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ピエロ
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『おめえはほんとに不器用だなア!』
義父の罵り声が耳元で聴こえた。包丁で野菜を切る紗雪の小さな手が震えた。
紗雪の母は、紗雪が小学校に入った頃に彼女を連れて逃げた。原因は恐らく、実父のDVだ。実父とはそれから一度も連絡を取る事はなく、紗雪が三十を過ぎた頃に借金の督促状が届いて、実父の死を知った。
母は一人で生きる力の無い人で、実父の元を飛び出してから数ヶ月後には、義父と再婚した。高校卒業まで義父と暮した十年以上の日々は――――。
思い出したくもない記憶ばかりだ。
大工で気性の荒かった義父は、紗雪が知恵を付けるのをとにかく嫌がった。女は男より勉強が出来ると可愛くない、良い成績を取るな、飯も食うな、女は家事を学ぶのが大事、そんな言葉をシャワーのように浴びせられて紗雪は育った。
『おめえはほんとうに何の取り柄もねえな!』
別の部屋に避難して宿題をしていても、「料理を作ってみせろ」とすぐに呼ばれる。紗雪が小学生で、夜中でもテストの前日でも構わずに呼び出される。そして横でずっと罵倒されるのだ。母も「女の子は家事が出来ないとダメだから」と助けてくれなかった。
『おい、安産岩!』
義父が紗雪の尻をゴツゴツした手で揉んだ。その手を悲鳴を上げて振り払おうとして、紗雪は自分の声に飛び起きた。
暗い自分のアパートで、震えながら毛布にくるまって呼吸がおさまるのを待った。ベッドはあの事件の後に捨てた。学生の頃は過呼吸になる事も多かったけれど、一人暮らしをしてから段々落ち着いていた。
それでも。
(もう一生このまま、苦しいままなんだろうな)
昨日タキにLINEで食べられるか聞いて、おにぎりの海苔や具を幾つか買った。それを今日の朝、料理しなければいけない、というのが、きっと紗雪自身にとってはとてつもないプレッシャーなんだろう。家を出てから二十年が経ち、煮るだけ、焼くだけなどの簡単な料理なら出来るようになったけれど。他人にストレスを感じずに何か振舞う、というのが、未だに飲み物位しか出来ない。
ティッシュで涙を拭って、毛布を被ったまま、先週タキに貰ったクッキーに手を伸ばして一枚だけ齧った。味は分からなかった。
自分のこんな本性を見せたら、タキにはきっと嫌われるなという予感があった。
(でも会えるの嬉しいなあ)
午前三時。古本市の朝が、来ようとしていた。
「え、本当に作って来てくれたんですか?………すごい嬉しいです」
店の前で合流したタキは、お昼におにぎりを作って来た旨を伝えると、顔をクシャっと綻ばせた。深緑の帽子に細い銀縁の眼鏡を掛けている。
商店街の好意でバンを一日千円で貸して貰えた。紗雪は朝一でなんとか段ボール十箱の本と画材とディスプレイ用品などをバンに詰め込んだ。
「俺は社用車のバンを度々運転しているので、大丈夫だと思います」
二人で車に乗り込むと、紗雪はいつもイベントの時に感じるワクワクした気持ちと、タキと出掛ける高揚感で朝の陰鬱とした気分が大分晴れていった。
目指すは国分寺だ。
タキには今日の搬入と数日後の搬出だけ手伝って貰うつもりだったが、
「え、俺ヒマなんで店番とかもしますよ?接客業はあんまりした事ないですけど」
とタキは手伝いを買って出た。一度は「いいえそこまでは」と固辞した紗雪だったが、正直一人で全てをこなすのは大変だったので、タキの好意に甘える事にした。
(た、助かる………)
テントのみは運営で用意してくれるけれど、設営で什器を組み立てて並べるのなど、力仕事は男性だと早さが段違いだ。しかも、タキは工場のバイトが長いせいなのか手際が良い。
「凄い。榎本さん工場でのお仕事長いんですか」
「ああ、そうですね。三十過ぎからなので、もう六年位してますね」
イベントによっては本に挟むスリップで区別して、全部のお店の会計を一つのレジで捌く場合もある。しかし今回は駅近くの公園を使った大規模イベントで、勿論お店ごとの会計だ。見込み客数も多く、隣接する商店街も同時期にスタンプラリーのイベントを企画している。
「良かったです。無事に設営出来て」
もうすぐイベント開始のアナウンスを聞きながら、隣に立つ紗雪にパーカー姿のタキが微笑みかけた。
「はい。榎本さん、本当にありがとうございます」
紗雪は頭を下げた。
「いいえ。俺、こういうの初めてで、なんだか楽しみです」
秋の気配が濃くなってゆく公園の朝、こうして二人でこなす初めての古本市が始まった。
その日は天高く快晴で、客の入りも順調だった。
(いや、紗雪さんの店、特に人気あるんだな)
絵本と芸術書を三百円から売っている紗雪の店は、親子連れと学生が多い。美術館やギャラリーなどの関係者で、明らかにこの店目当てに訪れる客も数人いた。子供の顔に好きな動物を可愛らしくミックスして描く紗雪のスケッチも好評で、お昼までに二十枚は描いただろうか。
「ここのイベントは毎年大盛況なんですよね。クラフトのブースや屋台もあって」
電卓を使ってタキはなんとか会計の計算と、金銭の授受が出来るようになった。
「榎本さん人当たりが良いから、接客業向いてると思いますよ」
「本当ですか?実は俺、三十過ぎてから東京の通信制高校を出たので、それまで中卒で。バイトの面接を受けても落ちる事が多くて。レジとかする機会が無かったんですよね」
「あ、そうなんですか……」
接客と棚直しの合間に雑談を交わした。お昼も交代でなんとかとれた。夕方前、持って来た本の減りが激しく、一度店に取りに帰らなきゃねと話している時に。
「おい、姉ちゃん」
それまでとは随分毛色の違う客に、急に話し掛けられた。
「あ、はい」
「『あ、はい』じゃねえよ。なんで女が古本屋なんかやってるんだよ。家で飯でも作ってろよ」
タキは眉間に皺を寄せた。六十絡みの黒い破れたスウェット姿の男で、色褪せたハンチング帽を被り、左手に度数の強い缶チューハイを持っている。明らかに酔っていた。
「………古本屋をするのに男とか女とか関係ないと思います。ご不快でしたら当店ではご購入頂かなくて結構ですので」
紗雪は落ち着いた調子で対応した。慣れている様子が窺えた。
「なんだと。俺は忠告してやってるんだぞ!」
男は激昂して紗雪に唾を飛ばした。商品に酒をかけそうな勢いだ。親子連れがジロジロ見て店から離れてゆく。タキは思わず割って入った。
「すみません、お客様。他のお客様のご迷惑ですので」
「なんだお前は!お前が亭主なのか!?」
「………そうです」
紗雪の方を見ずにタキは答えた。紗雪と、ついでに紗雪の知り合いらしい向かいと両隣の店主もびっくりしたようにタキを見ていた。
「はい、はいお客さんこっちね!はい、西岡君そっちの肩持って!」
その時、運営の青いジャンパーを着た男性数人が駆けて来て、瞬く間に男の両肩を持って連行して行った。男は何やら喚きながらみるみる遠くなってゆく。
「朝霧さん、大丈夫でした?すみません、不審者をすぐに見つけられなくて」
細い黒縁メガネの主催者らしき男性が、紗雪に声を掛ける。
「いいえ。いつもありがとうございます。こちらのイベントは迅速に対応して頂けるので、安心して参加出来ます」
「とんでもないです。………でも今回はお連れの方がご一緒のようで、安心しました」
主催者はニッコリ笑うと爽やかに去って行った。紗雪は顔が真っ赤だ。
「す、すみません朝霧さん。俺が余計な事を言ったので!」
テントに戻って来た紗雪に、タキが謝る。お客はなかなか戻って来ない。
「あ、いいえ…………いいえ。いいんです」
「…………あの、朝霧さん」
思い切ってタキは口を開いた。
「はい」
「もしご迷惑じゃなかったら、月に数回、俺が休みの日にイベントを手伝わせて貰えないですか?俺、平日だったら休みは結構融通効くので」
「………でも、それは流石に………」
「今日みたいな事、結構多いんじゃないですか?………俺、朝霧さんが心配なので…………」
紗雪の更に赤くなった横顔が、夕日に滲んでいた。………綺麗だった。
「………………本当に、空いている時だけでいいので」
長い沈黙の後、蚊の泣くような声で紗雪が言った。タキは内心ガッツポーズをした。勇気を振り絞って良かった。
「あ、あのお礼はどうしましょう。今日は持てるだけ本を差し上げようと思ったのですが」
「時々本を貰えるだけで全然大丈夫ですよ。あ、あと………」
「?」
「敬語、使うの止めませんか。あと、俺の事は名前で呼んで貰えたら嬉しいです」
「あ、ええと」
「『タキ』です」
「あ、はい………あ、うん」
紗雪はタキを名前で呼ぼうとしたが、恥ずかしすぎて声が上手く出て来なかった。
「あ、じゃあ………私の事も名前で呼んで下さい」
「紗雪さん、で良いですか?」
「あ…………あ……………さゆ、だと嬉しい」
紗雪、は義父が呼んでいた名前なので、大学以降の友達には『さゆ』と呼んで貰っていた。
「さゆさん」
「は、はい」
「今、お付き合いしている方、いる?」
「……えと……………ううん、いない…………」
ずっといないとは言いづらく、紗雪は小さく首を振った。
「そっか…………………良かったです」
その時、色とりどりの風船を持ったピエロが古本市のコーナーへとゆっくり入ってきた。子供達の歓声が上がり、市は活気を取り戻した。
義父の罵り声が耳元で聴こえた。包丁で野菜を切る紗雪の小さな手が震えた。
紗雪の母は、紗雪が小学校に入った頃に彼女を連れて逃げた。原因は恐らく、実父のDVだ。実父とはそれから一度も連絡を取る事はなく、紗雪が三十を過ぎた頃に借金の督促状が届いて、実父の死を知った。
母は一人で生きる力の無い人で、実父の元を飛び出してから数ヶ月後には、義父と再婚した。高校卒業まで義父と暮した十年以上の日々は――――。
思い出したくもない記憶ばかりだ。
大工で気性の荒かった義父は、紗雪が知恵を付けるのをとにかく嫌がった。女は男より勉強が出来ると可愛くない、良い成績を取るな、飯も食うな、女は家事を学ぶのが大事、そんな言葉をシャワーのように浴びせられて紗雪は育った。
『おめえはほんとうに何の取り柄もねえな!』
別の部屋に避難して宿題をしていても、「料理を作ってみせろ」とすぐに呼ばれる。紗雪が小学生で、夜中でもテストの前日でも構わずに呼び出される。そして横でずっと罵倒されるのだ。母も「女の子は家事が出来ないとダメだから」と助けてくれなかった。
『おい、安産岩!』
義父が紗雪の尻をゴツゴツした手で揉んだ。その手を悲鳴を上げて振り払おうとして、紗雪は自分の声に飛び起きた。
暗い自分のアパートで、震えながら毛布にくるまって呼吸がおさまるのを待った。ベッドはあの事件の後に捨てた。学生の頃は過呼吸になる事も多かったけれど、一人暮らしをしてから段々落ち着いていた。
それでも。
(もう一生このまま、苦しいままなんだろうな)
昨日タキにLINEで食べられるか聞いて、おにぎりの海苔や具を幾つか買った。それを今日の朝、料理しなければいけない、というのが、きっと紗雪自身にとってはとてつもないプレッシャーなんだろう。家を出てから二十年が経ち、煮るだけ、焼くだけなどの簡単な料理なら出来るようになったけれど。他人にストレスを感じずに何か振舞う、というのが、未だに飲み物位しか出来ない。
ティッシュで涙を拭って、毛布を被ったまま、先週タキに貰ったクッキーに手を伸ばして一枚だけ齧った。味は分からなかった。
自分のこんな本性を見せたら、タキにはきっと嫌われるなという予感があった。
(でも会えるの嬉しいなあ)
午前三時。古本市の朝が、来ようとしていた。
「え、本当に作って来てくれたんですか?………すごい嬉しいです」
店の前で合流したタキは、お昼におにぎりを作って来た旨を伝えると、顔をクシャっと綻ばせた。深緑の帽子に細い銀縁の眼鏡を掛けている。
商店街の好意でバンを一日千円で貸して貰えた。紗雪は朝一でなんとか段ボール十箱の本と画材とディスプレイ用品などをバンに詰め込んだ。
「俺は社用車のバンを度々運転しているので、大丈夫だと思います」
二人で車に乗り込むと、紗雪はいつもイベントの時に感じるワクワクした気持ちと、タキと出掛ける高揚感で朝の陰鬱とした気分が大分晴れていった。
目指すは国分寺だ。
タキには今日の搬入と数日後の搬出だけ手伝って貰うつもりだったが、
「え、俺ヒマなんで店番とかもしますよ?接客業はあんまりした事ないですけど」
とタキは手伝いを買って出た。一度は「いいえそこまでは」と固辞した紗雪だったが、正直一人で全てをこなすのは大変だったので、タキの好意に甘える事にした。
(た、助かる………)
テントのみは運営で用意してくれるけれど、設営で什器を組み立てて並べるのなど、力仕事は男性だと早さが段違いだ。しかも、タキは工場のバイトが長いせいなのか手際が良い。
「凄い。榎本さん工場でのお仕事長いんですか」
「ああ、そうですね。三十過ぎからなので、もう六年位してますね」
イベントによっては本に挟むスリップで区別して、全部のお店の会計を一つのレジで捌く場合もある。しかし今回は駅近くの公園を使った大規模イベントで、勿論お店ごとの会計だ。見込み客数も多く、隣接する商店街も同時期にスタンプラリーのイベントを企画している。
「良かったです。無事に設営出来て」
もうすぐイベント開始のアナウンスを聞きながら、隣に立つ紗雪にパーカー姿のタキが微笑みかけた。
「はい。榎本さん、本当にありがとうございます」
紗雪は頭を下げた。
「いいえ。俺、こういうの初めてで、なんだか楽しみです」
秋の気配が濃くなってゆく公園の朝、こうして二人でこなす初めての古本市が始まった。
その日は天高く快晴で、客の入りも順調だった。
(いや、紗雪さんの店、特に人気あるんだな)
絵本と芸術書を三百円から売っている紗雪の店は、親子連れと学生が多い。美術館やギャラリーなどの関係者で、明らかにこの店目当てに訪れる客も数人いた。子供の顔に好きな動物を可愛らしくミックスして描く紗雪のスケッチも好評で、お昼までに二十枚は描いただろうか。
「ここのイベントは毎年大盛況なんですよね。クラフトのブースや屋台もあって」
電卓を使ってタキはなんとか会計の計算と、金銭の授受が出来るようになった。
「榎本さん人当たりが良いから、接客業向いてると思いますよ」
「本当ですか?実は俺、三十過ぎてから東京の通信制高校を出たので、それまで中卒で。バイトの面接を受けても落ちる事が多くて。レジとかする機会が無かったんですよね」
「あ、そうなんですか……」
接客と棚直しの合間に雑談を交わした。お昼も交代でなんとかとれた。夕方前、持って来た本の減りが激しく、一度店に取りに帰らなきゃねと話している時に。
「おい、姉ちゃん」
それまでとは随分毛色の違う客に、急に話し掛けられた。
「あ、はい」
「『あ、はい』じゃねえよ。なんで女が古本屋なんかやってるんだよ。家で飯でも作ってろよ」
タキは眉間に皺を寄せた。六十絡みの黒い破れたスウェット姿の男で、色褪せたハンチング帽を被り、左手に度数の強い缶チューハイを持っている。明らかに酔っていた。
「………古本屋をするのに男とか女とか関係ないと思います。ご不快でしたら当店ではご購入頂かなくて結構ですので」
紗雪は落ち着いた調子で対応した。慣れている様子が窺えた。
「なんだと。俺は忠告してやってるんだぞ!」
男は激昂して紗雪に唾を飛ばした。商品に酒をかけそうな勢いだ。親子連れがジロジロ見て店から離れてゆく。タキは思わず割って入った。
「すみません、お客様。他のお客様のご迷惑ですので」
「なんだお前は!お前が亭主なのか!?」
「………そうです」
紗雪の方を見ずにタキは答えた。紗雪と、ついでに紗雪の知り合いらしい向かいと両隣の店主もびっくりしたようにタキを見ていた。
「はい、はいお客さんこっちね!はい、西岡君そっちの肩持って!」
その時、運営の青いジャンパーを着た男性数人が駆けて来て、瞬く間に男の両肩を持って連行して行った。男は何やら喚きながらみるみる遠くなってゆく。
「朝霧さん、大丈夫でした?すみません、不審者をすぐに見つけられなくて」
細い黒縁メガネの主催者らしき男性が、紗雪に声を掛ける。
「いいえ。いつもありがとうございます。こちらのイベントは迅速に対応して頂けるので、安心して参加出来ます」
「とんでもないです。………でも今回はお連れの方がご一緒のようで、安心しました」
主催者はニッコリ笑うと爽やかに去って行った。紗雪は顔が真っ赤だ。
「す、すみません朝霧さん。俺が余計な事を言ったので!」
テントに戻って来た紗雪に、タキが謝る。お客はなかなか戻って来ない。
「あ、いいえ…………いいえ。いいんです」
「…………あの、朝霧さん」
思い切ってタキは口を開いた。
「はい」
「もしご迷惑じゃなかったら、月に数回、俺が休みの日にイベントを手伝わせて貰えないですか?俺、平日だったら休みは結構融通効くので」
「………でも、それは流石に………」
「今日みたいな事、結構多いんじゃないですか?………俺、朝霧さんが心配なので…………」
紗雪の更に赤くなった横顔が、夕日に滲んでいた。………綺麗だった。
「………………本当に、空いている時だけでいいので」
長い沈黙の後、蚊の泣くような声で紗雪が言った。タキは内心ガッツポーズをした。勇気を振り絞って良かった。
「あ、あのお礼はどうしましょう。今日は持てるだけ本を差し上げようと思ったのですが」
「時々本を貰えるだけで全然大丈夫ですよ。あ、あと………」
「?」
「敬語、使うの止めませんか。あと、俺の事は名前で呼んで貰えたら嬉しいです」
「あ、ええと」
「『タキ』です」
「あ、はい………あ、うん」
紗雪はタキを名前で呼ぼうとしたが、恥ずかしすぎて声が上手く出て来なかった。
「あ、じゃあ………私の事も名前で呼んで下さい」
「紗雪さん、で良いですか?」
「あ…………あ……………さゆ、だと嬉しい」
紗雪、は義父が呼んでいた名前なので、大学以降の友達には『さゆ』と呼んで貰っていた。
「さゆさん」
「は、はい」
「今、お付き合いしている方、いる?」
「……えと……………ううん、いない…………」
ずっといないとは言いづらく、紗雪は小さく首を振った。
「そっか…………………良かったです」
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