貧乏メイド、官能作家に“身体を資料として提供”することになりました~資料のために抱かれ続けた私、いつの間にか彼の最愛に~

蜜井蜂

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第一部

☆情報収集Ⅱ ―衣服越しと直接接触における感覚差の比較―

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 それは、台所の掃除をしていた時のこと。
テーブルを拭いていた私の背後から逞しい腕が伸びて来て、そのまま抱きすくめられた。

そして――
「今日は……身体接触について情報提供をお願いできるかい?」
フェイ様の低い声が降ってきた。

「……身体接触……ですか」
思わず声が裏返る。

「ああ。知覚の違いを知りたい。服の上からと、素肌に直接とで、どんな反応の差が出るのか――資料的に重要だからね」
フェイ様はメモ帳の準備をしながら淡々と告げる。



「さて、今回のシナリオだが――」

フェイ様によれば、今回資料が欲しいのは、主人公のメイドがお相手の青年から仕事の邪魔をされそのままの流れで――というシチュエーションの部分らしい。

「最初はいたずら――というか主人公の気を引こうと青年が服の上から主人公の身体を弄ぶ。それが次第にエスカレートして最後には服をはだけさせて直に触れる、という流れ。その流れを文章上でどのように展開していくのが自然かを見たいんだ」

「なるほど……」
「それからもちろん君の反応と何を感じたかも、内容に厚みを持たせるうえで欠かせない。――今回もよろしく頼むよ」


「わ、分かりました!」
一通り説明を受けた私は、フェイ様に促されるまま書斎へと向かった。




「では、とりあえずここに」
促されるままソファに腰を下ろした途端、フェイ様の手が肩口を覆った。
温かい掌がじわじわと肩から柔らかな二の腕へゆっくりと移動していく。

「……んっ」

「……ふむ、性感帯から離れた部位でも反応は出るか」

観察者めいた声。
私は背筋をぴくりと震わせながら、喉奥からか細い声を漏らす。
「……くすぐったい、です」
「ふむ、そうか。――表情の変化が興味深い」

彼は片手で何やら機械のボタンを操作し、黒いレンズをこちらへ向けてくる。

「えっ!? 動画、ですか……!」
驚きと抗議を混ぜた声は、「資料だから」という冷ややかな一言で有無を言わさず封じ込められた。


その手は次第に鎖骨へと滑り込み、骨の硬さをなぞる。
そこから胸の輪郭を沿うように下りていき、アンダーバストを撫で、やさしく輪郭を包み込む。
衣服越しでも熱が確かに伝わって、布の擦れる音と彼の吐息が重なる。

「……っ、そこは……」
「記録しておこう」

さらに、胸の中心へ。
布地越しに表面を撫で、少しずつ全体を揉むように手を動かす。
次いで敏感になった先端の辺りを指で強めに押し込み、くるくると円を描いた。
「やっ……!」
思わず声が跳ねると、親指でこするように刺激を重ねられる。

胸を弄ぶ片手とは別に、もう一方は腹筋をなぞり、下腹部へ移動する。
服越しに腹を撫でられるたび、内臓がきゅっと縮むような感覚に陥った。

「……んっ、そ、こは……だめ、で……す」

フェイ様は手を止めてこちらをちらりと見たけど、一瞬目を細めてからまた手の動きを再開した。
スカートの上から太ももをなぞられ、ぞわりと鳥肌が立つ。


そして――
スカートごと下腹部周辺をなでられ、布越しに熱がじわじわ広がっていった。
割れ目にはまだ触れていないのに、心臓の鼓動は早鐘を打つ。
電流のような感覚に思わず身体をのけぞらせるも、彼の逞しい腕が背を押さえつけて離さない。

布の擦れる感触と手のひらの熱とが溶け合い、全身が火照っていく。
「……どうだい?」
「ど、どうといわれましても……」

声が掠れてしまって、うまく言葉にならない。
だけどフェイ様は無言の圧を込めた視線を向け、答えを促してくる。

「……あ、あの……布越しに、手の熱が直に伝わって……それが……気持ちよくて……」
絞り出すように答えると、彼は頷きながらメモ帳を取り出し、走り書きを始める。

その後も、「指先と手のひらによる刺激の違いは?」「手の甲だと何か変わるのか」等々……私が反応を示す度に質問を投げかけてくる。
そのたびに私はフェイ様が満足するまで回答を述べさせられるのだった。



「ふむ、こんなものだろう」
フェイ様はようやく満足がいったようで、シャツのポケットにメモ帳をしまいながら、すでにぐったりしている私に向き直った。


「では、次は直接――」
さらりと告げられて、今度はシャツのボタンがスルスルと外される。
上から三分の二ほどが外されて下着が露になったあたりで手が止まる。

そして一人何か考えるように何度か頷いた後、コルセットの紐を外し――そのまま一気に引き下ろした。
「ひゃっ……!!」
コルセットを外された勢いで胸がたぷんと弾み、冷たい空気が肌を撫でた。
思わず肩が跳ねる。
布越しとは比べ物にならない、熱と圧。
皮膚が一気にそこだけ浮き立つみたいに感じられて、呼吸が乱れる。

「直接だと……柔らかさがどう変わる?」
彼はわざと先端には触れず、周りを指で軽くなぞる。
じらされる感覚に自然と腰が揺れてしまう。
「じらされる感覚はどうだい?」
「く、苦しい……っです。触れてほしいのに……もどかしくて……」
「――焦燥感、と記録しておこう」

やがて胸全体を強弱をつけながら揉みしだき、布越しと直接の違いを確かめるように熱を籠める。
「……っ、あ……ぁあ」
息が上ずって苦しい。

「直接はどう違う?」
「ひゃぁ……っ! あ、熱い……っ、布より……ずっと……敏感で……」
「具体的には?」
「っ、あ……声が……勝手に、出ちゃって……! んん……」
「なるほど、音声的な反応が顕著だ」
……私が甘い声を上げるたび、彼は感想を問い、ペンを走らせる。

フェイ様は何か考えるようなそぶりを見せながら、親指で硬くなった先端を潰すようにこすり上げた。
もう片方は優しくつまんだり、爪の先ではじいたり……左右で違う刺激を与えられる。

「んぁあっ……!」
声が勝手に零れ、胸の奥で鼓動が荒れ狂う。


腰が揺れ始めたところで、片方の胸を継続して弄びながら、もう一方の手が下腹部へ。
ショーツ越しに割れ目をなぞられ、湿り気が布へ染み出すのを自分でも感じてしまう。
「反応が顕著だな」
その一言で羞恥がさらに増す。
「湿度が上がっている。感覚を説明してくれるかい」
「む、無理……です……っ。熱くて、ぬるぬるして……っ、ことばに、ならな……っ!」
「答えられないほどの刺激、ということだね」


割れ目が小さく痙攣し始めたところで、布を器用にずらされ素肌が露わにされた。
そこへ掌が直に触れた瞬間、ぬるりとした熱が絡みつく。
フェイ様の指先がそれを掬い上げるように撫で回した。

「ひゃっ……あ、あぁっ……」

円を描くように敏感な花弁を擦られるたび、潤んだ液が指の腹にまとわりついてすぐに指の間から滴り落ちていく。
くちゅ、ぬちゅ……と水音が部屋に淫らに響き、羞恥と快感がごちゃ混ぜになって頭の芯が痺れていく。

「内部の反応も確認しよう」

低い声と共に、濡れそぼった隙間へ指が侵入する。
ゆっくりと沈み込んでいく指に、狭い内壁がぎゅうっと絡みつき、引き抜かれるたびにぬちゅり、と濡れた音を立てた。

「くぅ……っあ……んんっ……」

「この程度の深さでの感覚は、どうだ?」
問いかけられても答えにならない吐息しか漏れない。
かすかに首を振ると、フェイ様は目を細めて指をさらに進めていく。


そして二本目が押し広げるように入った瞬間、腰がびくんと跳ね上がる。
指先は壁を押し分けながら、反応の強い箇所を探るように執拗にグニグニと蠢いた。

「っあぁっ……あああ……!そ、そこ……っ!」
「ふむ……一本のときと比べて、どう違う? より鋭いか、それとも重いか」

「あ、あっぱ……く、かん、がっ……!ま、して……っんんんんんん!!」
容赦なく一点をこすられるたび、快感が爆発するように全身を駆け抜ける。
水音はいやらしさを増して、くちゅ、じゅぷっ、と室内に反響している。
腰は勝手に痙攣し、視界の端が白く染まっていく。

「やっ……あぁぁぁぁっ!」

最後はその一点を執拗に抉られ、まともに言葉で返す余裕もなく、大きな声をあげながら全身を震わせて果ててしまった。



「――ふむ、こんなものだろう」

フェイ様が満足げに私の身体を開放する。
そのころには私はすでに息も絶え絶えで、ソファに体を預けながら小さく痙攣を繰り返していた。

「今回も君のおかげで表現に厚みを持たせられそうだよ。ありがとう」
彼はそう言うと撮影に使用していたカメラを手に足早にデスクへと向かった。
私はその背中を見つめながら大きく息を吐く。

ほんとに観察者って感じ……。


そんなことをぼんやりと考えながら私は、はだけたシャツをゆるゆると整えるのだった。


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