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253.祭りの前

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 そうだ。そうおやっさんにも言ってこっちに戻してもらった。
 別に許してもらえたわけでは無い。期間限定で、罰の執行を遅くしてもらっただけだ。
 終わったら誓約士協会に戻される。‥そう誓約させられた。
 それは変わらない。

 誓約士が誓約士にする誓約なんて‥もう奴隷契約確定みたい。洒落にならない。
 
 その前に‥
 シークさんに最後に会っておきたい。ザッカさんとナナフルさん、アンバーにも、だ。
 家族には‥それでもいつかは会えるだろう。
 まさか誓約士協会といえど、一生ただ働きさせることはないだろう。‥そこまで鬼畜じゃないだろう。

「シークさんに連絡したい」
 って僕が言うと、フタバちゃんは
「もうザッカさんに連絡しておいた。明日三人で向かいましょう。‥コッソリね」
 って言った。
 一応僕は「ジェラルナン家で保護観察中」なんだって。
 ‥凶悪犯じゃないんだから、別にそこまでしないでも‥って思う。
 まあ‥逃亡の危険は‥あるわな。 
 僕はフタバちゃんにお礼を言った。

 その後は、誓約士協会でどんなことを聞かれたのか、どんな話をしたのかって話になった。
「誓約士協会には、協力を要請しておいた。誓約士協会は魔術士協会に対していい感情持ってないから、容易に頼むことが出来た」
 って言ったら、
「‥その為に契約士協会に行ったのか? ‥こうなるってことは分かってたんだよね? ‥僕たちだけで出来ないって思ったの? 」
 ってロナウに不機嫌な顔されたけど‥
 だけど僕は‥
 絶対に誰も死んでほしくなかったんだ。
 数が居れば‥っていうのは一番の理由だけど、一番大事なのは目撃者の数だ。
 僕たちだけが行ったって、消されて、「無かったこと」にされるのがオチだ。
 たとえ、大打撃を与えられようと‥僕らさえ「無かったこと」にしたら‥奴らはいくらでも「やり直し」をかけて来る。
 無かったことが一番ダメなんだ。

 そんなこといったら僕が自信ない様に聞こえるかもしれないけど‥自信ならある。
 今までいろんなことがあって、味方も沢山手に入ったし、‥僕も成長した。
 あんなに「他人のことなんて興味ない団体」の誓約士協会も今は頼もしい味方だ。

 僕の顔をじっと睨んでいるロナウのおでこをピンとはじいて
「馬鹿言わないでよ。僕は無敵だ。そんな僕の仲間たちも無敵じゃないわけない。だけど‥僕らだけが行ったって詰まんないじゃない。ギャラリーが居なくちゃ。僕らの偉業を目にして、後世に語る役もいる。それに、こんなお祭り僕ら一人で楽しんだら勿体ないでしょ? 」
 って言った。
 言いながら、どんどん「そりゃそうだな」「面白そうだな」って思えてきた。
 横でフタバちゃんが「確かに‥」って呟くのが聞こえた。
 目がキラキラしてる。
 そうだ。フタバちゃんも僕ほどじゃないけど魔法マニアだった。

「最高の祭りになるように、準備は念入りにしないとね」
 僕ら三人はにやりと‥
 悪い顔で笑った。
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