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星ふくろう

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ダイヤの後継者

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「世間でSMって言うとサイコパスだの、暴力だの、支配欲だの。
 そんな話でまとめられてしまうけど。
 それじゃないでしょ? 多分。
 依存だの強制愛だの、共生だの。
 そんなのとも違う。
 自分の心の壊れた欠片を埋めれる相手を環境を探しているのよね。
 それをするために御主人様に必要なのは、最低でも数億の資産だから」
 はい、そうです。
 そうリオはうなづく。
「誰でもそのこころの壊れた部分はあるんです。
 それを自分で補整できるか、誰かと共に補整するか。
 それとも、諦めて理想とする生活、従える男性もしくは女性に飼ってもらう。
 それが、一番死ななくて済むからです。
 孤独だとリオたちは死んでしまいます。
 あの二匹は、りさやさおりには‥‥‥子供がリオは欲しいんです。
 でもそれを出来ない身体にされそうになりました。
 だから‥‥‥ごめんなさい。お母様」
 あのねえ、子供が欲しいってまだ高校に上がる前で言われたら。
 お母さん困るじゃない。あたしだってまだ産んだこと‥‥‥あるけど。
 死んだからなあ。あれからかも。あいつに従うのやめて復讐考えたのは。
 あたしの子供。ちゃんとあの神様、天国に送り届けてくれたかしら。
 そんな過去を思い出しながら、
「まあ、その恨みはね。
 もう捨てなさい。ヒロキがあんたにはいるでしょ?」
 あの二頭の竜姫とともにリオが購入してきた少年。
「え、なぜそれを‥‥‥」
「何故って母親だもの。
 この建物の中でこっそり会ってるのも知ってるわよ?」
 途端、リオの顔面が蒼白になる。
「ごめんなさい、お母様!!
 リオが、リオが悪いです、どんな罰でも受けます!!
 だからーー」
「おバカね。
 そんなことしないわよ。
 まあ、ダイヤには嫌味言われて少しだけ怒られてしごかれてるみたいだけど。
 ちゃんと毎日会えてるでしょ?
 なんか怪我してた?」
「いえ‥‥‥」
「ダイヤもあたしも白石も知ってるわよ。
 この建物の中には、来客用のモールもあるんだから。
 ちゃんと予定立てて遊びなさい。ただし」
「はい、キスまではいいですか?
 それ以上だとーー」
「それ以上はダメ」
 そんなあ、そうリオは悲しそうな顔をする。
「ヒロキとは対等な関係で恋愛しなさい。
 奴隷だったから性的奉仕なんてしたらダメ。
 ちゃんと、女性として扱わせなさい」
「女性として‥‥‥???」
 あー、言ってもわからないよね。そうゆきは痛感する。
 これまで奉仕や服従しか知らない少女にそれを分かれと言うのも難しい話だ。
「キスはもうしたんでしょ、どうせ?」
「はい、そこまでは‥‥‥でも、身体に触られたら怖くて」
「怖い? 
 なんで?」
「このピアスとタトゥーだらけの身体を見せたくないです‥‥‥」
「嫌われるから?」
 リオはブンブンと勢いよく首を振る。
「ヒロキさんはそんなんじゃない‥‥‥」
 さん?
 さん???!!
 このプライドの高いリオが!?
 その言葉にゆきが逆に驚いた。
 もしかすると。
 養女は至極まともな恋愛をしているのかもしれない、と。
「そう思うなら、彼の信頼がどこまであるのか。
 待てるのか、リオを本当に大事に思ってくれるのか。
 二人でよく話をしなさい。見られて嫌われるのが怖い?」
「違います。
 過去の自分を言えないのが怖いです‥‥‥」
「それは向こうも同じでしょ?」
「はい‥‥‥」
 ゆきは娘の頭を撫でてやる。
「なら、りさやさおりにしたことは良いこと、悪いこと?」
「それはーー悪いことです。
 でも、あれは分かりません」
 うん、そうね。
 あの竜共に関してあたしもわかんない。
「あれはもう、せいらに任せなさい。
 あと、春からせいらとりさ、さおり、それにリオ。
 四人で学校に行かせるからね?」
「学校‥‥‥???」
「まあ、いきなり普通の学校は無理かなあ。
 この建物の中に先生呼んで貰って慣れてから。かな」
 リオはよくわからない、そんな顔をする。
「まあ、同じ年齢の男子や女子とたくさん出会って楽しい時間を過ごすとこよ。
 あたしは奪われたけど、あのアシュリーに。
 さて、と。
 とりあえず、あの床掃除しなさい。
 それとみんなを呼んできて。また作業始めなきゃ」
 隣室の奴隷たちを呼びに行った娘を見送りながら、ゆきは考える。
 学校かあ。高校一年の夏であたしは奪われたし。
 それよりも、ヒロキさん、ねえ。
 ふーん‥‥‥
 そう新しい獲物を見つけた目で何かを思案しだしたゆきがいた。





 数日後。
 いきなりの事態に困り果てていたある人物が、上司である白石の元を訪れた。
 せいらの死をオークション会場で咄嗟の判断により救った男。
 オークショニアでもあり、この建物を管理する四人のダイヤの一人でもあり、リオの恋人でもある。
 仮面のエースの男、ダイヤだった。
「白石様、少し宜しいですか?」
 普段、夜間に向けて寝ているはずの部下が昼間にこの部屋のドアを叩くには、まだ早い時間だ。
 そう思い、白石は入れと合図する。
「どうした、異常事態か?
 どこかで最近仕入れた竜族が火でも吐いたか?」
 その割には静かなものだな。そう辺りを見回すが、緊急事態を告げるアラームは鳴り響かない。
「おはようございます。
 いえ、業務自体にはなんの支障もありません」
「ん?
 支障が無ければなんだ?
 プライベートで冠婚葬祭でも?
 それなら総務課にで申請でもいいはずだが?」
「それが‥‥‥ある意味、大問題といえば大問題でして」
 その言い回しは他部署間での大きな揉め事か?
 その割にはあまり悪い噂はーーー
「まさか、あの先生関連!?」
 ダイヤは重苦しくうなづいた。
「はい、その先生関連、でございます‥‥‥」



「あのな、先生。
 困るんだよ、こういうことされちゃあさ‥‥‥。
 一応、先生が買ったものは好きにしてくれていいんだ。
 リオ‥‥‥様に関しては既に奴隷の籍から抜いてるから構わないが。他のは在席がこの場所になってる。
 いろいろと連れまわされてだなーー」
 ゆきの自宅でまだ敢行されていたレネとラナの二匹の竜姫の拷問。
 それがどうも問題視されているらしい。
 そうゆきは考えた、いやそれ以前に、目の前でされているものがそれだからだ
「え、でも全部あたしが買ってるわよ?」
「いやそういう問題ではなくて‥‥‥どうやって搬入搬出してるんだ、これだけの人数???」
 せいらにりお、りさにさおり、イライアに、レネにラナ。
 七匹もあのポルシェでは運べないはず‥‥‥
「あーそれなら、そこ開けてみて」
 そう言い、ゆきはベランダの端にある物置の扉を指差す。
 簡易的に設置できるタイプだがーー
「まさか、地下を掘り繋げーーなんだこりゃ‥‥‥」
 白石は絶句した。
 そこには見慣れた風景というか光景。
 あのオークション会場の中にある、ゆきの診療所が存在していた。
「おかえりなさいませ‥‥‥白石様??」
 ゆきがいないときにその場所を管理しているさやかとみきが何故、そのドアから?
 そんな顔をする。
 白石と同行していたダイヤが唖然としてゆきを振りかえった。
「まさか‥‥‥門を?
 空間を繋げたのか?
 あの一度開けるだけで数日かかるゲートを、常時接続???」
 勘弁してくれよ、俺の管理範囲こえてるじゃないか。
 傍らのダイヤにお前言えよ、そうアゴで指示を出すが彼はそっと首をふる。
「まだ死にたくはありません‥‥‥」
「この、そういう時だけーー」
 二人に向かって困ったな。
 そんな顔をしているのはゆきも同じだ。
「お母様、見つかりましたね」
 リオが膝上で困ったように言い、イライアとせいらも顔を見合わせる。
「これで処分かな、私たち?」
「どうでしょうか、イライアには何とも‥‥‥」
 なんて声が後ろに控えている二人から降ってくる。
「あははー‥‥‥見つかっちゃった」
 ごめんねーと言う仕草をするゆきにさすがの白石も頬が引く着いた。
「見つかっちゃったじゃねーよ!!!」
「し、白石様、私を盾にしないでください」
 ダイヤが背後から安全対策のようにダイヤを盾にして文句を言う白石を押し出そうとする。
「あ、お前、こんな時ばっかり俺を」
「私の役割はあの建物の管理でございますから‥‥‥高市先生、出入りには所定の手続きを踏んで頂かねば。
 白石様、押し過ぎです‥‥‥」
「あーそうよねえ、こんな直通海路できたら困るかあ」
 ゆきは現状を理解しているようで、どうも話がかみ合っていないようだ。
 せいらはそう判断した。
「あの、発言宜しいでしょうか?」
 なんとなく危険から逃れられそうな気がして、白石がうなづいた。
「その扉を閉鎖せずに、ここにダイヤ様の部下の方を派遣されては?
 緊急時の扉を他に数か所、ゆき様が白石様側に確保して差し上げる、という相互関係ならば?」
 もし処分されるなら、もうなるべく矛先が向かない提案をして回避するべきだ。
 そんな話をこの扉の存在を知った時にせいらはイライアとしていた。
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