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秘密の聖女様、大公閣下と共謀する件 12
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「うわあ―――、凄いですねえ、奥様?
あそこで炸裂していたら、みんな即死でしたねえ――」
能天気という文字がそのまま衣を着たようなサーラは、その事実が自分をも巻き込んでいたかもしれない。
そんな現実は無視しているのかはたまた気づいていないのか。
灼熱の炎は更なる爆風を呼び込み、かなりの距離を取っているはずの三人にもその爆風は押し寄せて来る。
「ひえぇえっ!?」
襲い来る猛威は、しかし。
三人の先頭に立つレグウスのその後ろにいる二人だけを避けて走り去ってしまった。
「は、え?
あれ、なんでここだけ??
先々代様のお力ですかあ―――???」
「ああ、そうじゃ、サーラ。
お前は本当におバカじゃのう‥‥‥。
それももし、あの。
そう、竜王と交わった時に子を宿していればあれには正妃が既におるからな‥‥‥。
母子、共々――」
「当代の正妃様なら喜んで抹殺命令を下すでしょうね、サーラ。
あの御方は、側室なんて求めておられないもの‥‥‥まあ、あなたも雷竜だし?
同族だから、恩赦はあるかもしれないけど。
でもー‥‥‥」
言いづらそうなハーミアに、サーラは大丈夫ですよ、奥様。
そう、寂しそうに言う。
「殺されるのは分かっていましたから。
だから、死産だと分かったので生かして貰っているんだと。
そう思っていました、この十年余り。
ずっとそう信じていました‥‥‥」
能天気は悲しみの裏返しか、それとも、心の中で叫んでいる自分から逃避するためにサーラが作り出した人格なのか。
ハーミアは十年近い付き合いがあるはずなのに、まともな声をかけてやれない自分にようやく気づいていた。
そんな親友を、あれの起動を止めるためとはいえ‥‥‥この手にかけたのだから。
「ま、わしの孫でももっとも手のかかるのがお前じゃの、ハーミアよ。
かといえ、スィールズも現竜王アールディアもその系譜ではないからのう‥‥‥」
系譜ではない?
ハーミアは耳を疑う。
祖父は竜族の多くは自分の系譜だと話したばかりなのに。
「正確には、八竜の系譜ではない。
まあ、どこでどう血が混じっているかなどわからんからな。
系譜かもしれんが、直系ではないのう。
その意味で、竜族を任せたのだが‥‥‥」
「おじい様、本当に理解できませんわ。
ハーミアにもわかるようにご説明を!!」
孫はしびれを切らし、祖父に詰め寄っていた。
こんな苛烈なのは、さて誰に似た物か。
レグウスは面白そうにそれを見ながら指先を、先程の氷塊へと向けた。
「破壊と再生‥‥‥こんな神代の力――」
氷塊は跡形もなく消え失せたはずなのに、そこには元通り。
何事もなかったかのように、最初見たままと同じ光景が存在していた。
「よいか、ハーミア。
歴史の話をすると長くなるからのう。
かいつまんで、話をするぞ?
まず。
竜族は数万年前に起こったこの世界で最古の種族の一つ。
そこには神などはいなかった。
理由は簡単。
神に等しい能力を持っていたからだ。
わしや現行の八竜の古老はその当時の生き残り。
今より、一万と少し前。
異世界よりある神がこの世界に流れ着いた。
当時、世界は六の大陸があり、五の神しかおらず。
六番目の天空大陸を、その異邦人に任せることにした。
その当時、魔族の中には竜に似た、しかし、竜ではないまだ弱い。
だが、魔族の中では強すぎた。
そんな、我ら古竜と魔族との混血児が多く存在した。
その子らをまとめ、天空大陸に招き入れ、竜神と名乗ったのが――」
「つまり、それが数百年前に復活したと言われる竜神アルバス様?」
まあ、そういうことになるわの。
レグウスはそううなづいた。
あそこで炸裂していたら、みんな即死でしたねえ――」
能天気という文字がそのまま衣を着たようなサーラは、その事実が自分をも巻き込んでいたかもしれない。
そんな現実は無視しているのかはたまた気づいていないのか。
灼熱の炎は更なる爆風を呼び込み、かなりの距離を取っているはずの三人にもその爆風は押し寄せて来る。
「ひえぇえっ!?」
襲い来る猛威は、しかし。
三人の先頭に立つレグウスのその後ろにいる二人だけを避けて走り去ってしまった。
「は、え?
あれ、なんでここだけ??
先々代様のお力ですかあ―――???」
「ああ、そうじゃ、サーラ。
お前は本当におバカじゃのう‥‥‥。
それももし、あの。
そう、竜王と交わった時に子を宿していればあれには正妃が既におるからな‥‥‥。
母子、共々――」
「当代の正妃様なら喜んで抹殺命令を下すでしょうね、サーラ。
あの御方は、側室なんて求めておられないもの‥‥‥まあ、あなたも雷竜だし?
同族だから、恩赦はあるかもしれないけど。
でもー‥‥‥」
言いづらそうなハーミアに、サーラは大丈夫ですよ、奥様。
そう、寂しそうに言う。
「殺されるのは分かっていましたから。
だから、死産だと分かったので生かして貰っているんだと。
そう思っていました、この十年余り。
ずっとそう信じていました‥‥‥」
能天気は悲しみの裏返しか、それとも、心の中で叫んでいる自分から逃避するためにサーラが作り出した人格なのか。
ハーミアは十年近い付き合いがあるはずなのに、まともな声をかけてやれない自分にようやく気づいていた。
そんな親友を、あれの起動を止めるためとはいえ‥‥‥この手にかけたのだから。
「ま、わしの孫でももっとも手のかかるのがお前じゃの、ハーミアよ。
かといえ、スィールズも現竜王アールディアもその系譜ではないからのう‥‥‥」
系譜ではない?
ハーミアは耳を疑う。
祖父は竜族の多くは自分の系譜だと話したばかりなのに。
「正確には、八竜の系譜ではない。
まあ、どこでどう血が混じっているかなどわからんからな。
系譜かもしれんが、直系ではないのう。
その意味で、竜族を任せたのだが‥‥‥」
「おじい様、本当に理解できませんわ。
ハーミアにもわかるようにご説明を!!」
孫はしびれを切らし、祖父に詰め寄っていた。
こんな苛烈なのは、さて誰に似た物か。
レグウスは面白そうにそれを見ながら指先を、先程の氷塊へと向けた。
「破壊と再生‥‥‥こんな神代の力――」
氷塊は跡形もなく消え失せたはずなのに、そこには元通り。
何事もなかったかのように、最初見たままと同じ光景が存在していた。
「よいか、ハーミア。
歴史の話をすると長くなるからのう。
かいつまんで、話をするぞ?
まず。
竜族は数万年前に起こったこの世界で最古の種族の一つ。
そこには神などはいなかった。
理由は簡単。
神に等しい能力を持っていたからだ。
わしや現行の八竜の古老はその当時の生き残り。
今より、一万と少し前。
異世界よりある神がこの世界に流れ着いた。
当時、世界は六の大陸があり、五の神しかおらず。
六番目の天空大陸を、その異邦人に任せることにした。
その当時、魔族の中には竜に似た、しかし、竜ではないまだ弱い。
だが、魔族の中では強すぎた。
そんな、我ら古竜と魔族との混血児が多く存在した。
その子らをまとめ、天空大陸に招き入れ、竜神と名乗ったのが――」
「つまり、それが数百年前に復活したと言われる竜神アルバス様?」
まあ、そういうことになるわの。
レグウスはそううなづいた。
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