【R18】肉食聖女と七人のワケあり夫たち

千咲

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終章

085.緑の君との第?夜

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 やっとこの日が来た、って気がする。
 四つ時の鐘の音が終わった瞬間に、緑色の扉が開く。初夜と同じ、濃い緑色と金色の格好いい服に身を包んだリヤーフが、わたしの前に立つ。そして、わたしの髪についている簪と、胸元の首飾りを見て、得意気に笑う。

「こんばんは、リヤーフ」
「ああ」
「相変わらず格好いいねぇ、その服」
「……ああ」

 照れるリヤーフの手を取り、廊下を歩く。彼と一緒にここを歩くのは初めて。緊張しているのか、手が汗ばんでいる。どっちの汗かわからないや。
 居室を通り過ぎ、支度部屋から寝室に入った瞬間に、リヤーフに抱きしめられる。すごく我慢していたんだなぁ、なんて今さら思う。

「……イズミ」
「待たせてごめんね」

 扉の前でキスをする。キスをしながら、リヤーフの服を脱がしながら、ゆっくり、ベッドのほうへと移動する。
 簪を引き抜いて、テーブルに置いておく。リヤーフがキスをしながら、わたしをベッドに押し倒す。衣服を脱ぎ、少しずつ、ベッドの中央に寄っていく。

「リヤーフ、好き」

 リヤーフは一瞬目を見開いて、すぐに意地悪そうな笑みを浮かべる。

「当たり前だ。俺は格好いいからな」
「格好良くて、優しくて、見栄っ張りで、天邪鬼で、我儘で、傲慢で、泣き虫だけど、大好きだよ」
「後半は余計だ」

 拗ねて手を止めるかと思ったら、そうじゃない。わたしの寝間着のボタンを外し、首筋から鎖骨、胸元までゆっくり舌を這わせていく。

「……もう、歯型はないか。痛かっただろう。すまなかった」
「めっちゃ痛かった。あれ、もうやめてね」
「ああ。痛いのと汚いのはダメ、だったな」

 胸を揉み、その頂きに舌を這わせ、吸いながら、リヤーフはわたしの寝間着のボタンをすべて取り払う。そして、喉を鳴らしながら紐を引っ張り、指を滑り込ませてくる。

「……濡れてる」
「だって、リヤーフと初めてセックスできると思ったら、我慢できなくて」
「舐めてもいいか?」
「リヤーフの好きなようにしていいよ」

 してもいいか、っていちいち了承を取らなくてもいいのにね。童貞か! あ、童貞だったわ、リヤーフ。これが最後の童貞だと思うと感慨深い。最後の童貞。めっちゃ素敵なパワーワード。ふふふ、最後の童貞かぁ。
 リヤーフはゆっくりと舌を這わせていく。胸、腹、腰、それから、内腿。濡れた割れ目に舌を這わせ、蜜を舐め取っていく。

「あっ、う、んっ」

 舐めながら蜜口を見つけ、そっと舌を挿れてくる。わ、あんまり、それ、されたことない……っ!
 
「りやふ」
「んん……ここに、挿れられるのか?」
「ん、だいじょぶ」
「だって、お前、これ、めちゃくちゃ狭いじゃないか」
「大丈夫だってば!」

 オーウェンの巨根だって挿入るんだから、リヤーフのだって挿入るよ! リヤーフのは長いから、根元まで挿れられるかどうかわかんないけど。

「ほ、本当に挿入るのか? 壊れないか? 絶対痛いだろ? 血が出たり」
「んもう、じれったいなあ!」

 わたしは起き上がり、そのままリヤーフを押し倒す。いきなり視界が反転した夫は、きょとんとしながらわたしを見上げている。すんごいきらびやかな衣装が適度に引っかかってて、いい眺め。堪らなくエロい。

「お、おま」
「ん、挿れるよ」
「だから、情緒ってものを」
「い・や・だ。何回我慢したと思ってるの。もう我慢できないの。挿れたくて仕方ないんだもの。食べさせてよ」

 リヤーフの剛直を手で扱きながら、亀頭を割れ目に添わせてヌルヌルと滑らせる。リヤーフが耐えている姿も、可愛い。美味しそう。
 尖端を少しだけ中に迎え入れると、夫は「あっ」と溜め息を零す。

「リヤーフ」
「なん、だ」
「愛してる。大好き。嘘じゃないよ」

 ゆっくり、ゆっくり、体を沈み込ませる。最後の童貞をじっくり味わいたい。

「……知っている。俺も、愛し……っ、あ」
「んんっ、奥、届いたぁ」

 やっぱり、根元までは咥えられないか。もうちょっと我慢すれば何とかなるかな。

「イズミ、愛している」
「ん、ありがと」

 満ち足りている。心も体も、すごく気持ちがいい。
 何度もキスをして、少しずつ腰を動かす。相変わらずおっぱい大好きなリヤーフは、胸を触りながら耐えている。

「ねぇ、リヤーフ。『そばにいろ』って、あれ、リヤーフが考えたの? 簪の文字」
「……そんなこと、彫ってあったか?」
「彫ってあったことは覚えているんだね」

 リヤーフは顔を真っ赤にしてあらぬ方向を見る。照れちゃって、可愛い。

「そばにいさせてくれる?」
「ずっと俺のそばに……俺たちのそばにいろ」

 照れてこっちをちゃんと見てくれなかったくせに、ようやく目を合わせてくれる。

「どこにも行くな」
「ふふふ。リヤーフ、好き」

 唇に、頬に、首筋にキスをして、リヤーフの乳首をペロリと舐める。「うわっ」と驚いていきなり奥まで突いてきたから、ちょっと痛いじゃん。

「おま、そんなとこ、舐めるなっ」
「舐めるの好きな人は意外と舐められるのも好きなんだよねぇ。気持ちいいでしょ?」
「だ、ダメだ、すぐに出……っ、だから、っ」

 うん、だから、舐めてもいいってことでしょう?

「ダメだ、イズミ。動かすな。出てしまう」
「いいよ、出しても」
「いや、ダメだ。もっと……長く、中にいたい」
「何回でも出していいよ」
「なんっ……」

 若いから回復力はあるでしょ。挿れたまま二回戦もできるでしょ。大丈夫。勃たせてあげるから。一回だけでは終わらせないから。

「リヤーフ、来て。わたしの中をあなたの欲望で穢して」
「イズミ、っ」

 リヤーフはわたしの腰を持って、ぐいと深くを穿ってくる。あぁ、ダメ、これ、気持ちいい。体を揺らされながら、わたしは夫を見下ろす。眉間に皺を寄せ、快感に耐えている夫を、可愛いと思う。

「イズミ、もう……っ」
「ん、おいで」

 舌を求めながら「んんっ」とリヤーフが呻く。腰を押さえていた腕が、強くわたしを抱きしめる。わたしの最奥で欲を爆ぜさせた夫は、荒い呼吸のまま「好きだ」と言ってくれる。

「セックスが?」
「お前が、だ。バカ」

 リヤーフが優しく「バカ」って言ってくれるの、最近病みつきになっている。何だろう。彼にとって「バカ」と「好き」は同じなんじゃないかな。そんな気がしている。

「童貞美味しかった。ごちそうさまでした」

 リヤーフは物欲しそうな表情でわたしを見上げてくる。ん、わかってる。萎えてないもんね。もう一回イケるよね。次はどうする? 正常位? 対面座位でもいいよ?

「そばに、いろよ」
「うん」
「イズミ、愛している」

 ありがと、リヤーフ。わたし、すごく幸せだよ……本当に、すごく。こっちの世界に来てよかったなぁ。


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