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168.悪の組織の親玉のタイプを想像してみる。
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「‥それ(← リーダーがリーダー特権で暴走して焼かれること)は、よくあることなの? 稀なの? 」
フタバが怪訝な顔でコリンを見る。
‥そんな「ヤバい奴」が結構いたらホント嫌だけど‥。って思う。
「稀だよ。さっき言ったじゃん。「殆どの人は共同体のリーダーなんて引き受けない」共同体なんか組まない。就職が有利になるって理由で引き受ける人がいるくらい。名前だけのリーダーだね。
リーダーって立場が好きって人。そういう人はいるね。そして、「メンバーの力を手に入れた‥俺は選ばれた人間だ」って勘違いするのもそういうタイプ。でも、そういうタイプは教会が「こいつはリーダーの資質ナシ」って判断するから最初からリーダーになることは無い。
真面目で優秀で善良な人間で、教師の信望も厚いタイプ。だけど、積極的じゃないから目立たなくて、今まで表立って役職なんかについたことは無い。‥そんな人間がリーダーに「選ばれた」ことによって‥変わる。このタイプが‥例のヤバい奴のタイプ。
実は僕は選ばれた人間だったんだ‥。
メンバーは皆僕の指示で動く‥。
メンバーは‥僕の物だ。
って思うのかな? よくわからない。僕にヤバい奴の心理なんて分からないよ」
タイプが違うヤバい奴のことは理解できないらしい、別のタイプのヤバい奴‥コリンが言った。
ヤバい奴の特徴は、
自分がヤバい奴だって自覚がないこと。
「じゃあ‥悪の組織の親玉もそういうタイプの「ヤバい奴」だったのかな。元々は普通の奴だったけど、後にヤバくなった‥。
いや‥でも、ヤバい奴だったってバレたら協会に焼かれるのか? 」
ロナウは首を傾げると、コリンが苦笑いして
「メンバーが協会に苦情を入れたり、明らかな規則違反が協会にバレない限り結構協会は何も言わないよ? ってか、そこまで管理できないんじゃない? どれくらいの共同体があるって思ってんのさ」
ロナウを呆れた様な表情で見た。
うわ~嫌な表情~。
「‥案外。普通の人だったりするんじゃない? もしかしたら、‥凄くきっちりとして印象のいい「真面目で善良な人間」に見える人‥かもしれない。
もしくは‥「社会的に安定した印象がある」だけど、人とは違う可能性を感じさせる‥
何か人を惹きつける‥カリスマ性みたいなものがある人物‥」
ぼそ‥とシークが呟き、全員の視線がシークに集まる。
「シークさんにとって、カリスマ性のあるリーダーってどういうタイプですか? 」
コリンが尋ね、フタバが頷き、次の紙の上に「カリスマ性のあるリーダー」と書き加える。
「行動力があって、決断力があって、安全確認に抜かりが無くて、信頼がもてる人物。リーダーとしてメンバーに的確な指示が出せる人かな」
安全第一って感じ。
シークさんは冒険者だから常に危険と隣り合わせだ。だから、安全であるってことが一番重要なんだろう。だから、危険がないか‥周りを即座に確認でき、状況を正確に把握できる人間しか信頼できない。カリスマ‥っていいながら「尊敬できる」みたいな意味合いで使っているのだろう。
尊敬でき、憧れる人‥みたいな感じ。そういうのが表情やら行動やらににじみ出ちゃってる‥オーラがある人って感じかな。
だけど、冒険者だから、安全確認できる慎重さだけじゃなくって、確実に仕事が出来ないといけない。
度胸があることも大事。
堂々としてる、ってことも重要なんだ。
そして、目的達成の為に正確で迅速な判断力が重要で、それを即座に判断し、自分も含めたメンバーに的確に指示できる人間。そして、信頼に足る人物。
堂々としてて、安定感半端ない。きっと力もなくちゃ‥だろうからきっとムッキムキのマッチョ。いかつい顔してるけど実は部下想いの優しい‥「気は優しくて力持ち」な岩みたいな男。
それは、「冒険者におけるカリスマリーダー」だな‥って思う。
魔術士におけるカリスマリーダーとはきっと‥違う。
コリンはアンバーを振り向いた。
「アンバーにとってカリスマ性があるリーダーってどんなの? 」
聞いたけど‥
なんか「一応聞いてみたけど‥」って感じ。
「? 働く上でそりゃ上司はいるだろうが、別にその人柄に惹かれて部下になるわけじゃないだろ? 」
思いっきり、「知らねえよ」って顔してる‥。
そうだよね~。
魔法使いは、自分が一番偉いって思ってるから、「かっけー! アンタに付いて行くぜ! 」って人に対して思う事ってないんだよなぁ。
「う~ん。僕もザッカさんとナナフルさんの人柄に惹かれて、「この人たちの元で働きたい」とは思ったけど、「ザッカさん、かっけーです! 貴方こそ私の主君にふさわしい! 」って感じじゃないもんね~」
誰かに忠誠を誓う‥とか。そういうの、騎士っぽい。
でも、それは「カリスマ性に惹かれて」ってわけじゃないよね。
「カリスマ‥って何だろ‥」
まずそこからよくわからない。
フタバは首を傾げ‥
「‥魔術師は結構見た目を重視するところありますよね。
魔術にしても、身なりにしても‥きちんとしてない人なんて信用できないし、話をする気も起こらなって思いますよね。美貌以上に、魔術に優れてたり、魔術に花がある人に惹かれる‥ってとこありません? 」
ロナウとコリンに聞いた。
もしかして、アンバーも魔術師だからそういうところあるかな? って思ったけど‥でも、彼はそういうタイプではない気がする。「凄いね~。でもまあどうでもいいや」って思いそう‥(そういうクールなところもカッコイイ!! )フタバはウットリとアンバーを見つめた。
「‥カッコばっかりで中身スッカスカの魔術とか見たら、ぶっ飛ばすぞって思うけど‥確かに「こんな難解でマニアックな魔術! 」って魔術を見たら‥惹かれる‥
いや‥ないな。寧ろ「絶対僕も出来るようになってやる‥」って思うな‥憧れ‥憧れ‥なんだろ。どんなタイプだろ‥」
ってコリン。頭を抱え込んじゃってる‥。
ダメだこりゃ‥
「カリスマはよくわからないけど、学生時代凄く人気のある先輩いたじゃない。成績優秀で魔術に優れてて、性格もよかった。ああいう人のことじゃない?
あの人は、別に成績が一番ってわけでは無かったんだけど、努力家で、魔術に対する姿勢も真剣そのもので真面目で‥貪欲。品行方正ってわけでは無かったけど、人に好かれてた。人柄がよかったんだろうね。
だから皆先輩が大好きで、先輩は何時もみんなの視線の先にいた。
つまり、常に目立ってたんだ。
‥ああいうのって天性のもんなんだろうね。
ああいうタイプを「自然と人を集める人」っていうんじゃない? 」
ロナウが苦笑いして言った。
成程‥
成績が一番で努力家で魔法オタクだけど人に嫌われまくってたのがコリン‥ってことは、人‥特に魔術士を惹きつける何か‥ってのは「人柄」が一番重要ってことか?
「人柄‥って言っても、僕あの先輩の性格なんて知らない。全然親しくなかったから。‥でも、「この先輩は尊敬できるな」って思ったな‥。
代表委員会で話したとき(コリンは2年、先輩は3年の代表だった)‥うるさい感じじゃない‥落ち着いた低めの声で、無駄なことを話さない知的な感じ‥
そういう印象を持った‥」
つまり、平凡だった。
コリンは首を傾げる。
平凡だけど、「感じはよかった」
「それじゃない? 落ち着いた低めの声、無駄が無い話。あと‥顔も無駄にキラキラしてなくって無駄が無い感じ。‥私も好きだわ‥」
あ! って顔でフタバが言うと、
「そうだよね、あの先輩‥全然顔の印象は無い。だから、「かっこよくって皆の憧れ」とかじゃなかった」
ロナウが同意して頷いた。
「‥魔力もそう高くなかったんだろうね。全然、印象に残ってない」
コリンも頷き、しみじみと当時を思い出しながら呟くと、
「魔力が高い人って目立ちますものね。憧れるというより‥なんか‥嫌な感じを持つ‥って言うか‥生理的に‥」
ふふとフタバが苦笑いした。
「‥それ以上言わないであげて‥」
声が高めで、顔が無駄にキラキラしくって、魔術士に生理的嫌悪を抱かせるほど魔力が高いコリンをちらりと見て、ロナウがフタバを止めた。
「‥何!? なんで僕を見たの!? 」
「あ~」と呟き、アンバーが納得した様に頷く。
「つまり纏めると、魔術士にとって一般的に好感度が高い人物は
身なりがきちんとしていて、魔術の腕が基本よりも上、落ち着いた低めの声で、無駄話をしない。そして、顔が華美ではなく、魔力が高すぎないってことだね? 」
アンバーがまとめ、コリンたち三人が頷く。
「顔もね、悪すぎても目立つんだ。特に、肌荒れとか‥もう、気になって気になって‥「手入れしろよ‥」ってつい言っちゃうよね」
「それな」
‥それなのか。
だけど、
「肌荒れと‥あと、日焼け。魔術士って皆インドア派だから青白いくらい白いのに、その中に日焼けしてる人が混じるとやけに目立つ。もう気になって気になって‥。最初は見ちゃうんだけどそのうち、見ちゃう自分が嫌になって、もう絶対見ないって感じになる」
‥なんなの。魔術士ってちょっとヤバい人たちの集団なの。病んでるの? 教会とかで学んだことないから分からないけど、同じような人間が集まったらそんな感じなのか‥。
よかった、そんなとこ行ってなくって‥。
俺は髪も黒いし(← 珍しい)目も赤い(← 珍しい)、顔も華美‥って感じじゃないけど目立つ美形だし(自覚在り)魔力も高い‥。
絶対嫌われてたんだろうな‥。
ってアンバーは思ったんだけど、魔術士にとって黒い髪の毛は「かっけー羨ましい~」だし、赤い目も然り。顔も落ち着いた系の美形は人気だし(華やか系の美形が不人気なだけ。コリンは華やかではなく可憐系)声もいいアンバーはきっと大人気だったはずだ。(肌も白いし、美肌だし)憧れます! じゃなくって、カッコイイ~! 恋人になって~! って感じだな。それこそ、「あの先輩」とは違った層の人気者だっただろう。(まあ、それは余談だ)
にしても‥
なんだその「平凡そのものの人間」。特徴が無さ過ぎて、人込みに紛れそうだ‥。だけど、それこそ、悪人に向いてるって気もする。悪人にとって目立つことが最も良くない。
アンバーは苦笑いした。
「目立たないタイプ‥魔術師が憧れるタイプじゃなくって‥魔術士が安心出来て「好きなタイプ」‥それこそが「共同体のリーダー」の一般的なタイプ‥
そして、それなら「普通の人間」の中にいても悪目立ちしない‥
そして、共同体のリーダーならメンバーの魔力を自由に使える‥絶対的に服従させられる。
リーダーの力を最大限に高め続けることが出来れば、絶対に裏切らない部下を持ち続けられる
悪の組織の親玉が正規か不正規かはわからないけど共同体のリーダーであることは間違いないと思う。そして、協会がどの程度関与しているか分からないが、協会の中に悪の組織と関与している人物がいるだろうってことも間違いないだろう」
フタバが怪訝な顔でコリンを見る。
‥そんな「ヤバい奴」が結構いたらホント嫌だけど‥。って思う。
「稀だよ。さっき言ったじゃん。「殆どの人は共同体のリーダーなんて引き受けない」共同体なんか組まない。就職が有利になるって理由で引き受ける人がいるくらい。名前だけのリーダーだね。
リーダーって立場が好きって人。そういう人はいるね。そして、「メンバーの力を手に入れた‥俺は選ばれた人間だ」って勘違いするのもそういうタイプ。でも、そういうタイプは教会が「こいつはリーダーの資質ナシ」って判断するから最初からリーダーになることは無い。
真面目で優秀で善良な人間で、教師の信望も厚いタイプ。だけど、積極的じゃないから目立たなくて、今まで表立って役職なんかについたことは無い。‥そんな人間がリーダーに「選ばれた」ことによって‥変わる。このタイプが‥例のヤバい奴のタイプ。
実は僕は選ばれた人間だったんだ‥。
メンバーは皆僕の指示で動く‥。
メンバーは‥僕の物だ。
って思うのかな? よくわからない。僕にヤバい奴の心理なんて分からないよ」
タイプが違うヤバい奴のことは理解できないらしい、別のタイプのヤバい奴‥コリンが言った。
ヤバい奴の特徴は、
自分がヤバい奴だって自覚がないこと。
「じゃあ‥悪の組織の親玉もそういうタイプの「ヤバい奴」だったのかな。元々は普通の奴だったけど、後にヤバくなった‥。
いや‥でも、ヤバい奴だったってバレたら協会に焼かれるのか? 」
ロナウは首を傾げると、コリンが苦笑いして
「メンバーが協会に苦情を入れたり、明らかな規則違反が協会にバレない限り結構協会は何も言わないよ? ってか、そこまで管理できないんじゃない? どれくらいの共同体があるって思ってんのさ」
ロナウを呆れた様な表情で見た。
うわ~嫌な表情~。
「‥案外。普通の人だったりするんじゃない? もしかしたら、‥凄くきっちりとして印象のいい「真面目で善良な人間」に見える人‥かもしれない。
もしくは‥「社会的に安定した印象がある」だけど、人とは違う可能性を感じさせる‥
何か人を惹きつける‥カリスマ性みたいなものがある人物‥」
ぼそ‥とシークが呟き、全員の視線がシークに集まる。
「シークさんにとって、カリスマ性のあるリーダーってどういうタイプですか? 」
コリンが尋ね、フタバが頷き、次の紙の上に「カリスマ性のあるリーダー」と書き加える。
「行動力があって、決断力があって、安全確認に抜かりが無くて、信頼がもてる人物。リーダーとしてメンバーに的確な指示が出せる人かな」
安全第一って感じ。
シークさんは冒険者だから常に危険と隣り合わせだ。だから、安全であるってことが一番重要なんだろう。だから、危険がないか‥周りを即座に確認でき、状況を正確に把握できる人間しか信頼できない。カリスマ‥っていいながら「尊敬できる」みたいな意味合いで使っているのだろう。
尊敬でき、憧れる人‥みたいな感じ。そういうのが表情やら行動やらににじみ出ちゃってる‥オーラがある人って感じかな。
だけど、冒険者だから、安全確認できる慎重さだけじゃなくって、確実に仕事が出来ないといけない。
度胸があることも大事。
堂々としてる、ってことも重要なんだ。
そして、目的達成の為に正確で迅速な判断力が重要で、それを即座に判断し、自分も含めたメンバーに的確に指示できる人間。そして、信頼に足る人物。
堂々としてて、安定感半端ない。きっと力もなくちゃ‥だろうからきっとムッキムキのマッチョ。いかつい顔してるけど実は部下想いの優しい‥「気は優しくて力持ち」な岩みたいな男。
それは、「冒険者におけるカリスマリーダー」だな‥って思う。
魔術士におけるカリスマリーダーとはきっと‥違う。
コリンはアンバーを振り向いた。
「アンバーにとってカリスマ性があるリーダーってどんなの? 」
聞いたけど‥
なんか「一応聞いてみたけど‥」って感じ。
「? 働く上でそりゃ上司はいるだろうが、別にその人柄に惹かれて部下になるわけじゃないだろ? 」
思いっきり、「知らねえよ」って顔してる‥。
そうだよね~。
魔法使いは、自分が一番偉いって思ってるから、「かっけー! アンタに付いて行くぜ! 」って人に対して思う事ってないんだよなぁ。
「う~ん。僕もザッカさんとナナフルさんの人柄に惹かれて、「この人たちの元で働きたい」とは思ったけど、「ザッカさん、かっけーです! 貴方こそ私の主君にふさわしい! 」って感じじゃないもんね~」
誰かに忠誠を誓う‥とか。そういうの、騎士っぽい。
でも、それは「カリスマ性に惹かれて」ってわけじゃないよね。
「カリスマ‥って何だろ‥」
まずそこからよくわからない。
フタバは首を傾げ‥
「‥魔術師は結構見た目を重視するところありますよね。
魔術にしても、身なりにしても‥きちんとしてない人なんて信用できないし、話をする気も起こらなって思いますよね。美貌以上に、魔術に優れてたり、魔術に花がある人に惹かれる‥ってとこありません? 」
ロナウとコリンに聞いた。
もしかして、アンバーも魔術師だからそういうところあるかな? って思ったけど‥でも、彼はそういうタイプではない気がする。「凄いね~。でもまあどうでもいいや」って思いそう‥(そういうクールなところもカッコイイ!! )フタバはウットリとアンバーを見つめた。
「‥カッコばっかりで中身スッカスカの魔術とか見たら、ぶっ飛ばすぞって思うけど‥確かに「こんな難解でマニアックな魔術! 」って魔術を見たら‥惹かれる‥
いや‥ないな。寧ろ「絶対僕も出来るようになってやる‥」って思うな‥憧れ‥憧れ‥なんだろ。どんなタイプだろ‥」
ってコリン。頭を抱え込んじゃってる‥。
ダメだこりゃ‥
「カリスマはよくわからないけど、学生時代凄く人気のある先輩いたじゃない。成績優秀で魔術に優れてて、性格もよかった。ああいう人のことじゃない?
あの人は、別に成績が一番ってわけでは無かったんだけど、努力家で、魔術に対する姿勢も真剣そのもので真面目で‥貪欲。品行方正ってわけでは無かったけど、人に好かれてた。人柄がよかったんだろうね。
だから皆先輩が大好きで、先輩は何時もみんなの視線の先にいた。
つまり、常に目立ってたんだ。
‥ああいうのって天性のもんなんだろうね。
ああいうタイプを「自然と人を集める人」っていうんじゃない? 」
ロナウが苦笑いして言った。
成程‥
成績が一番で努力家で魔法オタクだけど人に嫌われまくってたのがコリン‥ってことは、人‥特に魔術士を惹きつける何か‥ってのは「人柄」が一番重要ってことか?
「人柄‥って言っても、僕あの先輩の性格なんて知らない。全然親しくなかったから。‥でも、「この先輩は尊敬できるな」って思ったな‥。
代表委員会で話したとき(コリンは2年、先輩は3年の代表だった)‥うるさい感じじゃない‥落ち着いた低めの声で、無駄なことを話さない知的な感じ‥
そういう印象を持った‥」
つまり、平凡だった。
コリンは首を傾げる。
平凡だけど、「感じはよかった」
「それじゃない? 落ち着いた低めの声、無駄が無い話。あと‥顔も無駄にキラキラしてなくって無駄が無い感じ。‥私も好きだわ‥」
あ! って顔でフタバが言うと、
「そうだよね、あの先輩‥全然顔の印象は無い。だから、「かっこよくって皆の憧れ」とかじゃなかった」
ロナウが同意して頷いた。
「‥魔力もそう高くなかったんだろうね。全然、印象に残ってない」
コリンも頷き、しみじみと当時を思い出しながら呟くと、
「魔力が高い人って目立ちますものね。憧れるというより‥なんか‥嫌な感じを持つ‥って言うか‥生理的に‥」
ふふとフタバが苦笑いした。
「‥それ以上言わないであげて‥」
声が高めで、顔が無駄にキラキラしくって、魔術士に生理的嫌悪を抱かせるほど魔力が高いコリンをちらりと見て、ロナウがフタバを止めた。
「‥何!? なんで僕を見たの!? 」
「あ~」と呟き、アンバーが納得した様に頷く。
「つまり纏めると、魔術士にとって一般的に好感度が高い人物は
身なりがきちんとしていて、魔術の腕が基本よりも上、落ち着いた低めの声で、無駄話をしない。そして、顔が華美ではなく、魔力が高すぎないってことだね? 」
アンバーがまとめ、コリンたち三人が頷く。
「顔もね、悪すぎても目立つんだ。特に、肌荒れとか‥もう、気になって気になって‥「手入れしろよ‥」ってつい言っちゃうよね」
「それな」
‥それなのか。
だけど、
「肌荒れと‥あと、日焼け。魔術士って皆インドア派だから青白いくらい白いのに、その中に日焼けしてる人が混じるとやけに目立つ。もう気になって気になって‥。最初は見ちゃうんだけどそのうち、見ちゃう自分が嫌になって、もう絶対見ないって感じになる」
‥なんなの。魔術士ってちょっとヤバい人たちの集団なの。病んでるの? 教会とかで学んだことないから分からないけど、同じような人間が集まったらそんな感じなのか‥。
よかった、そんなとこ行ってなくって‥。
俺は髪も黒いし(← 珍しい)目も赤い(← 珍しい)、顔も華美‥って感じじゃないけど目立つ美形だし(自覚在り)魔力も高い‥。
絶対嫌われてたんだろうな‥。
ってアンバーは思ったんだけど、魔術士にとって黒い髪の毛は「かっけー羨ましい~」だし、赤い目も然り。顔も落ち着いた系の美形は人気だし(華やか系の美形が不人気なだけ。コリンは華やかではなく可憐系)声もいいアンバーはきっと大人気だったはずだ。(肌も白いし、美肌だし)憧れます! じゃなくって、カッコイイ~! 恋人になって~! って感じだな。それこそ、「あの先輩」とは違った層の人気者だっただろう。(まあ、それは余談だ)
にしても‥
なんだその「平凡そのものの人間」。特徴が無さ過ぎて、人込みに紛れそうだ‥。だけど、それこそ、悪人に向いてるって気もする。悪人にとって目立つことが最も良くない。
アンバーは苦笑いした。
「目立たないタイプ‥魔術師が憧れるタイプじゃなくって‥魔術士が安心出来て「好きなタイプ」‥それこそが「共同体のリーダー」の一般的なタイプ‥
そして、それなら「普通の人間」の中にいても悪目立ちしない‥
そして、共同体のリーダーならメンバーの魔力を自由に使える‥絶対的に服従させられる。
リーダーの力を最大限に高め続けることが出来れば、絶対に裏切らない部下を持ち続けられる
悪の組織の親玉が正規か不正規かはわからないけど共同体のリーダーであることは間違いないと思う。そして、協会がどの程度関与しているか分からないが、協会の中に悪の組織と関与している人物がいるだろうってことも間違いないだろう」
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