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3 チートはあり得ませんでした
しおりを挟む時刻は16時弱。
で、目の前には針の山ならぬ岩のトゲトゲがずらあっと2500メートル。
上まで続いてる。
いや、これは無理でしょ。
どれだけこの肉体がこの異世界に適応したとか言っても、無理ですよ。
うん、無理。
登ってる途中にもし、力尽きたら?
わたしの肉体はそれは5倍くらい強化されてるかも。
でも、そこに引力というか重力と落ちる速度が加算されたら??
もちろん、ジ・エンド。
そこでおしまい。
ゲームみたいに、リプレイボタンないんだもの。
この状態であれかなあ??
よくある冒険ラノベものだと主人公よっしゃチート発動!!
とか言って登りながら途中で足滑らせて。
で、可愛い翼人とか、家出した悪魔のお姫様とかそんなのと出会う。
一番都合のいいシーンだよね。
でも、これって現実なの。
「さあ、どうしよ。
ななせ、死ぬのはやだ。
串刺し&死んだ後に死体とか冒険者に見られて、おい見ろよ。
なんて‥‥‥あり得ない」
あ、ついつい口が思いを語ってた。
まあ、そんな感じですよ。
あと怖いことがもう一つ。
ドーピング。
いや、何か怪しいもの食べてとかじゃないけど。
この肉体が適応&順応した場合ってさ。
もしかして、肉体が‥‥‥あ。違うわ。
脳が過剰反応起こして一時的な興奮状態にしてる可能性がある。
もしそうだとしたら、数時間?
もしかしたら、数分以内にわたしの身体は拒絶反応を起こすはず。
その為にもーー
「いまは無理しちゃだめ。
--だよ、ね。
どうしよ?
ここは間違いなくヤバい。でも、危ない分、安全な気がする。
ななせ、考えよう。うーん‥‥‥」
体力はまだある。
でも、いつ残量がゼロになるかわからない。
いまどれだけ使ったかもわからない。
でも、それほどは多くは使用してないはず。
走った距離も5キロも走ってない。
飛んだのも、多分、平常の許容範囲内。
もしそうだとすると、チョコ数個で回復する可能性がある。
いまの問題はーー
「えっと。
1.太陽の熱から逃げる。
2.体力の回復
3.安全の確保?
3が先じゃない?
どうしよう。あの高台。
20メートルくらいかなあ? 斜めになってるし。
もし、大きな鳥さんとかいたらアウトだけど。
いなければ、上は突き出てるし‥‥‥。
ハンモックとか、あ、違うか。
あれだ。網だ。それを作ってあそこに設置すれば日よけになるかな?
あー‥‥‥でもあれか。真正面に来たらアウトだよね。
どこかいいとこないかなあ?
この世界って大型の肉食動物とかいないの?
どうやって過ごしてるんだろ‥‥‥???」
そうだ、それだよ、ななせ!!
わたしなんで思いつかなかったんだろ。
山羊だって人間が移動できないような斜面を移動するじゃん。
このハリセンボンみたいな山だって、必ずどこかにあるはずだよ。
少なくとも、犬並みの大きさを持ってる動物たちが残した足跡。
毛がその尖った先についてるはずだよ!!!
でもその前に。
もし、温存してる体力がゼロになったら本当に終わり。
さて、どうしよ?
割れ目、割れ目‥‥‥。
リアス式海岸みたいな感じで削れたなら、別の尾根とかないのかな?
こんな危険な道行くより、もう少しまともなーー
「あーだめだ。
尾根がない。見えないよーななせ、死ぬ?
時間は、17時。
ってことは朝の8時から9時間。
夜が32時間は最低あって、あと6時間で夜になる?
あれーへんだよ?
なんで昼がそんなに短いの? あ、そっか。
24時間周期じゃないんだった。
でもなんでだろ?
温度は32度。これくらいなら、普通だよね?
あれなんの本だったかな? 瀬戸内海気候って亜熱帯気候と同じだから。
四国で産まれたらアマゾンでも生きていけるとか書いてた本あったし。
湿度も16%くらい。これ、そんなにヤバくないんじゃない?
もし、二重連太陽じゃなければ‥‥‥だけ、ど」
わたしが見た所、白色矮星はほぼ真上。
でも、暑さは少し増した感覚。
なんでだろ?
その時だ。解答が浮かんだのは。
この惑星は四連の月を従えてる。
そして白色矮星は大きくても太陽の1.4倍。
惑星は地球の5倍。もしあるとすれば。
だとすれば‥‥‥。
「太陽がどんなに暑くても、これ以上は上がらないんだ。
温度が‥‥‥。ななせ、助かった‥‥‥」
いや、まだだってななせ。
違うわ、わたし!!!
ドーピングが!
どうしよう。
安全な場所が欲しい。
寝れる?
いや、襲われない場所がいい。
やっぱり、あそこかーー
なら、準備しよ。いまのうちに!!!
集めた物。
枯草抱えれるくらい数束。もし、ダニとかノミいても我慢。
わたしの身長並みの枝、20本。
ロープ代わりのツタ。これも、身長×10倍のを数束。
で、それら抱えてーー!!!!
「いっけーーーっ!!! ななせーーーっ!!!」
あーもう少しカッコいいセリフなかったの、ななせ。
なんか泣けてくるけど仕方ないよね。
自分だもん。我慢我慢。
さっき見つけた、あのトゲトゲロードの狭間。
高台というか、なんだろこれ?
なんていうの?
えーと、なんだ。あ、あれだ崖の窪地。
鳥さんの巣とかないよね???
あ、ないや。
でもなんだろ?
奥がすっごい暗いんだけど。
わたしの目でも見えないくらい暗い。
あの最初に落ちた穴でも上まで見えたのに。底が見えないってことは最低でも飛んだ距離。
つまり、20メートル弱はあるってことになる。
ここからなんか出てきたら嫌だなあ。
コウモリの巣とかだと、伝染病なるよね?
えー‥‥‥荒療治だけど。
やってみよう、かな。
リュックの中にはいつも常備してるものがある。それは、マルボロのタバコの箱3つ。
それと、ジッポライター。あと、そのオイル補充液と。100円ライター2つ。
あたしは吸わないよ。パパが‥‥‥吸うの。
「もう忘れよ。
ななせ、タバコ嫌いだもん‥‥‥。
えっと、このライター用のオイルを少しだけ、草にかけて。
で、束にして、と。で、点火!!!
おーーーすご。ヤバっ。それいけっ!?」
わたしはそんな感じで直径10センチ程度の束を中に10束くらいかな?
放り投げてみる。
もし何かいれば、レーダーに感知されるはず。
うん、何もいない。
で、下で燃えてて動かない。位置もほぼ平たい。
「ということはー‥‥‥。
外と中。
うーん‥‥‥中の方が10メートルくらい深そうな感じ。
それなら、落ちても平気。だよ、ね?
でも、これって降りる意味あるのかなあ?
太陽が上にあってもこれ以上、暑くならないなら、ジャングルの中にいたほうが安全なようなーー」
この時のわたしはとても渋い顔をしていたと思う。
いま一番大事なことは、安全に休める場所。
それが欲しいだけだったから。
「どーしよ?
うーんーースマホのライト‥‥‥あ、あれがあるじゃん。
なんで忘れてたんだろ。キーホルダーキーホルダーーー。
ふん! あった! でもこれ、UFOキャッチャーで取ったまま電池そのままだし。
つく? お願い、ついて!!」
LED式のハンドライト。バンギャ仲間とゲーセンで遊んだ時に取ったやつ!!
えーと、確か光量を絞り込めたはず‥‥‥。
「お、ついた、ななせ、偉い!!!」
で、中を見るとあっれーーー。
なにこの広さ。
しかも、なんかあるよ、奥。
台みたいな。祭壇?
両脇に灯篭みたいなのあるし。
獣の気配はなし。
さて、どう降りようかな。
この草の束と枝と言うか棒だけど。
いざとなれば、投げ槍にでもならないかなーと思いながら持ってきたんだけど。
どうしよ?
まず、棒の束はすでに縛ってるからこれはこれでよし。でも放り投げて折れるのは嫌。
持ってるツタのロープは繋げたら60メートルは超えるはず。
これ、なんとかならないかな?
あ、そうか。全部繋げて。で、均等にしたロープの真ん中に棒の束をおいて、と。
その真ん中に両端を通せば、これで距離も測れる。問題は、このロープ、だよね。
わたしが飛び降りるのは怖い。ロープはあと3束余ってる。
うーん、と‥‥‥。
わたしが考えてるうちにも太陽の陽光は迫ってくるし、体力もなんとなくだけど。
疲れてきた感じがある。
「ええい、食べちゃえ!!」
チョコレートを1つ。といっても1センチ四方の角ばったやつだけど。
あれを口に放り込んで考える。
「よし、このここだ。ロープの真ん中部分。ここに1束分のロープを括り付けてー
で、降ろす、と‥‥‥。
えっと、2束だから約40メートルあるかないか、か。いけるかな?」
わたしは恐る恐る、3本のロープを括り付けた棒の束をまだかすかに燃えてる闇の中へと降ろしていく。
「あれ?
そこそこ余った?
そんなに深くない???」
中央のロープに括り付けた1本を引くと、両端が抜けて、ロープが全部回収できた。
「よし、ななせ、頭いい。
自画自賛ダサイな、やめよ。
えっと、この岩なら堅そうかな?」
同じ要領で、今度は3本のロープの中央に端を通して地下へと垂らしてやる。
その真ん中に1本だけくくりつけて、まず枯草の束を下へ投下。
次にロープ投下して、口にライト加えて、4本っていうか7本か。
それをよじらせたものを腰のベルトに。
「キーホルダー用にロッククライミング用のあれ? これなんて言うんだっけ?
ベルトとかに付けたら、外れないやつ。中に押し込まないとこれ退かないんだよね。
2つもあるなんて運がいい? まあ、ななせだし」
なんて意味のわからないことを呟きながら、その2つのギアだったかな?
これにロープ絡ませて、あー痛い。
うー‥‥‥もう思い出さないもん。
過去は終わったの!! パパは終わり!!
で、下までもし誰かが見てたら笑っただろうなあ。
だってじたばたしながら全然降りない。
ようやく降りれて、1本のロープ引いて。
全部の道具回収終わって腕時計見たら‥‥‥
「なによ、18時!?
あれだけ苦労したのに‥‥‥ななせ、もう疲れた。
ロープ、ねえ。パパも好きだったなあ、あれ。亀甲だっけ?
なんで縛ったままで、あの振動するやつ遠隔の。
つけさされて、イオンとか冬場にコートとかだけで歩かされたんだろ。
あーもう。変態じゃん。パパ大好きだったのにどんどん嫌いになってく!!!
普通に考えたらあーでもあれか‥‥‥。
バンギャの子たちも開けてたもんね、ななせと同じ場所に自分で。
ロスカとかしまくりで、痛々しくて。あれに比べたら、変わんないな。
ななせも自分にならなきゃ。
さて、と。
で、あなたは誰ですか???」
私の目の前には見渡す限り、石像だらけ。
でも、ありがたいことにドラクエとかみたいなゴーレムではないみたい。
だって攻撃してこないから。
石像群の一番奥に大きな扉とそこに続く横に広い石段。
あれだけで10メートルはありそう。
でも、あそこまでかなり歩かなきゃだめそうだしどうしよう。
そう思ってキョロキョロしてたら、多分、この神殿かなにかわからないけど。
作ってた人たちが使ってたぽい、石室があった。
窓ひとつ、奥にテーブル一つ。
レーダーに反応なし。
「変なの。ここ、虫の反応もない。
チリとホコリだけ‥‥‥。
これで掃けば少しはましになる???」
束ねた草で掃除すること30分。
どうにか空気もまともに吸えるようになり‥‥‥。
「もうだめ、ほんとダメ。
入り口と窓にこれで蓋してーー」
わたしはもってきた棒をバッテンみたいに縛って柵を作り、それをがっちり石室の床と天井に嵌め込ませて。
「よっし!!!
寝るよ!!! ななせ、もう寝るからねっ!!!??」
多分、その時に誰かに襲われたら容赦しなかったと思う。
それくらい疲労が激しかった。
チョコを数個頬張り、お茶を軽く飲んで。
時刻はもう午後21時。
もうすぐ、この異世界に来て、地球時間で48時間。だよ‥‥‥。
おやすみなさい。
異世界生活たぶん、4日目。
こんな感じで終わったの。
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