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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百七十八話 竜の森(十一)

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 バルディスの『火炎竜巻かえんたつまき』によって、今まで見た中でも一際大きい竜の注意を引き付けると、その間に、俺は疾駆する。目指すは、一人取り残されているであろうラーミアだ。


「ラーミアっ!!」

「っ!?」


 恐らくラーミア自身も初めて聞くであろう俺の大声に、遠目からでもラーミアが驚いているのが分かる。ただ、危機的状況にあるのは確かなので、すぐにその表情は引き締まったものへと変わった。


「遅いですよっ。ディアム」

「すまない。怪我、ない?」

「ありませんわ」


 ラーミアが無事であるという事実にホッとしつつ、俺はバルディスが引き付けてくれている竜へと視線を向ける。


「無事、良かった。まだ、戦える?」

「私を誰だと思っていますの?」


 頼もしい解答に、俺は薄く笑みを浮かべてうなずく。


「なら、バル達と、挟み撃ち、しよう」

「えぇ、承知しましたわ」


 双剣を構えるラーミアと、魔法の準備をする俺とでの共闘が始まった。


「まずは、邪魔な尻尾を」

「切り落とす」


 ユラリと揺れる尻尾に狙いを定め、ラーミアは水の魔力を剣に纏わせて走り出す。その際、地響きを立てて弾かれた石などは、ラーミアに当たらないよう、俺が全て影に吸収させる。


「はあぁぁあっ!!」

「ギャアァァアッ!!」


 双剣が煌めき、竜の硬い鱗を突き破り、深く深く傷が付く。しかし、それでも半分だ。


「ディアム!」

「承知っ。『影の執行者』っ」


 ラーミアが上手く暴れる竜から離脱したことを確認すると、俺は準備していた大量の魔力を消費して、その魔法を行使する。そして、その魔法が発動した瞬間、竜の影がギロチンの形を作り出し、異常に気づいた竜の尻尾を完全に絶ち切るべく、刃が落とされる。


「グギャアァァァァアッ!!!」


 あまりの激痛にのたうつ竜は、もはやどこを狙っているのかも定かではない。そして、そんな時、小さな白い塊が竜の顔付近に跳躍したかと思えば、竜は上から殴られたかのように顔を地面へとめり込ませる。


「タロ、ですね」

「……あっち、バル、居たはず……無事?」

「それは……きっとバルなら大丈夫でしょう」


 若干、竜が倒れた方向にバルディスが居たような気がして不安ではあったものの、さすがに魔王が竜に潰されて死んだりはしないだろう。……そうであってほしい。

 そして、その直後、炎の槍が竜に直撃して、とどめを刺した状態になったのを見て、ようやく俺達は安堵するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


やったやった!

ディアムが活躍しましたよっ。

若干の不安要素はあったものの、バルディスも無事でした。

後からタロはお説教かもしれませんが。

あと、もうちょっと、竜の森は続きますが、そろそろ終わって次の国の話に移りたいと思います。

それでは、また!
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