家族の絆? では、大広間に参りましょう旦那様。

星ふくろう

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 さて、そんなバイオリンの噂と侍女の告げ口もあい重なり、第二王子はこれは面白い。
 そう考えていた。
 期日にならなければ、アリスは成人を迎えることはない。
 その場合の後見人がいないことが彼には少しだけ不思議だったが婚前契約書はすでに交わしてある。
 いま二人は、仮の夫婦なのだ。
 妻がそれを破れば、その財産も王命として取り上げることもできる。
 これは楽しくなってきた。
「おい、明後日だ。
 期日の前日ではあるが、夕食を共にしたいと伝えておけ。
 ついでに、警吏も同じく用意をして、な?」
 第二王子ウィルソンは嫌らしく笑った。

「旦那様が来て下さるの!?」
 その役人がもって来てくれた手紙にはそう書いてあった。
 あと数日後に、夕食を共にしたい、と。
「これは喜ばしい出来事だわ。
 ねえ、あなたも一つ食べていかれませんか?」
 手紙を届けにきただけの下級官吏は、側室候補の少女が差し出したその菓子と、質素な昼食に目を見張った。
「あの、レーゼン侯爵令嬢様。
 なぜ、このような質素といいますか‥‥‥貴族様には珍しい」
 彼は侯爵令嬢ともあれば、もっと豪華で贅沢な日々を過ごしているものだと思っていたから。
 アリスの目のまえにある、昼食のそれが自分の食べるものと大して変わらないことに驚いていた。
 え、これ?
 そうアリスは不思議そうな顔をする。
「我が家の料理人に習い、旦那様のためにと。
 菓子の調理と、その‥‥‥旦那様は以前、お見かけした時はあまりにも。
 健康には宜しくないお身体だったから。
 わたしがもし、共に食事をしていただけるのであれば、ね?」
 これは侍女の報告は何もかもが間違っていたのかもしれない。
 その役人はしばらく考えて、そっとアリスに伝えた。
「お嬢様、これはわたくしめの独り言でございます。
 第二王子様は、警吏と共にこの場に参ります。では‥‥‥」
 そう言い残して彼は去っていった。
「そう、衛士ではなく、警吏、ね‥‥‥」
 捧げたいとそう思った愛情も、王子様には届かないらしい。
 永遠にわたしには愛は来ないかもしれないかも。
 それならそれでいいわ。
 とびきりの手料理を御馳走しましょう。
 これは美味しいと、その一声だけでも頂きたいから。
 そう思い、アリスは実家から呼んだ騎士の長や侍女頭を呼んだ。
 そして、もちろん、ライルにもこえをかけた。
 旦那様が初めてお超しになるの。
 わたしにも、旦那様が食べても美味しいと言って頂けるような料理を。
 その作り方を教えて、と。


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