2 / 7
中編
「あ、明日? う、嘘だ! まだ、まだ日数はあったはず……」
「この前、陛下からお話があったと思うのですが、聞いておられなかったのですか?」
随分と狼狽えた様子のカークに、リィナはコテンと首を傾げてみせる。
いや、それ以前にリィナとカークの結婚式に関しては、この場の全員が知っていることだ。それなのに、なぜ、カークだけが知らなかったのかと思えば、その答えは自ずと出るだろう。
「最低ね」
「いくら結婚したくないといってもこれは……」
「マーシャル嬢がお可哀想ですわっ」
リィナに対するあまりにも目に余る態度を見て、それでも息子への情を捨てきれなかった国王陛下が、リィナとカークの結婚式を早めたという話は、もう随分と前から有名だ。
「マーシャル嬢、もしも結婚後、お辛ければいつでもおっしゃってください!」
「私達も力になりますわ!」
「あら、皆様、ありがとうございます」
そんな風に学友達との心温まる会話を繰り広げる中、それでもカークは『嘘だ』『こんなの悪夢だ』と繰り返す。
「それでは、皆様、少々邪魔が入りましたが、今日という日を楽しみましょう。せっかくのパーティーですもの」
今日は、卒業パーティー。カークもリィナも、今日を境に、学園へ通うことはなくなる。それは、今、リィナの味方をしてくれた令息や令嬢達との別れも意味していた。
「マーシャル嬢、色々と落ち着きましたら、ぜひ、我が家のお茶会に参加してください」
「あ、ずるいですわよ! 私の家にも、ぜひ! 絶品のケーキがあるんですの!」
「くっ、俺に姉か妹が居ればっ!」
「いや、俺には姉が居るけど、多分、マーシャル嬢を呼んだとしても俺は呼ばれたことすら知らされないんだ」
「くそぉっ! 何で、俺達の女神があんな男にっ!」
リィナとどうにか今後も関係を続けようとする令嬢も居れば、今後はほとんど関係を持つことのない令息も居る。
今日は卒業式ということで、多少の飲酒も許されているため、もしかしたら酔っている者も居るのかもしれないが、それでも、そこはとても温かな空気に満ちた場所だった。
「わたくし、この学園に通えたこと、そして、素敵な皆様のこと、ずっと忘れませんわ」
輝かんばかりの笑みを浮かべるリィナの姿に、一瞬、誰もが息を止めて見惚れる。誰もが憧れ、羨望の眼差しを送る女性。それが、リィナ・マーシャルという女性だった。
そうして、和やかに時間は過ぎ、いつの間にかカークはその場から消え失せ、卒業式は終わった。ここからは、卒業した者は全員、成人として扱われることとなる。そう、それは、あのような醜態を晒したカークも同じだった。
「この前、陛下からお話があったと思うのですが、聞いておられなかったのですか?」
随分と狼狽えた様子のカークに、リィナはコテンと首を傾げてみせる。
いや、それ以前にリィナとカークの結婚式に関しては、この場の全員が知っていることだ。それなのに、なぜ、カークだけが知らなかったのかと思えば、その答えは自ずと出るだろう。
「最低ね」
「いくら結婚したくないといってもこれは……」
「マーシャル嬢がお可哀想ですわっ」
リィナに対するあまりにも目に余る態度を見て、それでも息子への情を捨てきれなかった国王陛下が、リィナとカークの結婚式を早めたという話は、もう随分と前から有名だ。
「マーシャル嬢、もしも結婚後、お辛ければいつでもおっしゃってください!」
「私達も力になりますわ!」
「あら、皆様、ありがとうございます」
そんな風に学友達との心温まる会話を繰り広げる中、それでもカークは『嘘だ』『こんなの悪夢だ』と繰り返す。
「それでは、皆様、少々邪魔が入りましたが、今日という日を楽しみましょう。せっかくのパーティーですもの」
今日は、卒業パーティー。カークもリィナも、今日を境に、学園へ通うことはなくなる。それは、今、リィナの味方をしてくれた令息や令嬢達との別れも意味していた。
「マーシャル嬢、色々と落ち着きましたら、ぜひ、我が家のお茶会に参加してください」
「あ、ずるいですわよ! 私の家にも、ぜひ! 絶品のケーキがあるんですの!」
「くっ、俺に姉か妹が居ればっ!」
「いや、俺には姉が居るけど、多分、マーシャル嬢を呼んだとしても俺は呼ばれたことすら知らされないんだ」
「くそぉっ! 何で、俺達の女神があんな男にっ!」
リィナとどうにか今後も関係を続けようとする令嬢も居れば、今後はほとんど関係を持つことのない令息も居る。
今日は卒業式ということで、多少の飲酒も許されているため、もしかしたら酔っている者も居るのかもしれないが、それでも、そこはとても温かな空気に満ちた場所だった。
「わたくし、この学園に通えたこと、そして、素敵な皆様のこと、ずっと忘れませんわ」
輝かんばかりの笑みを浮かべるリィナの姿に、一瞬、誰もが息を止めて見惚れる。誰もが憧れ、羨望の眼差しを送る女性。それが、リィナ・マーシャルという女性だった。
そうして、和やかに時間は過ぎ、いつの間にかカークはその場から消え失せ、卒業式は終わった。ここからは、卒業した者は全員、成人として扱われることとなる。そう、それは、あのような醜態を晒したカークも同じだった。
あなたにおすすめの小説
学園は悪役令嬢に乗っ取られた!
こもろう
恋愛
王立魔法学園。その学園祭の初日の開会式で、事件は起こった。
第一王子アレクシスとその側近たち、そして彼らにエスコートされた男爵令嬢が壇上に立ち、高々とアレクシス王子と侯爵令嬢ユーフェミアの婚約を破棄すると告げたのだ。ユーフェミアを断罪しはじめる彼ら。しかしユーフェミアの方が上手だった?
悪役にされた令嬢が、王子たちにひたすらざまあ返しをするイベントが、今始まる。
登場人物に真っ当な人間はなし。ご都合主義展開。
あなたにわたくしは相応しくないようです
らがまふぃん
恋愛
物語の中だけの話だと思っていました。
現実に起こることでしたのね。
※本編六話+幕間一話と後日談一話の全八話、ゆるゆる話。何も考えずにお読みください。
HOTランキング入りをしまして、たくさんの方の目に触れる機会を得られました。たくさんのお気に入り登録など、本当にありがとうございました。
完結表示をしようとして、タグが入っていなかったことに気付きました。何となく今更な感じがありますが、タグ入れました。
愛しいねえ様がいなくなったと思ったら、勝手に婚約者が決められてたんですけどっ!?
月白ヤトヒコ
恋愛
わたしには小さい頃、大好きな大好きなねえ様がいた。そんなねえ様と過ごす愛しい日々が、ずっと続くと思っていた。けれどねえ様は、ある日突然いなくなってしまった。
ねえ様がいなくなって、めそめそ泣いていた幼いわたしに、お父様が婚約者を決めた。
その婚約者様は隣国に住んでおり、一度も会ったことが無い。そして、わたしの十五歳の誕生日。婚約者様と初めて顔合わせをする。
設定はふわっと。
※百合ではありません。
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
純粋な疑問なのですが、あなたは一生虐げられたいのでしょうか?
月白ヤトヒコ
恋愛
わたくし、どこぞの異世界に転生してしまったようです。
中世というよりは、近世。そして、近世よりも倫理観の進んだ都合のいい世界。所謂、乙女ゲームだとかナーロッパと称されるような異世界なのだと思います。
まあ、だからなんだという感じなのですが。
一応、幼少期からどこぞの異世界に転生してんなー? とは、思っていた。
でも、それがどこの異世界だなんて知らなかった。
だが、今日。貴族学園中等部へ一年生が入学して来て、確信へ変わった。
それというのも……
「だから、平民ヒロインのあたしが攻略対象の王子様達と結ばれるには悪役令嬢にイジメられないといけないの! あなたが、あたしに一切興味無い的な態度だと、王子様達もあたしに興味持ってくれないじゃない! 嫉妬心剥き出しの、イヤミったらしい態度であたしにネチネチと嫌がらせしてよ!」
と、自称平民ヒロインという生徒に絡まれた。
ちなみに、わたし……わたくしは、二年生だ。しかも割と高位貴族ぞ? 先輩に対する態度とか以前の問題だ。そして、
「ストーリー通りに行動しないということは、さてはアンタ転生者ね! 悪役令嬢のクセにヒロインを差し置いて逆ハー狙いとはいい度胸ね!」
とか、頭おかしい奴に絡まれて、滔々とこの乙女ゲームの世界を語られている感じだ。
「あの、これは疑問なのですけど」
「なによ?」
「あなたって、被虐趣味でもありますの?」
設定はふわっと。
断罪された薔薇の話
倉真朔
恋愛
悪名高きロザリンドの断罪後、奇妙な病気にかかってしまった第二王子のルカ。そんなこと知るよしもなく、皇太子カイルと彼の婚約者のマーガレットはルカに元気になってもらおうと奮闘する。
ルカの切ない想いを誰が受け止めてくれるだろうか。
とても切ない物語です。
この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。
生贄の妃アミーラの復讐譚
ぴぴみ
恋愛
前世やりこんだ乙女ゲーム『砂漠の精霊は華を愛でる』に出てくる皇弟─サリフとして、生まれたことに気づいた俺だが、思い出したのがあまりにも遅すぎた。
引き取らされた娘たちの内、姉である─アミーラは、既に精霊の花嫁になることを皇帝から命じられていた。花嫁とは形ばかりの生贄に。
だが、お前たちは知らない。
追い詰められているのが、自分たちであるなど…。
ここから去る前にちょっとした置き土産を。
悪役令嬢となって復讐をっ!
杏仁豆腐
恋愛
公爵家の娘でありながら庶民の出身だった母の子として生まれたわたくしを蔑んできた令嬢たちに復讐するお話。
不定期更新となります。色々と見苦しい文章が続きますが暖かく見守ってくれると嬉しいです。感想お待ちしております。