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第一章 どうして魔族なんかに……
第一章 プロローグ
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最初に結婚しようと思っていた男性は、長い婚約期間を経て、結婚式まで残り一月という段階で、別の女性を好きになったから別れてほしい、と言ってきた。
「ごめん、僕は、君を愛せない」
愛だとか、恋だとか、そんなものは分からなくとも、大切な人だという情はあったはずなのに、その瞬間、そんな感情は跡形もなく消えた。
慰謝料を請求して、式場のキャンセルもして、家族にも友人にも事情を伝えて……正直、二度と、結婚したいだなんて思わないだろうと思っていた。
しかし、両親は私に結婚してほしいらしく、何度も何度も、そんな話題を出されることに疲れた私は、最近アプローチしてきた先輩と付き合うことにした。
三年、その人と付き合って、そろそろ結婚したい、と話を出した時、どうにも歯切れの悪い返事に、嫌な予感がした。
詳しく問い詰めれば、私は、不倫相手だったということが分かって、また急速に、心が冷えていった。
「君のことを好きになったんだから、仕方ないだろう? 君だって、俺と結婚したいと思ってくれるくらい、離れがたいんだろう?」
くだらない言葉を吐く先輩とは、その後すぐに別れた。そして、家に帰る途中……私は、女性に包丁らしきもので刺されて、死んだらしい。
犯人の女性は、『夫に近づかないで!』と叫んでいたことから、きっと、先輩の妻だったのだと思われる。『子供だっているんだから!』とも言っていたような気がするから、先輩、最低だなと思いながら、そんな先輩に気づけなかった私も、最低だと心の中で呟いて、逝った……はずだ。
二度と、愛だの恋だのには関わりたくない。そう思いながら、目を覚ませば、そこは異世界で、しかも、私は魔族の赤ちゃんになっていた。
「ごめん、僕は、君を愛せない」
愛だとか、恋だとか、そんなものは分からなくとも、大切な人だという情はあったはずなのに、その瞬間、そんな感情は跡形もなく消えた。
慰謝料を請求して、式場のキャンセルもして、家族にも友人にも事情を伝えて……正直、二度と、結婚したいだなんて思わないだろうと思っていた。
しかし、両親は私に結婚してほしいらしく、何度も何度も、そんな話題を出されることに疲れた私は、最近アプローチしてきた先輩と付き合うことにした。
三年、その人と付き合って、そろそろ結婚したい、と話を出した時、どうにも歯切れの悪い返事に、嫌な予感がした。
詳しく問い詰めれば、私は、不倫相手だったということが分かって、また急速に、心が冷えていった。
「君のことを好きになったんだから、仕方ないだろう? 君だって、俺と結婚したいと思ってくれるくらい、離れがたいんだろう?」
くだらない言葉を吐く先輩とは、その後すぐに別れた。そして、家に帰る途中……私は、女性に包丁らしきもので刺されて、死んだらしい。
犯人の女性は、『夫に近づかないで!』と叫んでいたことから、きっと、先輩の妻だったのだと思われる。『子供だっているんだから!』とも言っていたような気がするから、先輩、最低だなと思いながら、そんな先輩に気づけなかった私も、最低だと心の中で呟いて、逝った……はずだ。
二度と、愛だの恋だのには関わりたくない。そう思いながら、目を覚ませば、そこは異世界で、しかも、私は魔族の赤ちゃんになっていた。
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