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星ふくろう

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後継者の指名

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「なに、見てるの?」
「すいません……」
 よいしょ、とゆきはリオを床に降ろす。
「え、御主人様??」
 機嫌を損ねたのかと、リオは涙を流しそうになる。
「えーと、あんた、名前」
 仮面の男に問いかける。
「ダイヤ、そう呼ばれております、ロード」
「ふーん、トランプ、ね。
 まあ、LAでも似たようなもんだったし。
 これ、あたしのヘッジにするから。それなりにこれからは扱ってね?」
「ロード、本気ですか?
 実子でもない者を‥‥‥!?」
 ヘッジという意味がそれほどの驚きを与える理由がその場にいる誰にも理解できない。
 このダイヤ以外には。
「どうせロードなんて呼び方するんだから、まだあたしの席はあるんでしょ?
 あの馬鹿。消せって言ったのに。
 本気よ、その内、あんたの上にいくかもね?」
「既に上にいらしていますよ。
 その宣言の時点から‥‥‥スターリム以上ではありませんか。
 それほどまでにお気に入りに?」
 ゆきはしゃがみ込むと、リオを抱きしめてやる。
「そうよ、可愛いの。
 娘みたいにね。リオ」
「はい、御主人様」
 まだ、御主人様ーーまあ、いいか。
 その内、話をしよう。
 そうゆきは考えた。
「はい、これ。
 あんたがこの豚どもに礼儀を教えてやんなさい。
 あとーー気に入ったの何頭か連れてきていいわ。
 管理できる範囲でね。あのバカJKコンビはそろそろ処分かな。
 先に行くわよ、選んで連れてらっしゃい。
 ミスターダイヤ、この子にもっと良い服と、IDをね。
 部屋はーーあたしのとこでいいわ。
 じゃあ、リオ。いいのがいれば連れてくるのよ」
「は、はい……」
 ゆきはその場で同じ姿勢の、リオより数歳しか前後しない豚たちに宣言する。
「ほらーあんたたちもいつ処分されるかわかんないんでしょ?
 いましかないチャンス、必死に命かけたらどう」
 、と。
 全員がその意味を理解したのか、途端、場の雰囲気が変わる。
 ゆきが去ったあと、リオは途方にくれていた。
 どうすればいいのか、と。
 ダイヤはリオの前までやってくる。
 少し前までなら、上司だった存在だ。
 リオは慌ててひれ伏そうとした。
 しかし、それをダイヤが止める。
「どうぞ、お嬢様。
 お好きな商品をお選びください」
「で、でも……ダイヤ様」
 彼は静かに首を振る。
「いま、ロードはヘッジにと。
 あれは、後継者。そういう意味です、ようこそ、特権階級の最上位へ。
 さあ、もう奴隷ではありません。
 ご自由にお選びください。好きに処分もできます。
 さあ……」
 うやうやしく頭を下げて彼は告げた。
「後継者、リオが?
 特権階級の最上位?
 ゆき様はいったい??」
「その問いにはわたしの身分ではお答えできません。
 どうか、主より直接。
 まだ、死にたくはありませんので」
 そして彼は、かつて部下だった奴隷の少女にそっとささやいてやる。
「自由になったと。それ以上のものを下さったのだ。
 お前の、死のうとしたあの忠義に心を砕かれたことを生涯感謝して尽くせ。
 おめでとう。さあ、上にあがりなさい。ロードにまで昇りつめなさい。
 それがお前の恩返しになる」
「でも、ロードって‥‥‥」
「その意味は、御主人様に直接、聞いてください。
 私ではお答えできません」
 では、商品をーー
 そう促され、リオは初めての奴隷買いをすることになった。




「へーえ……イライア、あんた頑張ったわね?
 寝起きで眠そうなエルフのメス犬に声をかけてやると、嬉しそうに股を濡らしていた。
「わかりやすい。
 あれ、あのバカJKコンビは?」
「多分、リオ様の調教が最近その‥‥‥」
 さやかがまだ寝ています、そう報告をした。
「寝てる?
 なに、そんなに苛烈なことしてんの、あの子?」
「そろそろ、両腕が入る、かとーー」
「その来ないのではなくて、来れないのです、御主人様」
 みきが横で補足した。
 来れない?
「案内しなさい」
「その、あまり見ると気持ちが‥‥‥」
「いいからーー」
「はいっ」
 その現場を見てゆきは絶句した。
「リオの復讐心は相当なものだったみたいね。
 もう何日、こうやってるの?」
「そろそろ、一週間、かと。 
 排泄物と血の処理がまだ。輸血だけはしていますので、まだ生きているかと‥‥‥」
「跡が残らないように言わなかった?」
 それはーーとみきがイライアを見る。
「死んでいない、つまりまだ生きているうちでしたらイライアが何度でも戻せますので‥‥‥」
 そこにいたのは抵抗できないように縛り上げられ、天井からつるされたりさとさやか。
「でもねー、これ感染症の疑いが。
 さやか、止めなさいよ」
「すいません、御主人様。
 見ているだけでそのーー」
 声かけれなくなったか。
 まあ、そうだろうなあ、そうゆきは思った。
「これ、拷問より人体実験だよ、さやか?
 あーあ、りさは頭蓋骨、これ麻酔なしで上半分開けたの?
 好きなだけ、針指してるし。まあ、人体の構造知るにはいいけど。
 さやかは、こっちははさみで腹部切られてる。
 リオもえぐいなあ。内臓の死なないとこに電極指して、はあ。
 これは相当、冷酷にやったわねー。この部屋防音だったっけ?
 悲鳴なんて聞こえてこなかったけど」
「それは・・・・・・御主人様が御不在の際に。
 楽しまれていたようでーー」
「あー……これからは連れて帰るわ。
 イライア、二人をまともなように治すよりは、時間戻した方が早いか。
 さやか、みき。
 あんたたち、外に出てなさい」
 二匹を追い出して、ゆきは部屋に鍵をかける。
「あの、御主人様?
 わたし、お仕置きです、か?」
 イライアが罰を受けるのかと恐怖に怯えていた。
「は?
 あんたがこれまでやっても治せますってそそのかしたの?」
 イライアは真っ青になって首を振る。
「なら、そこで見てたらいいじゃない」
「でも、治すのはわたしでしか‥‥‥?
 時間を戻すとは??」
 ゆきは吊られたりさとさおりのロープを適当にほどいた。
 脳髄と内臓が床に散らばる。
 そうねえ、呟きながらなにかを思案する主人よりも、目の前の光景にエルフは気を失いそうだった。
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