同期の御曹司様は浮気がお嫌い

秋葉なな

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同居の御曹司は浮気を許さない

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「無理……そんな大金用意できない」

「なら優磨に言えよ。城藤ならそれくらいの金ぽんと出せるだろ?」

「できない……優磨くんには迷惑かけられない……」

「できる。波瑠がちょっと甘えれば優磨は出すよ」

「ほんと……最低……」

下田くんは意地悪く笑う。見下ろしているのは私なのに、圧倒的に立場が弱いのは私だった。

「まあ波瑠は優磨に言えるわけないと思ったよ。なら波瑠が用意して。優磨の立場が悪くなると波瑠も困るでしょ?」

「どうやってそんな大金……」

「分割でもいいから。波瑠が払えなくても優磨の口座から少しずつ抜いていけばいい」

目が潤んできた。悔しくて悲しくて怖い。私はどうしてこんな男と関わっていたのだろう。

「お断りです!」

私は勢いよく部屋を飛び出した。

下田くんも自暴自棄なんだ。私と同じで会社での立場が悪くなったから八つ当たりしているんだ。
そうだよ、そうに決まってる。きっと今のことは本気じゃないはず……。










あれから相変わらず下田くんから連絡が来る。
今までは数日おきだったのが毎日電話がかかってくるようになった。
『金はいつになる?』とLINEも送ってきて、まるで借金取りに脅されているような気持になる。

着信拒否しようと思っても優磨くんの会社に何を言われるか不安でいちいち応答してしまう。その度にお金の要求に応えるのは無理だと言い返すことを繰り返している。

お風呂に入っている間にも電話がかかってきていたらしく、優磨くんに「電話があったみたいだよ」と言われると慌ててカバンに入れたままのスマートフォンを確認する。
着信画面を優磨くんに見られてしまっただろうか。カバンから出すようなことをしないと思うけど、下田くんから連絡があったことを知られたくない。

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