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第一章 冒険の始まり
*スケルトンパラダイス(二)
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「へぇっ? あっ、えっ?」
半泣きの状態で、何が起こったか分からない俺は、それを見る。
「……あっ」
フリュン!
そこには、けっして大きな姿ではないものの、やけに頼もしく見えるスライムと、そのスライムの攻撃によって黒い光を放ち、霧散していくスケルトンの姿があった。
「ペット……?」
そう、それは、なぜかペットという名前になってしまった不幸者にして、唯一の仲間となったスライムだった。
フリュン!
下から上へと、渦を巻くように震えるペットを見て、俺の頭はようやく程よく冷える。
そうだ。このスケルトン達は、一体ずつ相手にしていたときは勝てたんだ。だから、どうにかして、一体ずつ倒せばいい。一人じゃない。ペットがいる。
そう自分に言い聞かせた俺は、ゆっくりと立ち上がる。
辺りには、この空間を全て埋め尽くす勢いのスケルトンの軍勢。ただ、だからといって、そのスケルトン達が今まで戦ってきたスケルトンと違いがあるわけでもない。……少なくとも、見た目は。
そんな補足を頭の中でつけ加えつつ、俺は剣を構える。
こうなれば、自棄だ。怖くて恐くて堪らないが、死にたくない。家に帰って、また、何でもない日常に戻りたい。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ……。
……チビりそうだけど。
大勢のスケルトンに囲まれ、その威圧感に少々どころではなく恐怖を感じたが、四の五の言ってられない。襲い来るスケルトンどもに、俺は、剣を振りかざした。
「くっ」
バキッ!
バキッ!
「つぁっ!」
バキンッ!
俺が振り回す剣は、着実にスケルトンの数を減らす。今も、頭に剣が刺さったスケルトンが霧散するのが見えている。
「はっ、はぁっ、くぅっ!」
ただ、疲れは溜まる。普段持ち歩いているとはいえ、剣を振り回すのは、一日でそう何度もあるわけではない。せいぜい、二十回くらい。
日によってはそれ以上、剣を振るという動作をしていた日もあるが、最近ではほとんど一撃か二撃で倒していたのだから、きっと両手で数えるほどしか振るってない。だからこそ、とうに二十回を超える回数で剣を振るっている俺は、腕の疲れに荒く息を吐くはめになっていた。
唯一の救いは、敵がスケルトンだけ……ってことか?
もし、ここにスライムまでいたら、俺はすでに死んでいたかもしれない。
カタカタカタカタ。
嗤うスケルトンども。まだまだ数は多い。最初に比べると、半分くらいには減ったと思うのだが、それでも、まだまだ五十以上はいそうだった。
フリュン!
そして、案外、スライムのペットは活躍している。俺が一体のスケルトンを倒す間に、ペットは二体倒している。それもこれも、スケルトンの弱点である頭を狙って正確に飛ぶためであり、飛ぶたびにスケルトンは消滅していた。
「はっ、いぎっ!?」
フラフラになりながら、必死に攻撃を繰り返していた俺は、ふいに走った横腹の痛みに悲鳴を上げる。
カタカタカタカタ。
ソイツは、俺の脇腹に尖った手を刺していた。
「こ、のぉっ」
力が入らない手で、俺はそのスケルトンを振り払うようにして剣を振る。
「う……ぐぅ」
生暖かいものが、脇腹から下へ伝い落ちる。
が、だからといって動きを止めるわけにもいかず、俺は絡みつこうとしてくるスケルトンに応戦する。
ただ……いつだって、均衡が崩れるときは瞬間的なものだ。些細なきっかけで全てが崩れることなんて、珍しくも何ともない。今回も……この戦いにおいても、それは当てはまる。
「…………えっ?」
横腹に傷を負った俺は、きっとよく頑張った。襲いくるスケルトンに、震える足で立ち向かい、上手く上がらない腕を無理矢理上げ、霞む視界で必死にその姿を捕捉した。が、そんな状態で、長く持つわけがない。
俺は、歴戦の戦士でもなければ、勇猛果敢な騎士でもない。特別に運動をしていたわけでもないので、体力は平均的な男子高校生くらいの値があれば良いくらいのものだ。
一瞬の気の緩み。
それは、戦いの場においては致命的なもの。ただの高校生でしかなかった俺には、戦いに集中し続けるなどという技術は備わっていない。そこまでの神経は持ち合わせていない。
だからこそ……………………………………俺は視界を失った。
「っ! がぁあぁぁぁあぁぁあぁっ!!!」
熱いっ!
痛いっ!!
目の前が暗くなり、ドクドクと温かい液体が流れ落ちるのを感じる。
ガチャンッ!
今、自分がどんな体勢で、何をしているのかも分からない。漫画やら小説やらでは、目を失った人物がすぐに戦いを再開する様子を描いていたりするが、あんなの、絶対に嘘だ。痛くて痛くて、気が遠くなる。
暴れて暴れて、それでも引かない熱に声を枯らすほどに叫ぶ。
そして……俺の意識は、プツリと途絶えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久しぶりの更新です。
お待たせして申し訳ない。
えっ?
待ってない?
すみません、長く放置しすぎましたね。
これからはまた、ちょくちょく更新していきますね。
それでは、また!
半泣きの状態で、何が起こったか分からない俺は、それを見る。
「……あっ」
フリュン!
そこには、けっして大きな姿ではないものの、やけに頼もしく見えるスライムと、そのスライムの攻撃によって黒い光を放ち、霧散していくスケルトンの姿があった。
「ペット……?」
そう、それは、なぜかペットという名前になってしまった不幸者にして、唯一の仲間となったスライムだった。
フリュン!
下から上へと、渦を巻くように震えるペットを見て、俺の頭はようやく程よく冷える。
そうだ。このスケルトン達は、一体ずつ相手にしていたときは勝てたんだ。だから、どうにかして、一体ずつ倒せばいい。一人じゃない。ペットがいる。
そう自分に言い聞かせた俺は、ゆっくりと立ち上がる。
辺りには、この空間を全て埋め尽くす勢いのスケルトンの軍勢。ただ、だからといって、そのスケルトン達が今まで戦ってきたスケルトンと違いがあるわけでもない。……少なくとも、見た目は。
そんな補足を頭の中でつけ加えつつ、俺は剣を構える。
こうなれば、自棄だ。怖くて恐くて堪らないが、死にたくない。家に帰って、また、何でもない日常に戻りたい。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタ……。
……チビりそうだけど。
大勢のスケルトンに囲まれ、その威圧感に少々どころではなく恐怖を感じたが、四の五の言ってられない。襲い来るスケルトンどもに、俺は、剣を振りかざした。
「くっ」
バキッ!
バキッ!
「つぁっ!」
バキンッ!
俺が振り回す剣は、着実にスケルトンの数を減らす。今も、頭に剣が刺さったスケルトンが霧散するのが見えている。
「はっ、はぁっ、くぅっ!」
ただ、疲れは溜まる。普段持ち歩いているとはいえ、剣を振り回すのは、一日でそう何度もあるわけではない。せいぜい、二十回くらい。
日によってはそれ以上、剣を振るという動作をしていた日もあるが、最近ではほとんど一撃か二撃で倒していたのだから、きっと両手で数えるほどしか振るってない。だからこそ、とうに二十回を超える回数で剣を振るっている俺は、腕の疲れに荒く息を吐くはめになっていた。
唯一の救いは、敵がスケルトンだけ……ってことか?
もし、ここにスライムまでいたら、俺はすでに死んでいたかもしれない。
カタカタカタカタ。
嗤うスケルトンども。まだまだ数は多い。最初に比べると、半分くらいには減ったと思うのだが、それでも、まだまだ五十以上はいそうだった。
フリュン!
そして、案外、スライムのペットは活躍している。俺が一体のスケルトンを倒す間に、ペットは二体倒している。それもこれも、スケルトンの弱点である頭を狙って正確に飛ぶためであり、飛ぶたびにスケルトンは消滅していた。
「はっ、いぎっ!?」
フラフラになりながら、必死に攻撃を繰り返していた俺は、ふいに走った横腹の痛みに悲鳴を上げる。
カタカタカタカタ。
ソイツは、俺の脇腹に尖った手を刺していた。
「こ、のぉっ」
力が入らない手で、俺はそのスケルトンを振り払うようにして剣を振る。
「う……ぐぅ」
生暖かいものが、脇腹から下へ伝い落ちる。
が、だからといって動きを止めるわけにもいかず、俺は絡みつこうとしてくるスケルトンに応戦する。
ただ……いつだって、均衡が崩れるときは瞬間的なものだ。些細なきっかけで全てが崩れることなんて、珍しくも何ともない。今回も……この戦いにおいても、それは当てはまる。
「…………えっ?」
横腹に傷を負った俺は、きっとよく頑張った。襲いくるスケルトンに、震える足で立ち向かい、上手く上がらない腕を無理矢理上げ、霞む視界で必死にその姿を捕捉した。が、そんな状態で、長く持つわけがない。
俺は、歴戦の戦士でもなければ、勇猛果敢な騎士でもない。特別に運動をしていたわけでもないので、体力は平均的な男子高校生くらいの値があれば良いくらいのものだ。
一瞬の気の緩み。
それは、戦いの場においては致命的なもの。ただの高校生でしかなかった俺には、戦いに集中し続けるなどという技術は備わっていない。そこまでの神経は持ち合わせていない。
だからこそ……………………………………俺は視界を失った。
「っ! がぁあぁぁぁあぁぁあぁっ!!!」
熱いっ!
痛いっ!!
目の前が暗くなり、ドクドクと温かい液体が流れ落ちるのを感じる。
ガチャンッ!
今、自分がどんな体勢で、何をしているのかも分からない。漫画やら小説やらでは、目を失った人物がすぐに戦いを再開する様子を描いていたりするが、あんなの、絶対に嘘だ。痛くて痛くて、気が遠くなる。
暴れて暴れて、それでも引かない熱に声を枯らすほどに叫ぶ。
そして……俺の意識は、プツリと途絶えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久しぶりの更新です。
お待たせして申し訳ない。
えっ?
待ってない?
すみません、長く放置しすぎましたね。
これからはまた、ちょくちょく更新していきますね。
それでは、また!
応援ありがとうございます!
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