我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百十四話 騎士舎(二)

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 部屋に通されて、お茶を振る舞われた俺達は、一旦書類を預けに行ってくると言って去った騎士の姿を見ながら、互いにアイコンタクトを交わす。
 できることなら、ここでしか得られない情報を得たいところだが、それをするにはどうすれば良いのか考える必要があった。


「バル、竜の森、通ったことを伝えてみるのは?」

「そんなことをすれば、俺達は何者なんだって話になりかねないだろうが……悪くない案ではあるな」


 竜の森は、まごうことなき危険地帯だ。並の騎士でも嫌煙するであろうその場所を抜けてきたとなれば、警戒されるに決まっている。しかし、それでも得られる情報を考えれば、そうした方が良いのかもしれないと思えた。


「さっきの騎士が来たら、話してみるか」

「御意」


 そうして、しばらくもしないうちに、案内をしてくれていた騎士が戻ってくる。


「すまねぇな。ほったらかしにしちまって」

「いえ、お忙しい中、もてなしていただいたこと、感謝いたします」

「すまねぇ。そして、ちっとばかし聞きたいことがあるんだが……兄ちゃん達、他国の人間か?」

「……なぜ、そのようなことをお聞きになるのですか?」


 さすがに自身の内情をいきなり探ってくるような言葉に、俺は何でもないような表情を浮かべたまま、警戒する。


「いや、なぁ……今、他国の情報が驚くほど入ってこない状況なんだ。セイクリアは元々国交なんてねぇから、情報が少ないのは当たり前だったんだが、ルビーナとボスティアの情報がないことが気になる。一応、他国から来たと思われるやつには聞き込みをしてるんだが、それもどうやら要領を得なくてな……兄ちゃん達は、何か知らないか?」


 ルビーナ商国にボスティア海国。その二つの国は、いずれファルシスに戻るために経由する予定の国だ。……いや、ボスティアだけは、もしかしたら通り過ぎるだけかもしれないが……。


「申し訳ないが、俺達では役に立てそうにありません。俺達は、旅の者で、方向からすれば、南のセイクリアから来たので」

「何!? セイクリアからっ!? あそこは今、教皇が不在で荒れてるんじゃなかったか? それに、セイクリアからとなると、竜の森を経由する以外に入国の方法はないはずだ。大丈夫だったのか?」


 どうやら、教皇の身に何か起こっていたことまでは知っていたらしい。そして、話の流れとはいえど、竜の森の話題も出てきた。
 ここは、ある程度ぼかしながら話すべきだろう。

 そう考えて、口を開こうとした直後、けたたましい鐘の音が騎士舎いっぱいに響き渡った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁ、ここからはトラブル発生となります。

どんなトラブルになるかは、次回のお楽しみで。

それでは、また!
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