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183.コリンはネーミングセンスと自己管理能力が壊滅的。
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「この眼鏡に、『夜目が効くようになる』効果を付与すればいい。その為に、『夜目が効くようになる』魔法を研究して、付与できるように魔法陣を作って‥この眼鏡に、張る。
魔法陣を飲めるタイプにしたのが『魔薬』で、道具として使える様にしたのが『魔道具B』」
コリンが誰に聞かせるでもなく、そんな説明を始める。
耳栓までして集中してるからきっと、誰に話しかけてるのでもなく「一方的に説明している」だけなんだろう。
「魔道具BなにそのB」
ロナウは「どうせ聞いてないだろうけど」って想いながらコリンの手元を覗き込んで‥
うげ
ってなる。
‥なにこのメモ書き‥。凄い真っ黒って程書き込んであるけど‥。
フタバも「相変わらずね‥」って呆れた顔をしている。
成績は私が次席ってことになってたけど、この子の実力は‥学校の試験なんかじゃ測れない。そして、それは全部この子の努力によって勝ち取られたものだ。
「魔道具Bっていうのは、一般的な魔道具が「魔力を持つ者しか使えないもの」であるのにたいして、魔力が無い者でも使えるタイプの物をいう。
一般的な魔道具は、「その為に作られた特別な」道具に魔石をはめ込んでおり、その魔石に使用者の魔力を流すことにより使用することが出来るが、魔道具Bは、何の力もない「普通の道具」に魔法陣を張り付けることによって、特別な道具に変えたもののことを言う」
‥という説明は、ロナウの質問に答えたわけでは無い。
ただ、一方的な説明の続きをしているに過ぎない。
コリンはチラリともロナウを振り向くこともなく、紙に数式やらメモを書き続けている。
そして
「わかった。この図式だ! 」
とぱあ‥と花が咲くみたいな微笑を浮かべ、ばん!っとペンを置いて、
次の瞬間、凄い集中力で、魔法陣を描く特別な紙に魔法陣を描き始めた。
「‥キレイ‥」
魔法陣にとってはなんの価値もないであろう感想がひとりでにフタバの口から零れ落ちた。
それに、ロナウも思わず頷く。
細かくって、精密‥そしてそれは絵のように美しい魔法陣だった。
「よし‥これを眼鏡に張ろう‥」
書きあがってインクを乾かし終わった魔法陣を、コリンがにやり‥と笑って持ち上げる。
それを?
どうやって張るんだ?
二人が心の中で突っ込んだ瞬間。
魔法陣は「何の変哲もない眼鏡」にまるで吸い込まれるように入って行った。
「よし出来た。これで「夜でもものがハッキリ見える眼鏡」の完成だ」
耳栓を抜いて、コリンが満足そうに微笑む。
「商品名を決めよう‥そして、すべてが終わった暁には、これを商品化して売ろう。商品名は‥万人に分かりやすい方がいいな。
「夜目キクンダー(効くんだー)」ってどうだ
ね? どう思う? (同意を求めるように二人を振り向いて見上げる。すっごいイイ笑顔だ)」
日本だったら「夜目効く蔵君」って位の「よくある人の名前っぽい名前」だ。で、「(この国に)よくいそうな‥シュナイダーとかの~ダーを後ろにつけてみて、名前っぽくしてみた」って感じ。この国には勿論「~蔵さん」とかいないからね。
‥ダサい! ダサすぎる!!
(勿論同意するわけもなく)無表情で硬直する二人。
「ん? 不満? 「夜目効くスキー」の方がいい? 「夜目効くシュタイン」? 」
不満げな表情でコリンが首を傾げる。
‥もう喋らないでくれ‥。
「どうしたの? プルプルして‥。顔色悪いよ? 疲れてるの? ‥睡眠は十分とった方がいいよ」
全く‥って呆れ顔するけど‥
それは‥アンタにだけは言われたくない。昨日から寝てないよね?!
呆れ顔をしたいのはむしろこっちだ!
一言言ってやろう‥としたら、つい、とコリンが椅子から立ち上がり、窓辺に向かい、既に引かれていたカーテンに手を掛けながら
「まあ‥名前は後々考えるとして‥。兎に角、今日の夜これを試してみないとね‥ってもう、夜か」
真っ暗な庭を窓ガラス越しに見て言った。
はあ‥と小さくため息をつく。
コリンは朝から今まで食事も睡眠もとらずに机に向かっていた。
昨日の夜庭でコリンに会って、コリンはあの後寝ただろうか? ‥寝たとしてもきっと数時間しか眠れていないだろう。コリンは魔力量が多い魔法使いだから、たくさんご飯を食べなきゃいけないし、たくさん寝なきゃいけないはずだ。それなのに‥。
フタバはきゅっと眉を寄せて‥コリンを見た。
コリンの顔色は悪い。青いというより‥白い。だけどきっと、自分では気づいていないだろう。
集中したら自分の身体のことなんて全然気をつけない。コリンは昔からずっとこうだった。あの頃は親しくなかったからそれについてどうこういえなかったけど‥気になってはいた。
ロナウがため息をついて、
「その実験は明日でもいいから‥。今日はもう寝た方がいい」
言っても無駄だろうな‥って思いながら一応言ってみたら、
「そうだな。そうしたほうがいいな。今から試したら、きっと微調整やなんかで眠れなくなる。‥流石にちょっと‥」
そういって、コリンは何の前触れもなく‥
ばたーんと後ろに倒れて、そのまま寝てしまった。
「うわ~。魔力切れみたい‥。魔力‥というより、身体の機能が限界をむかえて、強制的に止まった‥って感じだね」
呆れ顔で、ロナウがコリンの身体を回収しようとして抱き上げて‥
「うわ! びっくりした! 軽すぎ! 」
って目を見開いて
「きっとフタバちゃんより軽いんじゃない?! フタバちゃんを持ったことは無いけど、なんかそんな気がする!! 」
‥余計なことを言った。(びっくりしすぎて、口が滑ったんだ)
そして‥はっと気づいて、フタバをおそるおそる振り向くと
「‥‥‥きっとそうね」
フタバは心配そうに、ロナウに抱えられたコリンを見つめていた。
‥良かった気にしてなかったー!!
魔法陣を飲めるタイプにしたのが『魔薬』で、道具として使える様にしたのが『魔道具B』」
コリンが誰に聞かせるでもなく、そんな説明を始める。
耳栓までして集中してるからきっと、誰に話しかけてるのでもなく「一方的に説明している」だけなんだろう。
「魔道具BなにそのB」
ロナウは「どうせ聞いてないだろうけど」って想いながらコリンの手元を覗き込んで‥
うげ
ってなる。
‥なにこのメモ書き‥。凄い真っ黒って程書き込んであるけど‥。
フタバも「相変わらずね‥」って呆れた顔をしている。
成績は私が次席ってことになってたけど、この子の実力は‥学校の試験なんかじゃ測れない。そして、それは全部この子の努力によって勝ち取られたものだ。
「魔道具Bっていうのは、一般的な魔道具が「魔力を持つ者しか使えないもの」であるのにたいして、魔力が無い者でも使えるタイプの物をいう。
一般的な魔道具は、「その為に作られた特別な」道具に魔石をはめ込んでおり、その魔石に使用者の魔力を流すことにより使用することが出来るが、魔道具Bは、何の力もない「普通の道具」に魔法陣を張り付けることによって、特別な道具に変えたもののことを言う」
‥という説明は、ロナウの質問に答えたわけでは無い。
ただ、一方的な説明の続きをしているに過ぎない。
コリンはチラリともロナウを振り向くこともなく、紙に数式やらメモを書き続けている。
そして
「わかった。この図式だ! 」
とぱあ‥と花が咲くみたいな微笑を浮かべ、ばん!っとペンを置いて、
次の瞬間、凄い集中力で、魔法陣を描く特別な紙に魔法陣を描き始めた。
「‥キレイ‥」
魔法陣にとってはなんの価値もないであろう感想がひとりでにフタバの口から零れ落ちた。
それに、ロナウも思わず頷く。
細かくって、精密‥そしてそれは絵のように美しい魔法陣だった。
「よし‥これを眼鏡に張ろう‥」
書きあがってインクを乾かし終わった魔法陣を、コリンがにやり‥と笑って持ち上げる。
それを?
どうやって張るんだ?
二人が心の中で突っ込んだ瞬間。
魔法陣は「何の変哲もない眼鏡」にまるで吸い込まれるように入って行った。
「よし出来た。これで「夜でもものがハッキリ見える眼鏡」の完成だ」
耳栓を抜いて、コリンが満足そうに微笑む。
「商品名を決めよう‥そして、すべてが終わった暁には、これを商品化して売ろう。商品名は‥万人に分かりやすい方がいいな。
「夜目キクンダー(効くんだー)」ってどうだ
ね? どう思う? (同意を求めるように二人を振り向いて見上げる。すっごいイイ笑顔だ)」
日本だったら「夜目効く蔵君」って位の「よくある人の名前っぽい名前」だ。で、「(この国に)よくいそうな‥シュナイダーとかの~ダーを後ろにつけてみて、名前っぽくしてみた」って感じ。この国には勿論「~蔵さん」とかいないからね。
‥ダサい! ダサすぎる!!
(勿論同意するわけもなく)無表情で硬直する二人。
「ん? 不満? 「夜目効くスキー」の方がいい? 「夜目効くシュタイン」? 」
不満げな表情でコリンが首を傾げる。
‥もう喋らないでくれ‥。
「どうしたの? プルプルして‥。顔色悪いよ? 疲れてるの? ‥睡眠は十分とった方がいいよ」
全く‥って呆れ顔するけど‥
それは‥アンタにだけは言われたくない。昨日から寝てないよね?!
呆れ顔をしたいのはむしろこっちだ!
一言言ってやろう‥としたら、つい、とコリンが椅子から立ち上がり、窓辺に向かい、既に引かれていたカーテンに手を掛けながら
「まあ‥名前は後々考えるとして‥。兎に角、今日の夜これを試してみないとね‥ってもう、夜か」
真っ暗な庭を窓ガラス越しに見て言った。
はあ‥と小さくため息をつく。
コリンは朝から今まで食事も睡眠もとらずに机に向かっていた。
昨日の夜庭でコリンに会って、コリンはあの後寝ただろうか? ‥寝たとしてもきっと数時間しか眠れていないだろう。コリンは魔力量が多い魔法使いだから、たくさんご飯を食べなきゃいけないし、たくさん寝なきゃいけないはずだ。それなのに‥。
フタバはきゅっと眉を寄せて‥コリンを見た。
コリンの顔色は悪い。青いというより‥白い。だけどきっと、自分では気づいていないだろう。
集中したら自分の身体のことなんて全然気をつけない。コリンは昔からずっとこうだった。あの頃は親しくなかったからそれについてどうこういえなかったけど‥気になってはいた。
ロナウがため息をついて、
「その実験は明日でもいいから‥。今日はもう寝た方がいい」
言っても無駄だろうな‥って思いながら一応言ってみたら、
「そうだな。そうしたほうがいいな。今から試したら、きっと微調整やなんかで眠れなくなる。‥流石にちょっと‥」
そういって、コリンは何の前触れもなく‥
ばたーんと後ろに倒れて、そのまま寝てしまった。
「うわ~。魔力切れみたい‥。魔力‥というより、身体の機能が限界をむかえて、強制的に止まった‥って感じだね」
呆れ顔で、ロナウがコリンの身体を回収しようとして抱き上げて‥
「うわ! びっくりした! 軽すぎ! 」
って目を見開いて
「きっとフタバちゃんより軽いんじゃない?! フタバちゃんを持ったことは無いけど、なんかそんな気がする!! 」
‥余計なことを言った。(びっくりしすぎて、口が滑ったんだ)
そして‥はっと気づいて、フタバをおそるおそる振り向くと
「‥‥‥きっとそうね」
フタバは心配そうに、ロナウに抱えられたコリンを見つめていた。
‥良かった気にしてなかったー!!
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