
でも、そのままの方が喜びそうよねーー
「イライア、リオ。
お前たちはーー」
元から着いている。
仕方ない、それ以外の部分にするか。
「戻りました、御主人様」
と、みきが言いつけたのとほぼ同じものを買ってきたのを確認すると、ゆきはさやかを呼ぶ。
「全員の、右胸を消毒なさい。
その間に、あんたたちはーー」
と、メス犬たちに名札に名前を記入するように命じる。
イライアの分はリオに任せたが、意外にもこの子は達筆だった。
「御主人様、消毒が終わりましたがー……」
とさやかが言い、ならこれも消毒して。
と名札を指差す。
それを見たメス犬たち6頭とメス豚1頭が、全員、嫌な予感を察したらしい。
「ま、まさかー……御主人様???」
と、さやかが頬を引きつらせてーー
「はい、一列に並びなさい。
麻酔はないからね‥‥‥」
各メス犬たちの右乳首にその名札を貫通させてやる。
「ほら、この程度で声だすんじゃない!
みき! 泣くんじゃない!」
と逃げることも出来ないまま、メス犬たちは苦悶の表情を浮かべて耐えていく。
「へー、なかなか貫通しないものねーー」
と、ゆきはあくまで、医療行為と思いながらするから情など持つ気はない。
イライアは乳房に貫通させーー
「さて、あとはーー
メス豚、だけね。
あれ、あんた、そっちだけピアス空いてないんだ?
へーー」
と、六頭がうめき声を上げないように耐え抜いて終わった途端、床にへたりこんだのを見て、リオの顔には恐怖が映りこんでいる。
「ほら、逃げるんじゃないわよー‥‥‥」
この時、多分、ゆきはSMで言うところの女王様。
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