突然ですが、侯爵令息から婚約破棄された私は、皇太子殿下の求婚を受けることにしました!

星ふくろう

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第一章 婚約破棄と新たなる幸せ

第三十二話 シルドの謝罪

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 シルド様は少し沈黙されたのちに、

「左様ですか、殿下にまでご迷惑をおかけしたこと。
 重ねてお詫び申し上げたい。
 このシルドの愚かさを笑われよ、両国の和睦の場をこのような形で潰してしまった。
 自身の軽率さに、恥ずかしい限り‥‥‥」

 そう、うつむかれて言われるシルド様。

 問題はここからだな、と殿下はそっとわたしにささやかれました。

 そう、エイシャの廃嫡の問題。

 エルムンド侯がはした女として引き受けると言われた件。

 義父上がエイシャとシルド様の婚約を、大公の名の元に受けたこと。

 そして、あの三角洲の領地割譲の件。

 それらはすべて、わたしと殿下が知らないことになっているからです。

 ここからはその辻褄をどう合わせるように話を進めるか。

 それが大きな課題でした。

 話をどう切り出そうか、それを殿下が迷われていた時。

 うつむかれていたシルド様が、先に言葉を発せられました。

「皇太子殿下そして、未来の皇太子妃ユニス様。
 まずは、婚約が成立されたお祝いを述べさせていただきたい。
 そして、このシルドが妻へと願い出たエイシャ殿。
 彼女の境遇は、お二人がいない間に大きく変わりました。
 どうかそのことを、お許し願いたい」

 わたしはまったく何もわからない、というように尋ねました。

「シルド様、それはいったいどういうー‥‥‥???」

 代わりにそれに答えたのは、義父上でした。

「ユニス、お前と殿下が大河へと身を投じた後。
 エシャーナ伯は皇帝陛下にエイシャ殿の廃嫡を願い出てーー」

「まさか‥‥‥」

 と驚きの声をわたしが上げると、殿下が、いえイズバイアが耳元で、いいぞ、とささやきます。

「そう。陛下はそれを認められた。
 いまはエイシャという名すらも使うことを禁じられておる」

「ですが、義父上様。
 エイシャは、いえ、実妹はエルムンド侯の養女にとーー」

 しかし、義父上は静かに首を振られます。

「もはや、貴族籍が無くなった以上。
 エルムンド侯の養女になることはかなわん。
 平民から貴族の子息子女へと養子縁組を交わす習わしもあるが‥‥‥。
 エイシャは、いや元エイシャは我が大公家、帝国、そして、伯爵家まで。
 ある意味、エルムンド侯にまで恥をかかせた始末。
 もはや、どうにもできんのだ」

 と、悲しそうに言われる義父上。

 でもわたしは知っています。

 義父上がエイシャに恩情をかけてくださったことを。

「待ってくれ。
 それについては、話をさせて頂きたい」

 そう言われたのはやはり、シルド様でした。

「エイシャ殿、ああ、元エイシャ殿か。
 いや、もうどちらでも構わん。
 新たな名を持っていただき、僕が。
 このフレゲード侯爵家の名にかけて。
 申し出た婚約をさせて頂きたい。どうか、償いを、させて‥‥‥頂きたい」

 と言って下さいました。

「この件については、さきほど、ハーベスト大公閣下のお許しを得ているのです。
 実はーー」

 そして義父上もその通りだ、とうなづかれたのでした。
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