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第三章 セイクリア教国の歪み
第二百四十八話 這い上がる者
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マルスの部隊が水に呑まれている頃、グラハムは周囲に甚大な被害をもたらしながら剣を振るうレイグと死闘を繰り広げていた。
「あははっ、これが聖騎士長の力っ! いいね、いいねっ、これこそ、僕に相応しい獲物だっ」
「ふんっ!」
剣と剣の鍔迫り合い。戦いを楽しむレイグとは対称的にグラハムの表情は険しい。その原因は一つ。レイグによって倒された聖騎士の遺体が、そこかしこに転がっていたからだ。
剣を力づくで弾き、いったん距離を取ったグラハムは、改めて目の前の強敵を見据える。
「貴様は私が倒す」
「あははっ、倒せるものならどーぞっ」
そこからはまさに戦神同士の戦い。目にも止まらぬ早さで繰り出される剣を、お互いがお互いに捌いていき、少しでも隙を探して目をギラギラと輝かせる。その戦いを前に、割り込もうとする者は一人も居ない。
「グラハム聖騎士長はレイグ・アルディーを足止めしてくださっているっ! 我々はセイル・ホージャを倒しに向かうぞっ!」
しばらくして、その場に駆けつけたのは、マルスが率いるのとは別の聖騎士団だ。ただし、その全員がずぶ濡れになっており、セイル・ホージャ率いる魔術部隊に攻撃を受けたのは明らかだった。
「隊長! 右前方より、正体不明の部隊、確認しました! 敵だと思われますっ」
「っ、まずはそちらを片付けるぞっ! 続けーっ」
確認されている敵の部隊は三つ。レイグ・アルディー、セイル・ホージャがそれぞれ率いるものが二つと、大将が不明の部隊が一つ。そのうちの大将が不明の部隊が、聖騎士団に襲いかかろうとしていた。
「続けっ、続けーっ」
そして、その正体不明の部隊は、聖騎士団と衝突したことによってその全貌を明らかにする。
「っ、な、なんでっ! 殺したはずなのにっ」
「ひぃっ、何なんだっ、こいつらっ!」
正体不明の部隊。それは、騎士というには明らかにその全体の装備が異なっていた。まるで、農民か何かのような装備。しかし、それでもミルテナ帝国の旗を掲げ、虚ろな瞳で聖騎士団達を見つめていた。……そう、まるで、死人のように。
「ま、さか……ネクロマンサーか?」
死者を操るネクロマンサー。それは、人間にも魔族にも居る職業の者であったが、大抵は嫌われ者として、酷く貧しい生活を送っている。しかし、それにも例外はある。戦争時、ネクロマンサーほど敵にダメージを与えられる存在は居ないとされている。
忌避されつつも、戦争では活躍する存在。そんな特異性ゆえに、ネクロマンサーが率いる部隊は秘匿されることが多い。つまりは……。
「敵の大将はネクロマンサーだっ! 仲間が襲ってきても、斬れ!」
聖騎士団、部隊長は、非情な決断を下さざるを得なかった。なぜなら、レイグ・アルディーによって倒されたはずの聖騎士達が、起き上がってきたのだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ネクロマンサーは絶対に出したかった。
ちょっと展開が強引になってないか心配ではありますが、多分、大丈夫?
次は、マルス視点か第三者視点かのどちらかでお送りすることになりそうです。
それでは、また!
「あははっ、これが聖騎士長の力っ! いいね、いいねっ、これこそ、僕に相応しい獲物だっ」
「ふんっ!」
剣と剣の鍔迫り合い。戦いを楽しむレイグとは対称的にグラハムの表情は険しい。その原因は一つ。レイグによって倒された聖騎士の遺体が、そこかしこに転がっていたからだ。
剣を力づくで弾き、いったん距離を取ったグラハムは、改めて目の前の強敵を見据える。
「貴様は私が倒す」
「あははっ、倒せるものならどーぞっ」
そこからはまさに戦神同士の戦い。目にも止まらぬ早さで繰り出される剣を、お互いがお互いに捌いていき、少しでも隙を探して目をギラギラと輝かせる。その戦いを前に、割り込もうとする者は一人も居ない。
「グラハム聖騎士長はレイグ・アルディーを足止めしてくださっているっ! 我々はセイル・ホージャを倒しに向かうぞっ!」
しばらくして、その場に駆けつけたのは、マルスが率いるのとは別の聖騎士団だ。ただし、その全員がずぶ濡れになっており、セイル・ホージャ率いる魔術部隊に攻撃を受けたのは明らかだった。
「隊長! 右前方より、正体不明の部隊、確認しました! 敵だと思われますっ」
「っ、まずはそちらを片付けるぞっ! 続けーっ」
確認されている敵の部隊は三つ。レイグ・アルディー、セイル・ホージャがそれぞれ率いるものが二つと、大将が不明の部隊が一つ。そのうちの大将が不明の部隊が、聖騎士団に襲いかかろうとしていた。
「続けっ、続けーっ」
そして、その正体不明の部隊は、聖騎士団と衝突したことによってその全貌を明らかにする。
「っ、な、なんでっ! 殺したはずなのにっ」
「ひぃっ、何なんだっ、こいつらっ!」
正体不明の部隊。それは、騎士というには明らかにその全体の装備が異なっていた。まるで、農民か何かのような装備。しかし、それでもミルテナ帝国の旗を掲げ、虚ろな瞳で聖騎士団達を見つめていた。……そう、まるで、死人のように。
「ま、さか……ネクロマンサーか?」
死者を操るネクロマンサー。それは、人間にも魔族にも居る職業の者であったが、大抵は嫌われ者として、酷く貧しい生活を送っている。しかし、それにも例外はある。戦争時、ネクロマンサーほど敵にダメージを与えられる存在は居ないとされている。
忌避されつつも、戦争では活躍する存在。そんな特異性ゆえに、ネクロマンサーが率いる部隊は秘匿されることが多い。つまりは……。
「敵の大将はネクロマンサーだっ! 仲間が襲ってきても、斬れ!」
聖騎士団、部隊長は、非情な決断を下さざるを得なかった。なぜなら、レイグ・アルディーによって倒されたはずの聖騎士達が、起き上がってきたのだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ネクロマンサーは絶対に出したかった。
ちょっと展開が強引になってないか心配ではありますが、多分、大丈夫?
次は、マルス視点か第三者視点かのどちらかでお送りすることになりそうです。
それでは、また!
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