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エースとハートの女王
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月に一度の恒例と化した数百人にのぼる奴隷たちの健康診断。
それをはい次ーとこなしながらゆきとさやかは、他の部署と連携してそれをこなしていく。
その中にはイライアみたいなエルフやレネとラナみたいな竜族もいて、他にも猫耳、犬の尾、アライグマみたいな‥‥‥亜人たちも様々にいた。
その光景を上の階から見下ろす人物が数名。
警備を担当するダイヤや白石、そしてーー
「こんなとこにいるとはなあ。
いつからだ?」
赤い髪に緑の瞳の大柄の青年は白石に問いかけた。
外人に見えるのに、流暢な日本語で聞かれて白石は戸惑ってしまう。
「もう、半年ほどです。
‥‥‥エース」
「四人いるうちの三番目だけどな。
まあ、いい。ハートの女王がまさかなあ。
空位を埋める存在がいなかった」
「いなかった?
残していたのでは?」
「あー‥‥‥白石か?
沈黙は美徳だ。この国の格言?
違うか、この世界のことはあまり詳しくない。
あいつに、ゆきに会うのも数年ぶりだ。
後から行くと、そう伝えてくれ。
赤毛のアシュリーがそう言っていた、とな」
「はい、そのようにー‥‥‥」
なんだ、こいつは?
そう思うようになるほど、彼は不可解な存在だった。
白石の返事を聞くと、その座っていた席から煙のように消えてしまったのだから。
「恐ろしい存在だなー‥‥‥。
セキュリティなんて、意味がないようなもんだ。
なあ?」
白石はダイヤにそう問いかける。
「そうですな。
あの御方々は人智を超えた存在。
あそこにもお一人いられますが‥‥‥」
彼はそう言うと、眼下のゆきを見降ろして言う。
白石はため息をついた。
「とんでもない爆弾を知らず知らずのうちに自宅へ招いたのは、俺だな‥‥‥」
とぼやいていた。
「あー、肩凝りがひどい。
みき、肩揉んでよーー」
「あ、はい。
お疲れ様です、御主人様」
最近、なんだか従順というよりは堅実に働き始めたみきとさやか。
この二頭のメス犬にもそろそろ、なにか褒美が必要だな。
ゆきがそう思った時だ。
他人には見えないゆきの触覚に何かが触れた。
「へー‥‥‥珍しい。
リオ、せいら、イライア。
それに全員、隣の部屋に行きなさい」
「え?
なにかー‥‥‥??」
その場にいた奴隷全員が不思議そうな顔をして、分担していたカルテの仕分け作業の手を止めて部屋を移動する。
「あー‥‥‥リオ。
あんたはこっち」
「へ?
はい、お母様」
小柄な少女はちょこちょこと小走りにやって来る。
「どうしたんですか、何か嫌なものを見たような顔をされていますーー」
この部屋の中で、唯一、普段着を着ることを許されている養女は不安そうにゆきを見つめて言った。
ゆきはそうねえ、と膝を組んでめんどくさそうにする。
よいしょっとと掛け声をかけて、リオを膝上に抱くと優しく頭を撫でてやった。
「いやーなヤツが来るのよ。
もう古い知り合いがね」
「そんな連絡がありましたか?
リオはなにも知りません」
この診療所の管理はほぼ、養女に一任している。
そのことを知らされていないリオは不思議そうな顔をした。
「あ、しまった。
あの二頭、まだ吊るしたままじゃない。
せいらったら‥‥‥」
あれから二週間。
自分たちの尾を食糧に与えれられながら、未だに屈服しない火竜の奴隷二頭がーー
「あれ、ずっとあのまんまで吊るしてるの?」
「はい、お母様。
どうせ、死ぬことはないだろう、と。
まあ、排泄物の処理だけしながらせいらが、鞭打ちしてもすぐに回復するので。
最近は氷や液化窒素にたまに浸けてます。でも、液化窒素だと拘束具が凍結するので‥‥‥」
「え、液化窒素!?」
「はい、なかなか資金がかかるとせいらがぼやいています。
特殊なある程度の低温度まで耐えれる素材が高価なので。
もうさっさと、肉にしてはどうか、と。
元がトカゲのようなものですし。試しに尾を焼いてみたら、なかなか美味しいステーキでした」
あれ、レアよりはよく焼いたほうが美味しいです。
養女は平気な顔でそんなことを言う。
ゆきは冷や汗をかいていた。
「あ、あのね、そんな何か毒があるかもしれないものを‥‥‥」
「大丈夫です、お母様。
りさやさおりのエサもそれですから。
あの二頭が死ななければ問題ありません」
あんた、あの子たちへの恨みまだ終わってなかったのね‥‥‥
「で、あの二頭には快楽は意味がないの?
まあ、バイブだの、いろいろ試してるみたいだけど」
「多分、意味がないかと。
より快感に感じるようにできればいいのですが、あの二頭の快楽がどうにもー‥‥‥」
リオがそう言った時だ。
部屋に若い男性の声が響いた。
「なら、快楽を感じる神経だけを促進してやればいいんだよ。
こうやってね?」
「え‥‥‥?」
リオが振り返ると、そこには白人のようだが見事な赤毛の若者がいた。
二頭の竜姫の子宮部分に両手をそれぞれ着くと、何やら唱えだす。
それまで苦悶の表情だった二頭が、瞬時にとろけるような顔つきになり、愛液を垂れ流し始めた。
「こうすれば、楽に調教できるだろ?」
「え、あーはい。
あの、あなた様はどなた様で‥‥‥?」
この建物内で、私服でしかも首輪もIDカードすらもなしに自在に動けるなら。
それはとんでもない特権階級になる。
リオはその程度には学んでいた。
「俺かい?
そっちのお母様。の方が詳しいんじゃないのか?
なあ、ルシール?
うおっ!?」
いきなりゆきが投げつけた大きめの文具ハサミを、しかし、声とは裏腹に彼は素手で軽く受け止めた。
「あのねえ、昔、どっかの異世界で別れた奴隷の名前で呼んでんじゃないわよ。
このバカ亭主が!!
なんの用? アシュリー‥‥‥」
「え、お父様ですか?」
その言葉に反応するリオ。
膝から降りて、丁寧に頭を下げた。
「初めまして、リオと申します。
あのー‥‥‥お父様???」
「ちょっ、違う!
戻りなさいリオ。それは元、旦那。
いまは関係ないの」
「いやいや、酷い言い草だな、ゆき。
俺から全部奪いさらに戻して、去って行くんだから。
あの異界の神は?」
リオによろしくな?
そう言い、抱き上げて彼は側にやってくる。
「あの御方はもうここにはいないわよ。
リオを返して」
「そんなににらむなよ。
この子には恨みはないんだから、何もしない。
俺はこれでもーー」
「異世界の勇者でしょ?
あの夜、普通の女子高生だったあたしを犯して奴隷にして散々苦しめた鬼畜の!」
可愛い養女を奪い返すと、ゆきは毒づいてやる。
「え、お母様を?
そんな酷い、お父様‥‥‥」
少女は泣きそうな顔になる。
アシュリーは困った顔をした。
それをはい次ーとこなしながらゆきとさやかは、他の部署と連携してそれをこなしていく。
その中にはイライアみたいなエルフやレネとラナみたいな竜族もいて、他にも猫耳、犬の尾、アライグマみたいな‥‥‥亜人たちも様々にいた。
その光景を上の階から見下ろす人物が数名。
警備を担当するダイヤや白石、そしてーー
「こんなとこにいるとはなあ。
いつからだ?」
赤い髪に緑の瞳の大柄の青年は白石に問いかけた。
外人に見えるのに、流暢な日本語で聞かれて白石は戸惑ってしまう。
「もう、半年ほどです。
‥‥‥エース」
「四人いるうちの三番目だけどな。
まあ、いい。ハートの女王がまさかなあ。
空位を埋める存在がいなかった」
「いなかった?
残していたのでは?」
「あー‥‥‥白石か?
沈黙は美徳だ。この国の格言?
違うか、この世界のことはあまり詳しくない。
あいつに、ゆきに会うのも数年ぶりだ。
後から行くと、そう伝えてくれ。
赤毛のアシュリーがそう言っていた、とな」
「はい、そのようにー‥‥‥」
なんだ、こいつは?
そう思うようになるほど、彼は不可解な存在だった。
白石の返事を聞くと、その座っていた席から煙のように消えてしまったのだから。
「恐ろしい存在だなー‥‥‥。
セキュリティなんて、意味がないようなもんだ。
なあ?」
白石はダイヤにそう問いかける。
「そうですな。
あの御方々は人智を超えた存在。
あそこにもお一人いられますが‥‥‥」
彼はそう言うと、眼下のゆきを見降ろして言う。
白石はため息をついた。
「とんでもない爆弾を知らず知らずのうちに自宅へ招いたのは、俺だな‥‥‥」
とぼやいていた。
「あー、肩凝りがひどい。
みき、肩揉んでよーー」
「あ、はい。
お疲れ様です、御主人様」
最近、なんだか従順というよりは堅実に働き始めたみきとさやか。
この二頭のメス犬にもそろそろ、なにか褒美が必要だな。
ゆきがそう思った時だ。
他人には見えないゆきの触覚に何かが触れた。
「へー‥‥‥珍しい。
リオ、せいら、イライア。
それに全員、隣の部屋に行きなさい」
「え?
なにかー‥‥‥??」
その場にいた奴隷全員が不思議そうな顔をして、分担していたカルテの仕分け作業の手を止めて部屋を移動する。
「あー‥‥‥リオ。
あんたはこっち」
「へ?
はい、お母様」
小柄な少女はちょこちょこと小走りにやって来る。
「どうしたんですか、何か嫌なものを見たような顔をされていますーー」
この部屋の中で、唯一、普段着を着ることを許されている養女は不安そうにゆきを見つめて言った。
ゆきはそうねえ、と膝を組んでめんどくさそうにする。
よいしょっとと掛け声をかけて、リオを膝上に抱くと優しく頭を撫でてやった。
「いやーなヤツが来るのよ。
もう古い知り合いがね」
「そんな連絡がありましたか?
リオはなにも知りません」
この診療所の管理はほぼ、養女に一任している。
そのことを知らされていないリオは不思議そうな顔をした。
「あ、しまった。
あの二頭、まだ吊るしたままじゃない。
せいらったら‥‥‥」
あれから二週間。
自分たちの尾を食糧に与えれられながら、未だに屈服しない火竜の奴隷二頭がーー
「あれ、ずっとあのまんまで吊るしてるの?」
「はい、お母様。
どうせ、死ぬことはないだろう、と。
まあ、排泄物の処理だけしながらせいらが、鞭打ちしてもすぐに回復するので。
最近は氷や液化窒素にたまに浸けてます。でも、液化窒素だと拘束具が凍結するので‥‥‥」
「え、液化窒素!?」
「はい、なかなか資金がかかるとせいらがぼやいています。
特殊なある程度の低温度まで耐えれる素材が高価なので。
もうさっさと、肉にしてはどうか、と。
元がトカゲのようなものですし。試しに尾を焼いてみたら、なかなか美味しいステーキでした」
あれ、レアよりはよく焼いたほうが美味しいです。
養女は平気な顔でそんなことを言う。
ゆきは冷や汗をかいていた。
「あ、あのね、そんな何か毒があるかもしれないものを‥‥‥」
「大丈夫です、お母様。
りさやさおりのエサもそれですから。
あの二頭が死ななければ問題ありません」
あんた、あの子たちへの恨みまだ終わってなかったのね‥‥‥
「で、あの二頭には快楽は意味がないの?
まあ、バイブだの、いろいろ試してるみたいだけど」
「多分、意味がないかと。
より快感に感じるようにできればいいのですが、あの二頭の快楽がどうにもー‥‥‥」
リオがそう言った時だ。
部屋に若い男性の声が響いた。
「なら、快楽を感じる神経だけを促進してやればいいんだよ。
こうやってね?」
「え‥‥‥?」
リオが振り返ると、そこには白人のようだが見事な赤毛の若者がいた。
二頭の竜姫の子宮部分に両手をそれぞれ着くと、何やら唱えだす。
それまで苦悶の表情だった二頭が、瞬時にとろけるような顔つきになり、愛液を垂れ流し始めた。
「こうすれば、楽に調教できるだろ?」
「え、あーはい。
あの、あなた様はどなた様で‥‥‥?」
この建物内で、私服でしかも首輪もIDカードすらもなしに自在に動けるなら。
それはとんでもない特権階級になる。
リオはその程度には学んでいた。
「俺かい?
そっちのお母様。の方が詳しいんじゃないのか?
なあ、ルシール?
うおっ!?」
いきなりゆきが投げつけた大きめの文具ハサミを、しかし、声とは裏腹に彼は素手で軽く受け止めた。
「あのねえ、昔、どっかの異世界で別れた奴隷の名前で呼んでんじゃないわよ。
このバカ亭主が!!
なんの用? アシュリー‥‥‥」
「え、お父様ですか?」
その言葉に反応するリオ。
膝から降りて、丁寧に頭を下げた。
「初めまして、リオと申します。
あのー‥‥‥お父様???」
「ちょっ、違う!
戻りなさいリオ。それは元、旦那。
いまは関係ないの」
「いやいや、酷い言い草だな、ゆき。
俺から全部奪いさらに戻して、去って行くんだから。
あの異界の神は?」
リオによろしくな?
そう言い、抱き上げて彼は側にやってくる。
「あの御方はもうここにはいないわよ。
リオを返して」
「そんなににらむなよ。
この子には恨みはないんだから、何もしない。
俺はこれでもーー」
「異世界の勇者でしょ?
あの夜、普通の女子高生だったあたしを犯して奴隷にして散々苦しめた鬼畜の!」
可愛い養女を奪い返すと、ゆきは毒づいてやる。
「え、お母様を?
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