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第2章
第26話
しおりを挟む「そうだな……本でも貰えないだろうか」
「本?それなら王室で借りることが出きるぞ」
「王室……、それはこの国で一番偉い奴がいるような所じゃないのか」
「そうだ。国王や皇后なんかの王族がいる。だが俺は聖衛騎士団長だ。王室に出入りすることは不可能ではない」
「そういうものなのか」
絶対的な自信があるように話すアルゼオが不思議で仕方がなかった。
「あぁ、早速だが明日行くか?」
「いいのか」
そこで俺の食いつきはなによりも勝っていた。別に本を読むことが特別好きなわけではない。が、学べることがあるならなんにしたって万々歳だ。
「なら明日は朝から行こう。もちろんアルゼオが連れていってくれるんだろう?」
「当然だ。お前が危険に晒されないようしっかり護衛しなければな」
そう言って軽く笑っていた。
翌朝はもちろん早起きだった。アルゼオは仕事ととして行くのにいつも通りに起きたが、俺はいつもより結構早い。
起きているのかいないのか分からないような顔のまま洗面台に向かう。アルゼオは頭をがしがししながら歩いてくる。隣に並んで歯を磨いたり顔を洗ったり、狭いところでやっている。
着替えも、収納スペースが一ヶ所しかないので同じクローゼットから引っ張り出す。実は俺が着ているのはアルゼオのものだ。新しいものを用意するかについて話したことがないわけではないが、互いに特に問題はなかったので、多少だぼっとしていても普段着になっている。Tシャツのようなラフな服だってこの世界にも普通にある。
黒のシャツに、俺が履いてきたスキニーパンツを身につける。アルゼオは隊服を着ている。赤を基調としていてなかなか華やかに見える上に、騎士団に行けば鎧もある。どんなときも身軽でいた俺にとって考えにくい格好ではある。
「準備できたか?早く行こう、アルゼオ」
「本当に楽しみなんだな。アオハはわかりやすい」
「はっ!?」
いけない。声が裏返ってしまった。
「そん、な、こと……ないだろう」
「ははっ、顔が赤いぞ。でも早く外に出たいんだろう」
「まあ、それはそうだが」
散歩に行けると喜びはしゃぎ回る犬となんらかわりないではないか。
「ん"ん、からかわなくていいから行くぞ」
「そうだな」
準備が終わると、2人でそろって家を出た。
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