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5 クジラは被害者かも???
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「うーん、本当に下手だねー‥‥‥」
我ながら呆れるくらい下手です、はい。
ななせは画力がありません。
えーもう。
こんなに綺麗な神殿が目の前にあるのになあ。
何度も消して、何度も描き直して。
どうやって授業やってたかなあ?
スケッチ、鉛筆の先でサイズ測って、奥行き先に下描いてーー
そんなこんなをずっとやってたら電池があっと言う間に半分。
気づけば4時間が過ぎてた。
うーん。
仕方ない。ノートに描くか。
そう思ってタブレットの電源を落としたとき。
わたしは夜だけなんかの魔法で昔の人たちが目覚めて動き出す。
そんな仮説を思いついた。
電源のオン/オフ。
夜だけ目覚めて動き出したんじゃなくて。
ななせが、ここに来たから。
なにかが始まった。チートイベントとかは置いておいて。
もう、そんなご都合主義に期待するのはやめたの。
わたしにはレーダーもあるし、身体能力も5倍になってる。
まあ、これは世界を越えた際の変化だとしたらファンタジーよりSFじゃないかなって思うんだ。
だって、ななせだけじゃないもん。
全部。
地球からこっちに転移したものが全部、変質してるんだから理論的?
まあ、いいや。
ただ不思議なんだよね。
もしそうだとして、つまりわたしがこの洞窟?に入ったからそうなった。
これがありなら、この動力源どこって。
そう思ったの。
それに、うーんーーーー
「考えることが多すぎるね。
で、お腹空いたーー」
ポテチ食べよ。
お茶飲みながらポリポリ食べてて思ったのは、5倍の能力になりました。
じゃ、老化も5倍?
なら、ここに来てだいたい60時間前後。
でも、お腹は? そこまで酷い空腹じゃない。
恥ずかしい話、お手洗いも気にならない。
で、爪。
伸ばしてネイルとかもしてるけど。
ほぼ伸びてない。
これ、そこそこほっとくと形歪むし汚くなるから手入れいるんだけど。
5倍なら、もうかなり伸びてないとおかしい。
髪にしてもそう。
あんまり伸びた感触がない。
ポテチ、10枚だけ。
これでどれくらいもつかチャレンジ。
いまが19時ちょっと。
朝陽が入ってくる気配はないのね。
神殿も外壁だけがどんどんでき上がっていくけど、こっちはスローペース。
地球時間と感覚は変わらない程度に出来て行ってる。
幽霊さんたちは人数はとても多い。
男性もいれば、女性もいるの。
服装はそうだなあ。
「見た感じはなんだっけ?
あの温泉のローマの映画。あれっぽいけど、大きく違うのはー‥‥‥。
みんな上半身裸。
なんで女の人、うえ着ないのかな?
職人さんで、かなり高いとこいる人は、あれ、ロープ?
なんか編んだみたいなやつを体に巻き付けて仕事してし。
下で粘土ってかセメントか。あれこねてる人は上着着てる。
なんで?
あ、わかった。肌に着いたらいけないからだ。えーでも、女性はなんで上裸?
奴隷とかそんなやつ?
それとも、食事当番? 神殿だから巫女さんとか。
これ幻覚ってホログラフみたいなもんなのかなー?
ななせ、わかんない‥‥‥」
うん、大丈夫。わたしもわからないから。
ただ、あれなんだよね。
外壁がどんどん出来てて人数が多い。どれくらい?
班制ぽいけどーーえっと。
人数を数えてみた。大体、6人で1班ぽい。
で、それぞれ、似たような色の腰帯をしてるから多分それで見分けてるんだろなあって。
「で、その帯の色が‥‥‥20以上はあるよ???
えー?
そんなにいる!?」
数えるのにかかった時間は15分程度。
神殿の映像の中に入るのは怖いから、外からしか覗くしかできないけど。
中は中で、別の画像が展開されてて。
「これ、写メにできないのほんとに残念。
綺麗すぎるでも入るの怖い。
奥のあの階段までずっと続いてるんだね。
んん?
なんか違う。なんだろ?
あ、ななせわかりました!!
石像がない!!」
そしてわたしは本当におバカだと自覚した。
感じた疑問をノートに書き出したよ‥‥‥
材料どっから来たの?
どこから出入りしてるの?
人数多すぎない?
料理どこで作ってるの?
最後。
ここ、あの岩山の中なのに、なんで太陽があるような仕草で眩しそうにしたりしてるの???
「うーん‥‥‥。
よし、探偵ななせだ!!!
--追いかけよう」
ああ、本当におバカなセリフ。
でもその考えは間違ってないと思った。
あの岩山の中でこれだけ彼らは作業できて出入りしてる。
多くの材料の搬入口があるはず。
それにあの休憩所?
あそこで食事してる人達の料理は、女性たちが容器に。
大きな鍋とかに入れて持ってきてた。
それも、鉄とか銅みたいな金属の鍋で。
陶器じゃないんだよ?
これにはわたしもっていうか一人しかいないけど。
びっくりした。
素焼きの壺とかじゃないんだもん。
青銅器文化終わってるってことでしょ?
あ、青銅器文明か。
使ってるナイフみたいなのも、綺麗な色してたけど。虹色みたいなね。
鉄じゃなさそう。この惑星特有の金属とかかなって思った。
そんなこんなで奥に行くとさすがに真っ暗。
あの人たちはなんでか見えるけど、やっぱり怖いなあ。
LEDライトで先を照らしながら歩くと、奥行きひろい通路がいくつもある。
迷路みたい。
「なんで、この状態で見えるんだろ?
まるで岩山がないみたいだよね。
だってほら‥‥‥ななせの前の岩壁にも入ってくよ???
それに通路があるみたいに歩いてるけど、ななせの足元でこぼこ。
なにこれ」
神殿とかあの石像辺りは床があって平面だったけど。
いまは洞窟探検してる気分。
「女性陣、ななせが行けないとこにいってるしー。
おーい、おいてけぼりです、か‥‥‥?
あ、出てきた。でも違う人たちだ。腰帯の色が違うし。
あれ?
肌の色が違う人もいる。さっきまでは褐色で日本人よりは濃い色だったのに。
髪の色も違う。
白人ぽい。
なんだろ?」
その白人ぽい人たちは恰好も違っていたんだよね。
動物の革みたいなキラキラしてるズボンとシャツ着て。
あのキラキラいいなあーなんて見てたら。
「あ!!
あいつの革!??」
そう、わたしを食べたあのクジラ!!!
あいつの革に似てる‥‥‥。
その中に一人、身長の高い女の子がいた。
黒髪で、肌は‥‥‥日本人ぽい。
髪の長さもわたしくらいでーー
「メッシュの位置もおんなじ!??
はあ???
ななせ、いみわかんない。
ねーちょっと!! って言っても通じるわけないか。
まさか、ななせじゃないよねーーー???」
恐る恐る、ほんとーに怖い。
まさかのそんな展開無いよね?
わたしが過去にいたとか。
いまから飛ばされるとか。
どっかでこれから先の未来でこんな体験するとか‥‥‥。
「あれ?
全然、似てない。
悔しいけど、胸あるし、お尻あるし。
ななせより美人さん。いいなあー」
うん、わかるよ、わたし。
年齢もわたしより若く見えた。
それに、その子だけじゃなかった。
わたしが入れないその岩壁から、また別の一団が出てきてその中に数人。
似たような子がいたんだ。
もちろん、確認はしたよ。わたしはいない。
みんな、スタイル良かったけど‥‥‥。
「ななせも食べたら。
もう少し、出るかな。
身長はもういらないから、せめて‥‥‥」
わたし、わかったから!!
もう言わないで。洗濯板とか辛すぎる。
自分で口にするのは。
「なんであんなに丁寧な案内されてるんだろ?
あ、神殿の方に戻るんだ。料理とか作ってるとこ探したかったんだけど。
うーん、もどろっ」
本当に大丈夫かなあ。自分で自分の地が怖い。
日本にいた時に毎日、こんな言動してればそりゃおバカな扱いしかされないよね。
女友達も高校でできなかったわけだ。
変に絡んでくる男子とか多かったけど。すっごいチャラいのとか。
妙に暗い男子とか。
だんだん、過去のことが理解できるって怖いなあ。
「んー‥‥‥告られて、ごめんなさい言ったら、んだよ、ざけんな。
遊んでるクセに、とか。ななせに振られた? はあ、ありえねー。もういいわーとか。
言いながらどっか言った男子たちの目もそんな感じだったよね。
ななせにも選ぶ権利はあるハズ」
いや、そこ違うわたし。
その視線だよ。
そうだよ、あのクジラ!!!
あいつのあの視線。
恨みみたいな、こんなやつに、みたいな。
上から見下ろすけど、なんか復讐してやる。
そんな視線。
「もしかして‥‥‥ななせ、間違えて食べられた?」
そう、それだよわたし!!!
いま良いこと言った!!!
「あのエラい?
丁寧に扱われてる子たち、ななせにそっくりだもんね。
着てる服がもしあのクジラの革とかだとしたら。
あの料理の肉みたいなの、あのクジラの仲間のやつとか?
もしかして、地球に逃げて自由だ―!!!
でも仲間いなくなって寂しい、みたいなとこに‥‥‥。
その友達食べてた犯人たちの一番上の人間に似たやつ見つけたらーー
そりゃ、復讐するよね。
垂直落下で、激突してもかたき討ちしたくなるよね。
あのクジラが、一番可哀想だったりして。
でも、ななせも帰りたいんですけどー。どうしよ」
困ったね、わたし。
そこまでもし、だけど。
正解だったら、あのクジラ。恨めない。
わたしはその考えにたどり着いたら動けなくなってしまってた。
自分とクジラの境遇というか、感覚がなんとなくだけど理解できたから。
クジラはあの子たちに。
わたしは、パパとお父さんに。
似たような恨みを持ってるんだろうなあ、って。
そう感じてしまったから。
ただ、わたしの場合は自分から選んでそうなったし、16歳になったんだから嫌なら働けば良かったんだ。
学校辞めて、アルバイトして。
月に15万くらいあれば生きていけるのはもう、理解していたから。
そうしなかったのは、単なる甘え。
甘い罠に自分から入りこんで、抜けたくなかっただけ。
愛情が欲しかったなんて泣くのはもうやめよう。
もし、日本に戻れるとしたらあのクジラがどうやってこの世界から逃げ出したか。
それを追いかければいいだけだもの。
いまは、泣いてる場合じゃない。
立ち上がろ、ね、ななせ。
「うーん‥‥‥納得いかないけど。
お金貰ってたし、それで生活できてたもんね。お父さんも。
パパのことは帰ってから考えよ。でも、あの後を追いかけるのもなんか違う気がする。
だって、神殿まだ出来てないよ?
ななせが思うにーー」
わたしの視線がいく先は、そう。
彼女たちが出てきたあの壁。
あの先にある何かを見る方が先な気がする。
「別に殴らなくても良くない?
レーダーあるし。壁に張り付いたら‥‥‥」
出てくるのは女性ばかり。
男性は誰もこの区域にはいないみたい。
よし、あそこに入り口があるなら、少し横からでもわかるはず。
あのまんま壁にひっついて身体素通りは怖すぎる。
「このへん、かな?
触れたらわかる?」
わたしのレーダーの感覚が視せてくれた壁の向こう側。
さすがにあの人たちの気配はしない。見えるのは肉眼でだけみたい。
他の感覚は誰もいない。そういってる。
5メートル先には大きな空洞。
でもそこにいくまでには、半分ほど土壁で埋もれてるのを除けないといけない。
というか、除けても2メートルの空洞かもしれないし。
行き止まりのそこかしこに張り付いてみたけど、やっぱりたかが人間の感覚。
少しくらい鋭敏になったからって、はい、全部わかりましたーーー!!!
なんてことはあり得ない。
「さすがにこれは殴っても無理だよね。キック?
その前に足が変になりそう。どうしよかなー。
ななせの持ち物にはスコップとかないよ???
この世界の物は同じ硬さ同士だろうしなー。
もっと堅い物。あのレンガとか、石の塊‥‥‥???」
待って待って。
あの石像、なんか持ってなかった?
あの休憩室。
テーブルとイス。
石作りじゃなかった?
「でも、さすがに‥‥‥もてないよねーななせ、5キロのダンベルでもきつい、よ?
あーだからか。食べるなって言われてたの。
細い方がいいとか、筋肉いらないとか。
抵抗されないように、ああ、違う違う。
しっかり、ななせ!! あれ?」
セリフと考えが一致してきた気がする‥‥‥。
まあ、いいや。
とりあえず、戻ろう。
だってアラームが鳴ったから。
もう、太陽が出てるかもしれない。
まだ、彼らは見えてるけど。
なら、まだ夜?
戻らないとわからない。
「うーん、出てるね。太陽。
やっぱり15時間前後かな?
で、なんで皆さん、消えてないの?
どゆこと???」
そう、わたしの後ろでは夜だけしか見えないのかなと思ってた彼らは普通に作業している。
ただ、見覚えのある顔がいないのと、腰帯の色もいくつか変わってたから。
24時間のうちの12時間勤務みたいな感じなのかもしれない。
「まあ、いっか。
これわかんないし。アラームまたセットして。
問題はななせが眠くなる前にするか、それとも寝てからにするか。
どっちがいいかなー」
起きてから15時間。
食事してからまだ5時間前後。
お腹は空いてない。まだ眠くもない。
身体がこの世界の時間に合ってきたのかもしれない。
またドーピングでぶっ倒れるのは嫌だから寝ることにしよう。
この異世界に来て約70時間。
地球時間で3日目の終わり。
異世界生活的にはーー15時間周期が本当なら、2日と半日か。
とりあえず、休憩室にまた柵を設置して、今度は申し訳ないんだけど。
石作りのイスを動かしてみた。かなり重いけど、出来ないことはないんだよね。
感覚的には30キロ前後。なんて体力ないんだろ‥‥‥。
それを4つ。柵の前に並べて安全対策。
そして‥‥‥おやすみなさい。
我ながら呆れるくらい下手です、はい。
ななせは画力がありません。
えーもう。
こんなに綺麗な神殿が目の前にあるのになあ。
何度も消して、何度も描き直して。
どうやって授業やってたかなあ?
スケッチ、鉛筆の先でサイズ測って、奥行き先に下描いてーー
そんなこんなをずっとやってたら電池があっと言う間に半分。
気づけば4時間が過ぎてた。
うーん。
仕方ない。ノートに描くか。
そう思ってタブレットの電源を落としたとき。
わたしは夜だけなんかの魔法で昔の人たちが目覚めて動き出す。
そんな仮説を思いついた。
電源のオン/オフ。
夜だけ目覚めて動き出したんじゃなくて。
ななせが、ここに来たから。
なにかが始まった。チートイベントとかは置いておいて。
もう、そんなご都合主義に期待するのはやめたの。
わたしにはレーダーもあるし、身体能力も5倍になってる。
まあ、これは世界を越えた際の変化だとしたらファンタジーよりSFじゃないかなって思うんだ。
だって、ななせだけじゃないもん。
全部。
地球からこっちに転移したものが全部、変質してるんだから理論的?
まあ、いいや。
ただ不思議なんだよね。
もしそうだとして、つまりわたしがこの洞窟?に入ったからそうなった。
これがありなら、この動力源どこって。
そう思ったの。
それに、うーんーーーー
「考えることが多すぎるね。
で、お腹空いたーー」
ポテチ食べよ。
お茶飲みながらポリポリ食べてて思ったのは、5倍の能力になりました。
じゃ、老化も5倍?
なら、ここに来てだいたい60時間前後。
でも、お腹は? そこまで酷い空腹じゃない。
恥ずかしい話、お手洗いも気にならない。
で、爪。
伸ばしてネイルとかもしてるけど。
ほぼ伸びてない。
これ、そこそこほっとくと形歪むし汚くなるから手入れいるんだけど。
5倍なら、もうかなり伸びてないとおかしい。
髪にしてもそう。
あんまり伸びた感触がない。
ポテチ、10枚だけ。
これでどれくらいもつかチャレンジ。
いまが19時ちょっと。
朝陽が入ってくる気配はないのね。
神殿も外壁だけがどんどんでき上がっていくけど、こっちはスローペース。
地球時間と感覚は変わらない程度に出来て行ってる。
幽霊さんたちは人数はとても多い。
男性もいれば、女性もいるの。
服装はそうだなあ。
「見た感じはなんだっけ?
あの温泉のローマの映画。あれっぽいけど、大きく違うのはー‥‥‥。
みんな上半身裸。
なんで女の人、うえ着ないのかな?
職人さんで、かなり高いとこいる人は、あれ、ロープ?
なんか編んだみたいなやつを体に巻き付けて仕事してし。
下で粘土ってかセメントか。あれこねてる人は上着着てる。
なんで?
あ、わかった。肌に着いたらいけないからだ。えーでも、女性はなんで上裸?
奴隷とかそんなやつ?
それとも、食事当番? 神殿だから巫女さんとか。
これ幻覚ってホログラフみたいなもんなのかなー?
ななせ、わかんない‥‥‥」
うん、大丈夫。わたしもわからないから。
ただ、あれなんだよね。
外壁がどんどん出来てて人数が多い。どれくらい?
班制ぽいけどーーえっと。
人数を数えてみた。大体、6人で1班ぽい。
で、それぞれ、似たような色の腰帯をしてるから多分それで見分けてるんだろなあって。
「で、その帯の色が‥‥‥20以上はあるよ???
えー?
そんなにいる!?」
数えるのにかかった時間は15分程度。
神殿の映像の中に入るのは怖いから、外からしか覗くしかできないけど。
中は中で、別の画像が展開されてて。
「これ、写メにできないのほんとに残念。
綺麗すぎるでも入るの怖い。
奥のあの階段までずっと続いてるんだね。
んん?
なんか違う。なんだろ?
あ、ななせわかりました!!
石像がない!!」
そしてわたしは本当におバカだと自覚した。
感じた疑問をノートに書き出したよ‥‥‥
材料どっから来たの?
どこから出入りしてるの?
人数多すぎない?
料理どこで作ってるの?
最後。
ここ、あの岩山の中なのに、なんで太陽があるような仕草で眩しそうにしたりしてるの???
「うーん‥‥‥。
よし、探偵ななせだ!!!
--追いかけよう」
ああ、本当におバカなセリフ。
でもその考えは間違ってないと思った。
あの岩山の中でこれだけ彼らは作業できて出入りしてる。
多くの材料の搬入口があるはず。
それにあの休憩所?
あそこで食事してる人達の料理は、女性たちが容器に。
大きな鍋とかに入れて持ってきてた。
それも、鉄とか銅みたいな金属の鍋で。
陶器じゃないんだよ?
これにはわたしもっていうか一人しかいないけど。
びっくりした。
素焼きの壺とかじゃないんだもん。
青銅器文化終わってるってことでしょ?
あ、青銅器文明か。
使ってるナイフみたいなのも、綺麗な色してたけど。虹色みたいなね。
鉄じゃなさそう。この惑星特有の金属とかかなって思った。
そんなこんなで奥に行くとさすがに真っ暗。
あの人たちはなんでか見えるけど、やっぱり怖いなあ。
LEDライトで先を照らしながら歩くと、奥行きひろい通路がいくつもある。
迷路みたい。
「なんで、この状態で見えるんだろ?
まるで岩山がないみたいだよね。
だってほら‥‥‥ななせの前の岩壁にも入ってくよ???
それに通路があるみたいに歩いてるけど、ななせの足元でこぼこ。
なにこれ」
神殿とかあの石像辺りは床があって平面だったけど。
いまは洞窟探検してる気分。
「女性陣、ななせが行けないとこにいってるしー。
おーい、おいてけぼりです、か‥‥‥?
あ、出てきた。でも違う人たちだ。腰帯の色が違うし。
あれ?
肌の色が違う人もいる。さっきまでは褐色で日本人よりは濃い色だったのに。
髪の色も違う。
白人ぽい。
なんだろ?」
その白人ぽい人たちは恰好も違っていたんだよね。
動物の革みたいなキラキラしてるズボンとシャツ着て。
あのキラキラいいなあーなんて見てたら。
「あ!!
あいつの革!??」
そう、わたしを食べたあのクジラ!!!
あいつの革に似てる‥‥‥。
その中に一人、身長の高い女の子がいた。
黒髪で、肌は‥‥‥日本人ぽい。
髪の長さもわたしくらいでーー
「メッシュの位置もおんなじ!??
はあ???
ななせ、いみわかんない。
ねーちょっと!! って言っても通じるわけないか。
まさか、ななせじゃないよねーーー???」
恐る恐る、ほんとーに怖い。
まさかのそんな展開無いよね?
わたしが過去にいたとか。
いまから飛ばされるとか。
どっかでこれから先の未来でこんな体験するとか‥‥‥。
「あれ?
全然、似てない。
悔しいけど、胸あるし、お尻あるし。
ななせより美人さん。いいなあー」
うん、わかるよ、わたし。
年齢もわたしより若く見えた。
それに、その子だけじゃなかった。
わたしが入れないその岩壁から、また別の一団が出てきてその中に数人。
似たような子がいたんだ。
もちろん、確認はしたよ。わたしはいない。
みんな、スタイル良かったけど‥‥‥。
「ななせも食べたら。
もう少し、出るかな。
身長はもういらないから、せめて‥‥‥」
わたし、わかったから!!
もう言わないで。洗濯板とか辛すぎる。
自分で口にするのは。
「なんであんなに丁寧な案内されてるんだろ?
あ、神殿の方に戻るんだ。料理とか作ってるとこ探したかったんだけど。
うーん、もどろっ」
本当に大丈夫かなあ。自分で自分の地が怖い。
日本にいた時に毎日、こんな言動してればそりゃおバカな扱いしかされないよね。
女友達も高校でできなかったわけだ。
変に絡んでくる男子とか多かったけど。すっごいチャラいのとか。
妙に暗い男子とか。
だんだん、過去のことが理解できるって怖いなあ。
「んー‥‥‥告られて、ごめんなさい言ったら、んだよ、ざけんな。
遊んでるクセに、とか。ななせに振られた? はあ、ありえねー。もういいわーとか。
言いながらどっか言った男子たちの目もそんな感じだったよね。
ななせにも選ぶ権利はあるハズ」
いや、そこ違うわたし。
その視線だよ。
そうだよ、あのクジラ!!!
あいつのあの視線。
恨みみたいな、こんなやつに、みたいな。
上から見下ろすけど、なんか復讐してやる。
そんな視線。
「もしかして‥‥‥ななせ、間違えて食べられた?」
そう、それだよわたし!!!
いま良いこと言った!!!
「あのエラい?
丁寧に扱われてる子たち、ななせにそっくりだもんね。
着てる服がもしあのクジラの革とかだとしたら。
あの料理の肉みたいなの、あのクジラの仲間のやつとか?
もしかして、地球に逃げて自由だ―!!!
でも仲間いなくなって寂しい、みたいなとこに‥‥‥。
その友達食べてた犯人たちの一番上の人間に似たやつ見つけたらーー
そりゃ、復讐するよね。
垂直落下で、激突してもかたき討ちしたくなるよね。
あのクジラが、一番可哀想だったりして。
でも、ななせも帰りたいんですけどー。どうしよ」
困ったね、わたし。
そこまでもし、だけど。
正解だったら、あのクジラ。恨めない。
わたしはその考えにたどり着いたら動けなくなってしまってた。
自分とクジラの境遇というか、感覚がなんとなくだけど理解できたから。
クジラはあの子たちに。
わたしは、パパとお父さんに。
似たような恨みを持ってるんだろうなあ、って。
そう感じてしまったから。
ただ、わたしの場合は自分から選んでそうなったし、16歳になったんだから嫌なら働けば良かったんだ。
学校辞めて、アルバイトして。
月に15万くらいあれば生きていけるのはもう、理解していたから。
そうしなかったのは、単なる甘え。
甘い罠に自分から入りこんで、抜けたくなかっただけ。
愛情が欲しかったなんて泣くのはもうやめよう。
もし、日本に戻れるとしたらあのクジラがどうやってこの世界から逃げ出したか。
それを追いかければいいだけだもの。
いまは、泣いてる場合じゃない。
立ち上がろ、ね、ななせ。
「うーん‥‥‥納得いかないけど。
お金貰ってたし、それで生活できてたもんね。お父さんも。
パパのことは帰ってから考えよ。でも、あの後を追いかけるのもなんか違う気がする。
だって、神殿まだ出来てないよ?
ななせが思うにーー」
わたしの視線がいく先は、そう。
彼女たちが出てきたあの壁。
あの先にある何かを見る方が先な気がする。
「別に殴らなくても良くない?
レーダーあるし。壁に張り付いたら‥‥‥」
出てくるのは女性ばかり。
男性は誰もこの区域にはいないみたい。
よし、あそこに入り口があるなら、少し横からでもわかるはず。
あのまんま壁にひっついて身体素通りは怖すぎる。
「このへん、かな?
触れたらわかる?」
わたしのレーダーの感覚が視せてくれた壁の向こう側。
さすがにあの人たちの気配はしない。見えるのは肉眼でだけみたい。
他の感覚は誰もいない。そういってる。
5メートル先には大きな空洞。
でもそこにいくまでには、半分ほど土壁で埋もれてるのを除けないといけない。
というか、除けても2メートルの空洞かもしれないし。
行き止まりのそこかしこに張り付いてみたけど、やっぱりたかが人間の感覚。
少しくらい鋭敏になったからって、はい、全部わかりましたーーー!!!
なんてことはあり得ない。
「さすがにこれは殴っても無理だよね。キック?
その前に足が変になりそう。どうしよかなー。
ななせの持ち物にはスコップとかないよ???
この世界の物は同じ硬さ同士だろうしなー。
もっと堅い物。あのレンガとか、石の塊‥‥‥???」
待って待って。
あの石像、なんか持ってなかった?
あの休憩室。
テーブルとイス。
石作りじゃなかった?
「でも、さすがに‥‥‥もてないよねーななせ、5キロのダンベルでもきつい、よ?
あーだからか。食べるなって言われてたの。
細い方がいいとか、筋肉いらないとか。
抵抗されないように、ああ、違う違う。
しっかり、ななせ!! あれ?」
セリフと考えが一致してきた気がする‥‥‥。
まあ、いいや。
とりあえず、戻ろう。
だってアラームが鳴ったから。
もう、太陽が出てるかもしれない。
まだ、彼らは見えてるけど。
なら、まだ夜?
戻らないとわからない。
「うーん、出てるね。太陽。
やっぱり15時間前後かな?
で、なんで皆さん、消えてないの?
どゆこと???」
そう、わたしの後ろでは夜だけしか見えないのかなと思ってた彼らは普通に作業している。
ただ、見覚えのある顔がいないのと、腰帯の色もいくつか変わってたから。
24時間のうちの12時間勤務みたいな感じなのかもしれない。
「まあ、いっか。
これわかんないし。アラームまたセットして。
問題はななせが眠くなる前にするか、それとも寝てからにするか。
どっちがいいかなー」
起きてから15時間。
食事してからまだ5時間前後。
お腹は空いてない。まだ眠くもない。
身体がこの世界の時間に合ってきたのかもしれない。
またドーピングでぶっ倒れるのは嫌だから寝ることにしよう。
この異世界に来て約70時間。
地球時間で3日目の終わり。
異世界生活的にはーー15時間周期が本当なら、2日と半日か。
とりあえず、休憩室にまた柵を設置して、今度は申し訳ないんだけど。
石作りのイスを動かしてみた。かなり重いけど、出来ないことはないんだよね。
感覚的には30キロ前後。なんて体力ないんだろ‥‥‥。
それを4つ。柵の前に並べて安全対策。
そして‥‥‥おやすみなさい。
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