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第三章 セイクリア教国の歪み
第二百三十八話 すっきり爽快
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きっちりと『操術』を解除した我輩は、バルディスに終わったことを伝える。
「そうか。なら、他の奴らも呼ぼう」
背後を振り返って、聖騎士達に手を振って合図すれば、この場を覆っていた結界が解かれる。『防音結界』の方は、まだ、マギウスに気づかれないようにするため張ったままではあったが、これで一つの脅威が去り、一つの脅威を追い払う準備ができた。
「にゃっ(起きるのだっ)」
ラーミアとディアム、そして、数人の聖騎士達が集まって来る中、我輩、未だに気絶したままのグラハムの膝をテシテシと叩く。
……けっして、今もまだ眠くて、不機嫌になって八つ当たりしているわけではないのだ。
「ん……ん? 私、は……?」
テシテシするのが段々と楽しくなってきたところで、グラハムは目を覚ます。
「っ、グラハム聖騎士長! 意識ははっきりしていますか?」
ぼんやりとするグラハムに、マルスが目の前に来て、必死に声をかける。
「マルス? 私は…………あ、あ、あぁぁぁあっ! 私はっ、私はっ、何てことをっ!!」
初めはぼんやりとしていたグラハムだったが、何かを思い出したのか、突如として叫び声を上げて頭を抱える。
「っ、兄さんっ!」
あまりに悲痛な慟哭に、マルスは職務を全うする聖騎士としてではなく、グラハム・ヴェリーの弟として叫ぶ。
他の聖騎士達は、何が起こっているか分からずに警戒している様子ではあったが、『操術』は完全に解いた。だからこそ、今、グラハムが叫ぶのは、過去の行いについて。操られていた間の非道な行いについてなのだろう。
「すまないっ、すまないっ。マルスっ、頼むっ。私を、私を殺してくれっ」
「なっ、何言ってるんですっ。俺に兄さんを殺せるわけないでしょうっ!」
「だがっ、私は、騎士の風上にも置けないことをっ! 非道な行いをしたのだっ! マルスは全て、知っているのだろうっ?」
問いかけるグラハムに、周りの聖騎士達も状況を理解したのか、悲痛な表情を浮かべる。
「私にはっ、もうっ、死んで詫びるしかないのだっ! マルスができないというのであれば、私は、私自身の手で終わりを迎え、ゴフゥッ」
「「「……えっ?」」」
何やら盛り上がっていたところに水を差したのは、我輩……ではない。そこには、とても、とても恐ろしい笑顔を浮かべたラーミアが、拳を振り抜いていた。
多分、グラハムの顎に命中したと思われるそれに、グラハムは縛り上げられたまま後方に吹っ飛ぶ。
「ふぅ、すっきりしましたわ」
「「「えぇぇぇぇっ!!?」」」
加害者ラーミアは、聖騎士達の驚愕の叫びを受ける中、平然と微笑んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
どうしても、どうしてもっ、私はラーミアに殴らせたかったんです!
だって、ラーミアってウジウジしてる男を前に黙ってられるほどおしとやかじゃないはずなんですっ。
むしろ、殴って痛め付けて、高笑いするくらいじゃないとっ!(聖騎士一同「(ガクガクブルブル)」)
と、いうわけで、すっきり爽快な一幕でした。
それでは、また!
「そうか。なら、他の奴らも呼ぼう」
背後を振り返って、聖騎士達に手を振って合図すれば、この場を覆っていた結界が解かれる。『防音結界』の方は、まだ、マギウスに気づかれないようにするため張ったままではあったが、これで一つの脅威が去り、一つの脅威を追い払う準備ができた。
「にゃっ(起きるのだっ)」
ラーミアとディアム、そして、数人の聖騎士達が集まって来る中、我輩、未だに気絶したままのグラハムの膝をテシテシと叩く。
……けっして、今もまだ眠くて、不機嫌になって八つ当たりしているわけではないのだ。
「ん……ん? 私、は……?」
テシテシするのが段々と楽しくなってきたところで、グラハムは目を覚ます。
「っ、グラハム聖騎士長! 意識ははっきりしていますか?」
ぼんやりとするグラハムに、マルスが目の前に来て、必死に声をかける。
「マルス? 私は…………あ、あ、あぁぁぁあっ! 私はっ、私はっ、何てことをっ!!」
初めはぼんやりとしていたグラハムだったが、何かを思い出したのか、突如として叫び声を上げて頭を抱える。
「っ、兄さんっ!」
あまりに悲痛な慟哭に、マルスは職務を全うする聖騎士としてではなく、グラハム・ヴェリーの弟として叫ぶ。
他の聖騎士達は、何が起こっているか分からずに警戒している様子ではあったが、『操術』は完全に解いた。だからこそ、今、グラハムが叫ぶのは、過去の行いについて。操られていた間の非道な行いについてなのだろう。
「すまないっ、すまないっ。マルスっ、頼むっ。私を、私を殺してくれっ」
「なっ、何言ってるんですっ。俺に兄さんを殺せるわけないでしょうっ!」
「だがっ、私は、騎士の風上にも置けないことをっ! 非道な行いをしたのだっ! マルスは全て、知っているのだろうっ?」
問いかけるグラハムに、周りの聖騎士達も状況を理解したのか、悲痛な表情を浮かべる。
「私にはっ、もうっ、死んで詫びるしかないのだっ! マルスができないというのであれば、私は、私自身の手で終わりを迎え、ゴフゥッ」
「「「……えっ?」」」
何やら盛り上がっていたところに水を差したのは、我輩……ではない。そこには、とても、とても恐ろしい笑顔を浮かべたラーミアが、拳を振り抜いていた。
多分、グラハムの顎に命中したと思われるそれに、グラハムは縛り上げられたまま後方に吹っ飛ぶ。
「ふぅ、すっきりしましたわ」
「「「えぇぇぇぇっ!!?」」」
加害者ラーミアは、聖騎士達の驚愕の叫びを受ける中、平然と微笑んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
どうしても、どうしてもっ、私はラーミアに殴らせたかったんです!
だって、ラーミアってウジウジしてる男を前に黙ってられるほどおしとやかじゃないはずなんですっ。
むしろ、殴って痛め付けて、高笑いするくらいじゃないとっ!(聖騎士一同「(ガクガクブルブル)」)
と、いうわけで、すっきり爽快な一幕でした。
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