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第二章 どうして今更……

第十六話 エピローグ

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 片翼を持つ魔族は、良くも悪くも、片翼しか目に入らない場合がある。
 例えば、ライトさんのように、片翼の元妻なる存在が居れば、元妻はもちろんのこと、その子どもへも殺意が向くということがある。または、片翼に他に愛する人が居れば、その人を殺そうとすることも。
 そう、例えそれが、自分と片翼との間に生まれた子どもだとしても、だ。

 ハリオール家の元お嬢様であるミオは、ハリオール家当主であり、ミオ自身の父親からは愛されていた。しかし、その父親の片翼であり、ミオにとっての母親からは邪魔者として捉えられていた。
 ただ、魔力逆流症によって余命わずかと思われていたがために、最初から虐待されるようなことはなく、大切に育てられていたのだ。そして、それを覆してしまったのが、私の論文。

 娘が助かり喜ぶ父親と、大切な片翼の愛情が娘に向かうことに憤る母親。元々ライトさんを殺そうとしていたのも、父親よりも母親の方だったらしく、母親の方は叩けばいくらでも埃が出るような有り様だったらしい。
 そんな女が切り盛りする家だからこそ、というべきか、使用人達の質も悪く、様々な悪事を働いていたことが明らかになった。結果として、元お嬢様は完全に行き場をなくして、保護の名目の下、私達のところへやってきた、というわけだった。


「どうしましょうか、ライトさん」

「うん、そうですよね……。すみません、僕の事情に巻き込んでしまって」

「いえ、それは良いんですけど……」


 元の名前は『ミオ』ではなかったはずだが、色々と、狙われる要素があるらしい彼女を保護するためには改名もやむを得ないとのことで、彼女は『ミオ』となった。
 しかし、ただでさえ病弱だったところから虐待されて育ってきた少女が、仕方ないとはいえ、使用人として働くには色々と弊害が大きかったりもする。
 体力がないのは当然として、病気にもなりやすく、魔力への耐性も低い。とてもじゃないが、働ける体ではなかった。


「今日も倒れてしまって、さすがに心配ですね」


 最初は、どう接して良いのか分からず、困惑した。しかし、初日の挨拶の直後、そのまま倒れられてはそうも言ってられない。それは、ライトさんも同じだったらしく、今では『ハリオール家の元お嬢様』ではなく、『体が弱く、幸薄な幼女』としてしか見れていない。だからこそ……。


「「あのっ」」


 同時に声を上げた私達は、お互いの顔を見合わせて笑う。


「ミオを養子として迎えませんか?」
「ミオを養子に迎えても良いですか?」


 きっと、同じことを考えていた私達は、やっぱり、同じことを提案する。

 その後、私達は女の子一人と男の子二人の子どもに恵まれる。長女の女の子は、とても体が弱いものの頑張り屋さんで、弟である二人は女の子を守るためにと、騎士の道を歩むこととなる。
 ついでに、女の子のすぐ下の弟の片翼がその女の子自身だと判明したりもして、少し慌ただしくなるものの、笑顔の絶えない、明るい家庭がそこにあった。

 恋愛なんて、と思っていたものの、ライトさんと出会えて、可愛い女の子と子宝にも恵まれて、これ以上の幸せはない。
 どうして転生したのかは分からないが、私はただ、この幸せに感謝して、今日も大切な家族の元へと飛び込んだ。
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みんなの感想(61件)

太真
2023.07.02 太真
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星宮歌
2023.07.02 星宮歌

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

片翼というのは、ある意味呪いでもありますからね(汗)

とはいえ、ようやくハッピーエンドに落ち着きました!

そして、どうしようかと迷っていましたが、ミオちゃん(虐げられてたお嬢様)主体のお話を近日中に始めようと思いますので、もし良ければお読みいただけるとありがたいです♪

タイトルは『私、異世界で保護されました!』までは決めています。

副題を何にするか悩み中……七夕までには投稿を開始したいと思っています(笑)

それでは、ご感想ありがとうございました。

解除
コゲツ
2023.07.02 コゲツ
ネタバレ含む
星宮歌
2023.07.02 星宮歌

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

はい、どうにかこうにか、完結しました!

忙しかったり体調不良だったりで中々時間が取れませんでしたが、完結してホッとしています(笑)

そして、執事はとっても悪かったですねぇ。

ミオちゃんは、これから、しっかりと幸せな人生を満喫してくれる予定なので、ご安心をっ。

……と、いうか、ミオちゃんのお話を書こうかなとも思っていたり?

それでは、ご感想ありがとうございました。

解除
太真
2023.07.01 太真
ネタバレ含む
星宮歌
2023.07.02 星宮歌

お読みいただき、ありがとうございます。

はい、まさかの虐待をしていました。

お嬢様のために必死な執事、というのは表の顔というか、建前というかで、とんでもない執事でしたねぇ。

とはいえ、これで一件落着です!

それでは、ご感想ありがとうございました。

解除
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