殿下、あなたが借金のカタに売った女が本物の聖女みたいですよ?

星ふくろう

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秘密の聖女様、大公閣下と共謀する件 13

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「でもおかしいわ、おじい様。
 なぜ、神様が復活だの消滅だの――???」
  
 それにそれ以前の古竜の系譜が今の竜族に連なると言うならば、なぜ、竜王様は?
 ハーミアは矢継ぎ早に質問を繰り出す。
 これほど、畳みかけられたらレグルスも閉口しそうになってしまった。

「いいかい、ハーミア。
 古竜は神にも近い存在。
 新たなる竜のまとめ役ができたのだ。
 長い眠りにつくことも、また一つの選択肢。
 己の力の一部を切り離し、地上に残したまま、な?」

「ですから!!
 そんなことはどうでもいいの、おじい様。
 なぜ、死んで生き返ったの!? 竜神様は!!??」
 
 祖父は本音をなかなか明かさない。
 気の短い孫はそろそろ、我慢の限界が来ていた。
 レグルスは遠くに視線をやった。
 まるで語りたくない過去がある。
 そうにも見て取れた。
 だが、孫はそれでは納得しそうにない。
 このままほっておけば、自分で世界の秘密を解明するなどと言いだしかねない。
 それはまた、難題だった。

「そうさな‥‥‥一度、一万年程前に討たれたのだ。
 竜神が存在していた元の世界からの追手により、な。
 その時、仲の良かった魔神や大神、海神も共に討たれ、死んでしまった。
 残った大地母神と氷の女王は、主を失い海面に水没する天空大陸を支えてくれた。
 この意味がわかるかな、我が孫や?」

「意味‥‥‥?
 だって大地母神様は竜神様の妻で、氷の女王様は魔神様の妻で‥‥‥。
 その異世界の追手は一体、どこに――??
 何より、水没したのなら、その土地には住めないのでは???」

 遠い遠い話になるのう。
 レグルスは悲し気に空を見上げてそう呟いた。

「この世界にまずあった神だの魔だの。
 それらは永遠の命を持つ勇者を喰らい、寿命を延ばす術を各種族の長に伝えた。
 数千人の人間の勇者がその犠牲になり、そこにはるかな異世界から三人の魔族が流れ着いた。
 魔族は勇者と協力し、この世界を救おうと戦い‥‥‥そこにはわしやその他。
 八竜の古いものも参加した。
 おかげで世界は砂漠になり、戦いどころではなくなった。
 二万年も眠りについたある時、これまた異世界からの珍客が現れた。
 彼女はわしらの知らん技法で世界を再構築し、最初の魔族たちはわしらと交わり、星々を自在に飛び交う存在となって旅立った。
 まだ若かった仲間も多くがそれに続き、気付けば最初の竜、古竜は数十だけ。
 それも多くは眠りにつき、わしら八竜の子孫と魔族が交わり、竜神の下についた。
 天空大陸が海面に埋没した時、大地母神の大陸に竜族は移動した。
 しかし、新たな移住者も存在した。
 なにかわかるか、ハーミア?」

 移住者?
 地下に?
 それはまさかの――

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