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星ふくろう

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人間らしさと愛情

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「あのねーリオ。
 なんでこんなの買ってきたの‥‥‥」
 メス犬二頭。
 リオより年下の双子の少女たち、そしてーー
「先生、バカってのは‥‥‥」
 あの頭の悪い黒服がいた。
「その、ダイヤ様が‥‥‥」
 目の前で銃口を突き付けたのを見て、慌ててリオが止めたのだ。
 そうしたらーー
「買わされた、と?」
「‥‥‥はい」
 あーあ、あのジジイ。
 恩を作りやがったわねー。まあ、頭が悪いよりは知らないから判断できてないだけ、みたいだし。
 バカはそもそも部下にはもたないジジイだもん。
 腕は立つはず。後はーー
「うるさいわねー、あんたは命助けられてまだ文句言うの?」
「それは、いえ、ありません」
 ようやく立場を自覚したのかまともな対応に戻る。
「一生、リオの付き人しなさいよ。
 あれ、もしかして……」
 そういい、サングラスを外してみる。
 まだ若い。二十手前。ダイヤに幼少時から仕込まれたような印象を受ける。
 そしてーー
「あんたはもういいから。あたしが誰かダイヤに聞いてきなさい。
 許可されたって言えばいいわ。ほら、行け!」
 さっさと黒服を追い出すと、ゆきはリオを手招きする。
「ねーリオ。
 男の趣味は‥‥‥もう少し、ね?
 ダメ男が好きなの?」
 あーだめだ。
 顔が赤い。こんなに純粋だったか。
「あんた、まさか関係とかもうあったりーー」
 あ、顔は俯いてる。
 あるんだ。
「前の御主人様への愛はどこに行ったのよ。リオ」
 本当にこの子で良かったのか、ゆきは一気に不安になった。
「違うんです、御主人様」
 リオは必死に弁明しようとする。
 もういい、そう打ち切っても良かったが。
「何が違うの?」
「リオが最初に調教された時に、一緒に指導されて‥‥‥初めての相手が、その。
 その後は、調教が終わった後は‥‥‥以前の御主人様だけでした」
「なんだ。秘密の恋愛とか裏切りしたのかと誤解しそうになったわよ。
 向こうは知ってるの?」
 リオは首を振る。
「あの時は男性側は目隠しされてましたから‥‥‥」
「そう。ならいいけど。
 もし、恋人にするならちゃんと育てなさいよ?
 夫にふさわしい相手に。あたしが認めるように」
「へ?
 それはーーはい‥‥‥」
「はい、じゃないわよ。
 なんか娘を取られた親の気分だわ。まあ、いいけど。 
 子供はまだ駄目だからね?」
「セックスも、だめ、ですか?
 リオが買ったんですけど」
「だめ。
 あんたはあたしのもの。
 まだ早い。
 しばらくはダイヤに鍛えさせるわ。
 数年は会えないと覚悟しなさい」
「そんなーー」
 馬鹿ねえ、この子。
 同じ建物の中にいるんだからうまくやりなさいよ。
 そうゆきは思うが、そんな知恵を回せば死が待っている。
 リオはそう判断しているのだろう。
 その可能性もあるな、そう考えた。
「会う時はあたしに言いなさい。
 それと、身体を合わすだけが愛じゃないの。
 本当に、奴隷なんだから。あ‥‥‥奴隷、か」
 泣きそうな娘代わりの奴隷を見てため息をつく、ゆき。
「ねえ、リオ。
 その身体、本当に好きな相手に見せたいの?
 女として」
「それは・・・・・・綺麗な身体を見せたいです。
 リオがもし、普通の女の子なら。そう、思うと思います‥‥‥」
 ようやく本音が出たか。
 よしよし、と頭を撫でてやる。
「なら、イライアと一緒に努力して、綺麗な元の身体になりなさい。
 それまでは、デートだけなら許してあげる」
「外に出ても良いんですか!?」
「ただし、あたし同伴ね?」
「えっ……」
 なんか傷つくなあ、その反応。
「返事は?」
「はい、御主人様‥‥‥」
 むくれてる。人間らしくなってきた。
「ああ、それと。
 あいつら、あれ。
 もとに戻したけど、あれはだめよ。やり過ぎ。
 ねえ、バカJKコンビ」
 ゆきが床に這いつくばらせている二匹に衝撃が走る。
 相当、いや、心の底まで恐怖を植え付けることには成功したらしい。
「すいません、やってたら楽しくて」
「あんたが怖いわよ、リオ。
 さやかにりさ。人間の肉って美味しいらしいわね?
 次になにかやらかしたら、お互いに食べさせ合うからね。わかった?」
 二匹からは声がでない。
 リオよりゆきが怖い。そう思うリオがそこにいた。
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