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決意
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タキは作業着のまま、薄暗い埼玉県の総合病院の廊下を走った。スニーカーの音が、シンとした院内に鳴り響いた。
「さゆ!」
個室のドアを勢い良く開けると、看護師がびっくりして振り向いた。
「あ、すみません・・・」
「お知り合いですか?」
看護師が声を掛けた先には、ベッドサイドの椅子に、斑に染まったピンクの髪の女性がいた。
「あ、そうです・・・」
湊は泣き腫らした眼で、そう答えた。点滴の交換を終えた看護師は、礼をして去って行く。
「連絡ありがとう、湊」
「タキ、バイトは?」
「早退して来た」
タキは壁に立て掛けてあったパイプ椅子を引き寄せて座る。湊は力無く首を振った。
「さゆさん、群馬の山奥のキャンプ場で見つかったんだよ」
「なんでそんな所に・・・」
さゆが自分で行ったわけではない。タキはさゆを振り返ってギョッとした。両眼が、いや、顔全体が尋常でなく腫れている。片目は眼帯だ。パッと見誰か分からない。腕にも包帯が巻かれ、肌が見えている場所にもおびただしい数の傷がある。眠っているようだが、息が苦しそうだ。LINEで湊から命に別状が無い事は聞いていたけれど。
(これ、暴力を受けた傷じゃないか・・・)
そう考えると、身体中の血が沸騰しそうだ。
あの時、さゆからの電話に出なかった自分を、タキは激しく悔やんだ。あれは、きっとSOSの電話だったのに。
タキはそっとさゆの髪を撫でた。外は曇り空で、微かに入る日の光だけが、さゆの顔を照らしていた。
「タキ、落ち着いて聞いて」
「・・・うん・・・」
湊は服の裾で涙を拭いながら話し始めた。
「さゆさんね、キャンプ場の利用者が見つけてくれた時、服も靴も全く身に付けてなかったんだって。その後、キャンプ場のオーナー達が毛布を掛けてロッジに連れて行ってくれた時に、救急車が来るまで一瞬意識が戻って、私の電話番号を呟いたらしい。何かあった時にお互いの番号を覚えておこうって前に話したから・・・。ただ、病院に付いてから、私が連絡を受けて来る前に、どこからか彼女の両親が現れて、今医者と話してる」
タキは膝に置いた拳を握り締めた。きっと両親の仕業だ。ここら辺の病院に運び込まれると見当を付けて、ここを突き止めたのか。
さゆはきっと、命からがら逃げ出したのだろう。その時のさゆの恐怖と苦痛を考えると、胸が潰れそうだ。
「タキ、さゆの両親に会った事ある?・・・私、さっき一瞬会ったけど、正直雰囲気良くないね。お母さん、なんか顔に怪我してるし、服もボロボロだし」
「実はさゆには、両親の問題を相談されてたんだ・・・湊、キャンプ場の名前分かる?」
ふとタキが思い付いて、湊にキャンプ場の名前を尋ねた。スマフォで検索してみる。
「あ、やっぱり・・・」
「どうしたの、タキ?」
タキは、山中の特に施設名の書いていない建物を指差す。
「ここ、有名なAVの撮影スタジオがあるんだ。俺も行った事がある。さゆがここからキャンプ場まで歩いたとしたら、相当の距離だけど・・・可能性はあるね」
「そんな・・・酷すぎる・・・」
湊は顔を伏せて泣き出してしまう。
「とにかく、今日はお引取り下さい!」
「なんだよ、うるせえな!俺に指図するな!!」
怒鳴り声がして、タキが廊下に出ると、ガラの悪そうな小汚い高齢者の男と、痩せた顔に痣のある女、そして医者と病院スタッフ数人が対峙していた。
「俺は大事な娘を取り返しに来ただけだっつってるだろ!なんで自分の娘を返して貰えないんだよ!」
「ですから、先程もご説明差し上げた様に、娘さんには入院が必要ですので―――」
「もういい、連れて帰る!」
「ちょっと、困ります!」
さゆの病室に押し入ろうとする男を、他の病院スタッフと一緒に、タキも思わず押し留めた。
「なんだよてめぇは!関係ない奴が手ェ出してくんな!」
「関係なくないです。僕は朝霧さんの婚約者です」
女が驚いてタキを見た。
「なんだよ!俺は聞いてねえぞ!」
「あなたがそんな父親だからでしょう!」
思わずタキは大声を出した。
「彼女が一体どれだけ苦しんだか、今回の件だけじゃない、子供の頃から毎日毎日どれだけ辛かったか、あなたは全く考えようともしない。子供を自分の都合良く使える奴隷としか見ていないですよね。それで『親』だとかおかしいですよ!」
「なんだと!・・・おまえ、ロクでもねェヤツなんだってな」
男はそこでタキにニタリと笑った。
「お父さん、もう、やめて下さい・・・・」
女が力の無い声でそう呟いた。
「とにかく、ご両親は今日の所はもうお引き取り下さい。退院の日取りは治療の経過によってこちらが判断致しますので・・・」
「明日だぞ!こんな奴あいつの男じゃねえから、明日俺が決めたあいつの男をちゃんと連れて来るからな。明日俺が来てやった時には退院させろよ!」
男はそう吐き捨てると、女の腕を引っ張って連れていった。
「ありがとうございました」
眼鏡の医師らしき男性が、タキに礼を言った。
「いえ・・・」
予想通り、いや、予想以上に酷い親だ。
「失礼ですが・・・病状説明が出来るかどうかの判断の為にお聞きしたいのですが。朝霧さんとはもう婚姻届は出されていますか?」
「いいえ・・・」
タキは首を振った。本当は、結婚どころか、自分達はもう恋人としては別れている。
「では、事実婚などはされていないでしょうか?」
「いいえ、それも・・・」
「そうですか・・・本当はご婚約者の方にも病状を説明したいのですが、それでは患者本人かご家族の同意が無い限り難しいですね・・・」
「・・・」
「それと、病院は事件性のある患者は警察に届け出る決まりがあるのですが、実はご両親が『事件ではない』と頑なに反対されましてね。対応をどうするか上の者とこれから相談致しますのでこれで」
医者はスタッフにも礼を言うと、去って行った。タキは溜息を吐き、病室に戻った。
「帰った?」
「うん。でもまた、明日来るって言ってた。さゆの彼氏も連れて来るって」
「何それ・・・」
タキは再びさゆの隣に腰掛ける。いつか、「どちらかが入院したりして、その生活費とか医療費とか賄えなくなるまでっていう約束で、出来るだけ長く一緒にいよう」とさゆと約束した事を思い出していた。もう、遠い昔の事のようだ。
きっと、今がその時なのだろう。タキには、さゆを養えるだけの経済力はない。明日以降、またあの両親と対峙しても、きっと、何も出来ない。自分の生活を考えるなら、ここでさゆを見捨てるしか道はない。
(それでも)
タキはさゆの手をゆるく握った。温かい、馴染んだ形の手が、握り返してくれたような気がした。
(俺は、どうしても、この手を放せない)
自分にどんな困難が降りかかっても、さゆを助けたいと思う。
(ああ、あの時、無理にでも結婚していたら良かったな)
タキの胸に後悔の念が押し寄せた。
その時。
「・・・・さゆ?」
膨れ上がったさゆの眼が、ゆっくり、細く開いた。
タキはさゆの手を握り、その顔を覗き込む。何度もさゆの名を呼んだ。さゆの視線はずっと虚ろで、表情も変わらない。しばらく浅い息を繰り返し、数回重い瞼でまばたきを繰り返した。
「さゆ?分かる?痛い?」
ナースコールを押し、タキと湊が何度か呼びかける。すると。
さゆは怯えたような表情で、吐息のように小さく呟いた。
「・・・だれ?」
「さゆ!」
個室のドアを勢い良く開けると、看護師がびっくりして振り向いた。
「あ、すみません・・・」
「お知り合いですか?」
看護師が声を掛けた先には、ベッドサイドの椅子に、斑に染まったピンクの髪の女性がいた。
「あ、そうです・・・」
湊は泣き腫らした眼で、そう答えた。点滴の交換を終えた看護師は、礼をして去って行く。
「連絡ありがとう、湊」
「タキ、バイトは?」
「早退して来た」
タキは壁に立て掛けてあったパイプ椅子を引き寄せて座る。湊は力無く首を振った。
「さゆさん、群馬の山奥のキャンプ場で見つかったんだよ」
「なんでそんな所に・・・」
さゆが自分で行ったわけではない。タキはさゆを振り返ってギョッとした。両眼が、いや、顔全体が尋常でなく腫れている。片目は眼帯だ。パッと見誰か分からない。腕にも包帯が巻かれ、肌が見えている場所にもおびただしい数の傷がある。眠っているようだが、息が苦しそうだ。LINEで湊から命に別状が無い事は聞いていたけれど。
(これ、暴力を受けた傷じゃないか・・・)
そう考えると、身体中の血が沸騰しそうだ。
あの時、さゆからの電話に出なかった自分を、タキは激しく悔やんだ。あれは、きっとSOSの電話だったのに。
タキはそっとさゆの髪を撫でた。外は曇り空で、微かに入る日の光だけが、さゆの顔を照らしていた。
「タキ、落ち着いて聞いて」
「・・・うん・・・」
湊は服の裾で涙を拭いながら話し始めた。
「さゆさんね、キャンプ場の利用者が見つけてくれた時、服も靴も全く身に付けてなかったんだって。その後、キャンプ場のオーナー達が毛布を掛けてロッジに連れて行ってくれた時に、救急車が来るまで一瞬意識が戻って、私の電話番号を呟いたらしい。何かあった時にお互いの番号を覚えておこうって前に話したから・・・。ただ、病院に付いてから、私が連絡を受けて来る前に、どこからか彼女の両親が現れて、今医者と話してる」
タキは膝に置いた拳を握り締めた。きっと両親の仕業だ。ここら辺の病院に運び込まれると見当を付けて、ここを突き止めたのか。
さゆはきっと、命からがら逃げ出したのだろう。その時のさゆの恐怖と苦痛を考えると、胸が潰れそうだ。
「タキ、さゆの両親に会った事ある?・・・私、さっき一瞬会ったけど、正直雰囲気良くないね。お母さん、なんか顔に怪我してるし、服もボロボロだし」
「実はさゆには、両親の問題を相談されてたんだ・・・湊、キャンプ場の名前分かる?」
ふとタキが思い付いて、湊にキャンプ場の名前を尋ねた。スマフォで検索してみる。
「あ、やっぱり・・・」
「どうしたの、タキ?」
タキは、山中の特に施設名の書いていない建物を指差す。
「ここ、有名なAVの撮影スタジオがあるんだ。俺も行った事がある。さゆがここからキャンプ場まで歩いたとしたら、相当の距離だけど・・・可能性はあるね」
「そんな・・・酷すぎる・・・」
湊は顔を伏せて泣き出してしまう。
「とにかく、今日はお引取り下さい!」
「なんだよ、うるせえな!俺に指図するな!!」
怒鳴り声がして、タキが廊下に出ると、ガラの悪そうな小汚い高齢者の男と、痩せた顔に痣のある女、そして医者と病院スタッフ数人が対峙していた。
「俺は大事な娘を取り返しに来ただけだっつってるだろ!なんで自分の娘を返して貰えないんだよ!」
「ですから、先程もご説明差し上げた様に、娘さんには入院が必要ですので―――」
「もういい、連れて帰る!」
「ちょっと、困ります!」
さゆの病室に押し入ろうとする男を、他の病院スタッフと一緒に、タキも思わず押し留めた。
「なんだよてめぇは!関係ない奴が手ェ出してくんな!」
「関係なくないです。僕は朝霧さんの婚約者です」
女が驚いてタキを見た。
「なんだよ!俺は聞いてねえぞ!」
「あなたがそんな父親だからでしょう!」
思わずタキは大声を出した。
「彼女が一体どれだけ苦しんだか、今回の件だけじゃない、子供の頃から毎日毎日どれだけ辛かったか、あなたは全く考えようともしない。子供を自分の都合良く使える奴隷としか見ていないですよね。それで『親』だとかおかしいですよ!」
「なんだと!・・・おまえ、ロクでもねェヤツなんだってな」
男はそこでタキにニタリと笑った。
「お父さん、もう、やめて下さい・・・・」
女が力の無い声でそう呟いた。
「とにかく、ご両親は今日の所はもうお引き取り下さい。退院の日取りは治療の経過によってこちらが判断致しますので・・・」
「明日だぞ!こんな奴あいつの男じゃねえから、明日俺が決めたあいつの男をちゃんと連れて来るからな。明日俺が来てやった時には退院させろよ!」
男はそう吐き捨てると、女の腕を引っ張って連れていった。
「ありがとうございました」
眼鏡の医師らしき男性が、タキに礼を言った。
「いえ・・・」
予想通り、いや、予想以上に酷い親だ。
「失礼ですが・・・病状説明が出来るかどうかの判断の為にお聞きしたいのですが。朝霧さんとはもう婚姻届は出されていますか?」
「いいえ・・・」
タキは首を振った。本当は、結婚どころか、自分達はもう恋人としては別れている。
「では、事実婚などはされていないでしょうか?」
「いいえ、それも・・・」
「そうですか・・・本当はご婚約者の方にも病状を説明したいのですが、それでは患者本人かご家族の同意が無い限り難しいですね・・・」
「・・・」
「それと、病院は事件性のある患者は警察に届け出る決まりがあるのですが、実はご両親が『事件ではない』と頑なに反対されましてね。対応をどうするか上の者とこれから相談致しますのでこれで」
医者はスタッフにも礼を言うと、去って行った。タキは溜息を吐き、病室に戻った。
「帰った?」
「うん。でもまた、明日来るって言ってた。さゆの彼氏も連れて来るって」
「何それ・・・」
タキは再びさゆの隣に腰掛ける。いつか、「どちらかが入院したりして、その生活費とか医療費とか賄えなくなるまでっていう約束で、出来るだけ長く一緒にいよう」とさゆと約束した事を思い出していた。もう、遠い昔の事のようだ。
きっと、今がその時なのだろう。タキには、さゆを養えるだけの経済力はない。明日以降、またあの両親と対峙しても、きっと、何も出来ない。自分の生活を考えるなら、ここでさゆを見捨てるしか道はない。
(それでも)
タキはさゆの手をゆるく握った。温かい、馴染んだ形の手が、握り返してくれたような気がした。
(俺は、どうしても、この手を放せない)
自分にどんな困難が降りかかっても、さゆを助けたいと思う。
(ああ、あの時、無理にでも結婚していたら良かったな)
タキの胸に後悔の念が押し寄せた。
その時。
「・・・・さゆ?」
膨れ上がったさゆの眼が、ゆっくり、細く開いた。
タキはさゆの手を握り、その顔を覗き込む。何度もさゆの名を呼んだ。さゆの視線はずっと虚ろで、表情も変わらない。しばらく浅い息を繰り返し、数回重い瞼でまばたきを繰り返した。
「さゆ?分かる?痛い?」
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