子ども泥棒 ヘッポコ・エイト2世

第1話 ヘッポコ・エイト２世 VS おもちゃ屋

ワルザラス

ブロックをもらったヘッポコ・エイト２世は大喜びでお屋敷に帰るとチュッパとチャップスも呼んで早速遊びはじめた。
車にロボット、お城に遊園地、いくら作ってもブロックは全然減らないし、どんどん夢中になって何日も何日もブロックで遊んだ。

悪いことっていうのは、いつもそ～っと近づいてくるもので事件が起きたのは、そんな時だった
町の外れに新しいおもちゃ屋「ワルザラス」がやって来た。
「ワルザラス」は世界中のあちこちにあるから、もしかしたら君の住んでる町にもあるかもね。
だったら知ってるでしょう？

どこでも「ワルザラス」は開店すると、最初だけうんとおもちゃを安く売る。
大人たちは子供のおもちゃを「ワルザラス」ばっかりで買うようになるから町にある他のおもちゃ屋さんは潰れちゃう。
そうして町から他のおもちゃ屋さんが全部無くなったら、今度はうんと高くおもちゃを売りつける。
でも気づいた時には、もう手遅れ。他におもちゃ屋が無くなっちゃったから、みんな高くても「ワルザラス」でおもちゃを買わされるはめになるって話し。

「ワルザラス」に目を付けられたら最後、おもちゃがどんどん高級品になって子供たちは、おもちゃをなかなか買ってもらえなくなっちゃう。

でもね、この町だけは違ったんだ。だってお父さんもお母さんも子供のころ、おじいさんとおばあさんのおもちゃ屋さんで遊んだし大好きだった。もちろん子供たちも「ワルザラス」なんかより、おじいさんとおばあさんのおもちゃ屋さんが大好きだったから、いくら安くたって誰も「ワルザラス」になんて行かないし、まして買い物なんてしなかった。

開店して、おもちゃをうんと安くしても全然まったく町の人たちが買いに来ないもんだから「ワルザラス」の店長は機嫌が悪いしイライラしていた。そうして事件はおこった。
おじいさんとおばあさんのおもちゃ屋さんがお休みの日「ワルザラス」のトラックがわざとお店に突っ込んだ。ちょっと当たったとか、ぶつかったなんてもんじゃない。
猛スピードでシャッターを突き破ったトラックはお店のなかをぐるぐる走り回ってお店のなかをグチャグチャにしてまわった。
あんなにたくさんあったおもちゃはタイヤに踏まれてみんなペッチャンコ、柱も壁も穴だらけ
悔しいし悲しいけど、おじいさんとおばあさんのおもちゃ屋さん店じまい。二人はショックのあまり寝込んでしまった。

ヘッポコ・エイト２世は、ブロックに夢中になってたから「ワルザラス」のことも、大好きなおもちゃ屋さんが無くなったことも、何日もあとになってから知ったんだ。
おもちゃ屋さんが、ただの空き地になっているのを見てビックリ！！
すぐに「ワルザラス」のしわざだって知ってカンカンに怒った！！！
ホントにカンカンに怒ってた。なんでわかるかって、そりゃぁヘッポコ・エイト２世の頭から
湯気が出てたから間違いない。ホントにすんごくカンカンに怒ってた。