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中編
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「あ、明日? う、嘘だ! まだ、まだ日数はあったはず……」
「この前、陛下からお話があったと思うのですが、聞いておられなかったのですか?」
随分と狼狽えた様子のカークに、リィナはコテンと首を傾げてみせる。
いや、それ以前にリィナとカークの結婚式に関しては、この場の全員が知っていることだ。それなのに、なぜ、カークだけが知らなかったのかと思えば、その答えは自ずと出るだろう。
「最低ね」
「いくら結婚したくないといってもこれは……」
「マーシャル嬢がお可哀想ですわっ」
リィナに対するあまりにも目に余る態度を見て、それでも息子への情を捨てきれなかった国王陛下が、リィナとカークの結婚式を早めたという話は、もう随分と前から有名だ。
「マーシャル嬢、もしも結婚後、お辛ければいつでもおっしゃってください!」
「私達も力になりますわ!」
「あら、皆様、ありがとうございます」
そんな風に学友達との心温まる会話を繰り広げる中、それでもカークは『嘘だ』『こんなの悪夢だ』と繰り返す。
「それでは、皆様、少々邪魔が入りましたが、今日という日を楽しみましょう。せっかくのパーティーですもの」
今日は、卒業パーティー。カークもリィナも、今日を境に、学園へ通うことはなくなる。それは、今、リィナの味方をしてくれた令息や令嬢達との別れも意味していた。
「マーシャル嬢、色々と落ち着きましたら、ぜひ、我が家のお茶会に参加してください」
「あ、ずるいですわよ! 私の家にも、ぜひ! 絶品のケーキがあるんですの!」
「くっ、俺に姉か妹が居ればっ!」
「いや、俺には姉が居るけど、多分、マーシャル嬢を呼んだとしても俺は呼ばれたことすら知らされないんだ」
「くそぉっ! 何で、俺達の女神があんな男にっ!」
リィナとどうにか今後も関係を続けようとする令嬢も居れば、今後はほとんど関係を持つことのない令息も居る。
今日は卒業式ということで、多少の飲酒も許されているため、もしかしたら酔っている者も居るのかもしれないが、それでも、そこはとても温かな空気に満ちた場所だった。
「わたくし、この学園に通えたこと、そして、素敵な皆様のこと、ずっと忘れませんわ」
輝かんばかりの笑みを浮かべるリィナの姿に、一瞬、誰もが息を止めて見惚れる。誰もが憧れ、羨望の眼差しを送る女性。それが、リィナ・マーシャルという女性だった。
そうして、和やかに時間は過ぎ、いつの間にかカークはその場から消え失せ、卒業式は終わった。ここからは、卒業した者は全員、成人として扱われることとなる。そう、それは、あのような醜態を晒したカークも同じだった。
「この前、陛下からお話があったと思うのですが、聞いておられなかったのですか?」
随分と狼狽えた様子のカークに、リィナはコテンと首を傾げてみせる。
いや、それ以前にリィナとカークの結婚式に関しては、この場の全員が知っていることだ。それなのに、なぜ、カークだけが知らなかったのかと思えば、その答えは自ずと出るだろう。
「最低ね」
「いくら結婚したくないといってもこれは……」
「マーシャル嬢がお可哀想ですわっ」
リィナに対するあまりにも目に余る態度を見て、それでも息子への情を捨てきれなかった国王陛下が、リィナとカークの結婚式を早めたという話は、もう随分と前から有名だ。
「マーシャル嬢、もしも結婚後、お辛ければいつでもおっしゃってください!」
「私達も力になりますわ!」
「あら、皆様、ありがとうございます」
そんな風に学友達との心温まる会話を繰り広げる中、それでもカークは『嘘だ』『こんなの悪夢だ』と繰り返す。
「それでは、皆様、少々邪魔が入りましたが、今日という日を楽しみましょう。せっかくのパーティーですもの」
今日は、卒業パーティー。カークもリィナも、今日を境に、学園へ通うことはなくなる。それは、今、リィナの味方をしてくれた令息や令嬢達との別れも意味していた。
「マーシャル嬢、色々と落ち着きましたら、ぜひ、我が家のお茶会に参加してください」
「あ、ずるいですわよ! 私の家にも、ぜひ! 絶品のケーキがあるんですの!」
「くっ、俺に姉か妹が居ればっ!」
「いや、俺には姉が居るけど、多分、マーシャル嬢を呼んだとしても俺は呼ばれたことすら知らされないんだ」
「くそぉっ! 何で、俺達の女神があんな男にっ!」
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そうして、和やかに時間は過ぎ、いつの間にかカークはその場から消え失せ、卒業式は終わった。ここからは、卒業した者は全員、成人として扱われることとなる。そう、それは、あのような醜態を晒したカークも同じだった。
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