愛念

pAp1Ko

文字の大きさ
7 / 13
本編

しおりを挟む
「ルノ兄、何を、隠しているの?」
「....。」
「...ルノ兄、ルノ兄が嘘や本来思ってることじゃないことを言うとき、目を細めたり、伏せたりするんだよ。...知ってる?」

ああ、台詞はバレているのだろう。全てが偽りだった僕を、知っているんだ。そう思うと、全てがどうでも良くなった。エレオノールに身体を起こしてもらい、紙とペンを用意させて、力の入らない腕で汚い文字を書き連ねた。

前世の記憶があり、この世界が本の中の世界だと知ったこと、抗っても良い結果にはならないと知っていた為、台本通りに台詞を言って、婚約破棄をしたこと。婚約破棄すれば廃嫡されることを知っていたこと。廃嫡後は国外追放で奴隷に落ち、昼夜ともに奉仕することを知っていたこと。奴隷になるくらいなら死んだほうがマシだと思ったこと。念の為に足を使えなくしたことを、書き連ねた。

「...前世、伝承にある記憶者ってやつか。」
「そ、だ。」
「....卒業パーティーの時の惹かれている女性がいるっていうのは。」
「う、そ。」
「....じゃあ、もう一度マリアネルと婚約するの?」
「し、な、。ま、りあ、ねる。は、きみ、とこんやくを、する、だ。」
「....何、言ってるの?」
「そ、う、いう、だい、ほん、。ぼ、くは、も、う、いら、ない。」

「―――っ、なんで!なんで、そんなこと言うんだよ!!」
「...な、、にを、きみ、は、ぼく、、きらい、でしょ、。」
「ああ、そうだよ!台本・・に沿った台詞・・を言って過ごしていた兄上・・のことはね!!...でも、でも、そうじゃないときの、頭を撫でてくれたりしたルノ兄・・・は、今、こうやって会話をしてくれるルノ兄が、俺は、好きなんだ...。」

何故、今、なのか。それなら、もっと早く言ってくれたって良かったじゃないか。そうしたら、僕は、...ああ、全てが遅かったんだ。今生で人の感情を理解できなかった、読み取れなかったのが、ここで来るのか。...ああ、なんて。愚かだったのだろうか。


「......え、れお、のーる。」
「!!」
「....え、れ、ん?」

今まで、『君』と呼んでいた。今、初めて名前を口にした。今、初めて愛称で呼んだ。

「...ルノ、兄。今、名前。エレンって、なんで、。」
「...だ、いほん、は、いら、ない。もう、やくめが、おわった、なら。すき、に、うご、ても、いい、だろ、?」
「....っああ、そうだね。...そう、だよね。ルノ兄は、自由だ。」
「...ふふ、つか、れたな。」
「うん、おやすみ。ルノ兄。また明日。」

そう言って、僕の目に手を添えてくるエレオノール。今世では、初めての人の温かさを感じて、少し安心して眠りについた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

王と宰相は妻達黙認の秘密の関係

ミクリ21 (新)
BL
王と宰相は、妻も子もいるけど秘密の関係。 でも妻達は黙認している。 だって妻達は………。

ヤンデレ王子と哀れなおっさん辺境伯 恋も人生も二度目なら

音無野ウサギ
BL
ある日おっさん辺境伯ゲオハルトは美貌の第三王子リヒトにぺろりと食べられてしまいました。 しかも貴族たちに濡れ場を聞かれてしまい…… ところが権力者による性的搾取かと思われた出来事には実はもう少し深いわけが…… だって第三王子には前世の記憶があったから! といった感じの話です。おっさんがグチョグチョにされていても許してくださる方どうぞ。 濡れ場回にはタイトルに※をいれています おっさん企画を知ってから自分なりのおっさん受けってどんな形かなって考えていて生まれた話です。 この作品はムーンライトノベルズでも公開しています。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...