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「うーん、おかしい。
なんでこれだけいつも売れてるんだ?
三本も‥‥‥???」
自分が設置したからいつもとりあえずは確認しにいくが。
ここ最近、ある銘柄だけが必ず一定数売れていた。
ここはジョギングコースで、それ向けの商品が売れるならともかく。
なんでこれだけ?
「妙なこともあるもんだ
先々週からずっとだよ」
そう言い、補充を済ませるとふと、その傍らの看板に目が行く。
町内会の案内版。
「あーもう納涼祭の時期か。
花火、なあ‥‥‥」
俺にはそんな相手もいないし、成績も上がらないし。
さて、行こうかとトラックに戻ると見慣れた人影が眼下に見えた。
「あいつ、何してんだ?」
その人物は、いましがた入れたばかりでまだ販売できません。
そうランプかついているのをみてどうも苛立っているらしい。
押そうとしていたボタンは、ヒロキがおかしいと理由を考えていた銘柄だった。
「あのバカ。
なにもそんな無理して買う事ないのに‥‥‥」
そう呟いてヒロキはトラックのエンジンをかけた。
翌日。
昼休みを橋の下で涼むようになってからたまに、にいながやってくるようになった。
何気ない会話をして、たまにおにぎりをくれて。
ぶかっこうで塩味のきいたそれはヒロキには美味しいものだった。
「なあ、にいな。
今日も暑いな?
そういやもうすぐ祭りだっけ?」
そう言い、ヒロキはこれ、冷えてるからやるよ。
にいなに商品を渡す。
「いいの?」
「飯ばっかりもらってるから。お礼」
「ありがとう、暑いから嬉しいー」
冷やす前に油性マジックで書いたそれに気づいてくれるかな?
明日にはもう、来ないかもな?
ヒロキはそう思いながら、その日はまたな?
と別れた。
そして、翌日。
同じ場所で昼食を取っていると、いきなり首筋にひんやりとしたものが押し当てられる。
「おおっ!?」
慌てて振り返るとにいなが、えへへーっ、とにんまりと笑ってそれを持っていた。
いつもより、なんだか豪勢なおにぎりに、ヒロキが渡したものと同じ冷えた商品が手渡される。
「もう、調査、終わったから。
ありがとう、続けれたのヒロキのおかげ」
少女はそう微笑んで言うと、じゃね?
と帰っていく。
「あー‥‥‥まあ、そうだよな。
最後に、いい終わり方できて良かった。
そう思わなきゃな」
やっぱり、かなわなかったか。
これは夕飯に食べよう。
そう思い、助手席においたクーラーボックスにそれらを入れて仕事に戻る。
夕刻、どうにも小腹が空いたからにいなからの別れの品をほおばりつつ、もらった商品を半分まで飲んだ時だ。
「へっ?
まさかー‥‥‥」
全部、飲み干したら黒い液体が詰まっていたペットボトルには大きく、
OK!!
そして、電話番号が書かれていた。
「まじかよーどんだけもったいぶるんだよ、あいつ」
地獄から天国。
苦笑して自分が何を書いたかをヒロキは思い出す。
ーー納涼祭、花火、どうだ?
なんとも飾り気のない一文。
「あーなんだったよ、この昼からの数時間。
おし、電話だ、電話」
そして、一人寂しくなってしまう。
いいのかな、これ。
迷惑じゃないのかな?
話だけ‥‥‥してみるか。
番号を押して、相手が出るのを待つ。
「もしもしー?」
出た。
あ、ヤベ。
なに緊張してんだよ、俺。
言葉がでないじゃん!
焦っていたら、バレていた。
「ねー、ヒロキでしょ?
にいな、行くよ?
何時にするーー‥‥‥」
ああ、ヤバイ。
天使が舞い降りやがった。
ヒロキは、甘酸っぱい感触を心にもって会話を始めた。
なんでこれだけいつも売れてるんだ?
三本も‥‥‥???」
自分が設置したからいつもとりあえずは確認しにいくが。
ここ最近、ある銘柄だけが必ず一定数売れていた。
ここはジョギングコースで、それ向けの商品が売れるならともかく。
なんでこれだけ?
「妙なこともあるもんだ
先々週からずっとだよ」
そう言い、補充を済ませるとふと、その傍らの看板に目が行く。
町内会の案内版。
「あーもう納涼祭の時期か。
花火、なあ‥‥‥」
俺にはそんな相手もいないし、成績も上がらないし。
さて、行こうかとトラックに戻ると見慣れた人影が眼下に見えた。
「あいつ、何してんだ?」
その人物は、いましがた入れたばかりでまだ販売できません。
そうランプかついているのをみてどうも苛立っているらしい。
押そうとしていたボタンは、ヒロキがおかしいと理由を考えていた銘柄だった。
「あのバカ。
なにもそんな無理して買う事ないのに‥‥‥」
そう呟いてヒロキはトラックのエンジンをかけた。
翌日。
昼休みを橋の下で涼むようになってからたまに、にいながやってくるようになった。
何気ない会話をして、たまにおにぎりをくれて。
ぶかっこうで塩味のきいたそれはヒロキには美味しいものだった。
「なあ、にいな。
今日も暑いな?
そういやもうすぐ祭りだっけ?」
そう言い、ヒロキはこれ、冷えてるからやるよ。
にいなに商品を渡す。
「いいの?」
「飯ばっかりもらってるから。お礼」
「ありがとう、暑いから嬉しいー」
冷やす前に油性マジックで書いたそれに気づいてくれるかな?
明日にはもう、来ないかもな?
ヒロキはそう思いながら、その日はまたな?
と別れた。
そして、翌日。
同じ場所で昼食を取っていると、いきなり首筋にひんやりとしたものが押し当てられる。
「おおっ!?」
慌てて振り返るとにいなが、えへへーっ、とにんまりと笑ってそれを持っていた。
いつもより、なんだか豪勢なおにぎりに、ヒロキが渡したものと同じ冷えた商品が手渡される。
「もう、調査、終わったから。
ありがとう、続けれたのヒロキのおかげ」
少女はそう微笑んで言うと、じゃね?
と帰っていく。
「あー‥‥‥まあ、そうだよな。
最後に、いい終わり方できて良かった。
そう思わなきゃな」
やっぱり、かなわなかったか。
これは夕飯に食べよう。
そう思い、助手席においたクーラーボックスにそれらを入れて仕事に戻る。
夕刻、どうにも小腹が空いたからにいなからの別れの品をほおばりつつ、もらった商品を半分まで飲んだ時だ。
「へっ?
まさかー‥‥‥」
全部、飲み干したら黒い液体が詰まっていたペットボトルには大きく、
OK!!
そして、電話番号が書かれていた。
「まじかよーどんだけもったいぶるんだよ、あいつ」
地獄から天国。
苦笑して自分が何を書いたかをヒロキは思い出す。
ーー納涼祭、花火、どうだ?
なんとも飾り気のない一文。
「あーなんだったよ、この昼からの数時間。
おし、電話だ、電話」
そして、一人寂しくなってしまう。
いいのかな、これ。
迷惑じゃないのかな?
話だけ‥‥‥してみるか。
番号を押して、相手が出るのを待つ。
「もしもしー?」
出た。
あ、ヤベ。
なに緊張してんだよ、俺。
言葉がでないじゃん!
焦っていたら、バレていた。
「ねー、ヒロキでしょ?
にいな、行くよ?
何時にするーー‥‥‥」
ああ、ヤバイ。
天使が舞い降りやがった。
ヒロキは、甘酸っぱい感触を心にもって会話を始めた。
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