我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第三百十五話 現れた脅威

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『緊急事態発生っ! 竜の森より、竜が接近中! 至急、討伐に向かえっ! 繰り返す――――』


 騎士舎で響く声に、俺達は思わず立ち上がる。


「どういうことだ? 竜は竜の森から出られないはずだぞ!?」


 竜の森は、遥か昔、当時の魔王が暴竜を封印した地であり、竜達はそこから出られなくなっていたはずだ。


「すまねぇっ、兄ちゃん達は安全な場所に避難してくれっ。俺は討伐に向かわなきゃならねぇからなっ」


 椅子を蹴り倒す勢いで立ち上がった騎士は、謝りながら駆け足で立ち去っていく。


「バル、どうする?」


 そうディアムが尋ねるのは、逃げるのかどうかという意味ではない。これを期に、騎士舎の中を調べるか、それとも竜が発生した地点に向かうかということだ。
 正直なところ、俺はどちらも気になった。


「……ディアムはここ、俺は、竜の方へ向かう。途中で、できればラーミア達も回収しておく」

「御意」


 そうして、影に潜ったディアムを見送って、俺は騎士舎から出る。


「一般人の方はこちらへっ! 押さないで、慎重に避難してくださいっ」


 誰からも見咎められることなく、早足で街中を進むと、騎士達が避難指示を出しているところに遭遇する。


「なぁ、竜はどの辺りに出たんだ?」

「っ、なぜそれをっ?」


 周りに聞こえないよう、その騎士の側でこっそり問いかければ、騎士もこっそりと返してくる。どうやら、竜が現れたことは一般人には知らせていないらしい。


「ちょうど騎士舎に用があって、そこで聞いた」

「そうですか。出現場所は、南門の近くらしいです」

「そうか。ありがとう。頑張ってくれ」

「っ、ちょっと!?」


 竜の森からカレッタ小王国首都のルトまでは距離がある。少なくとも、普通に馬車で向かっても二日以上はかかるだろう。しかし、それだけの距離があるにもかかわらず、今の今まで避難指示も討伐指示も出ていなかった。それは、情報を伝えるよりも、竜の走るスピードが速いということにほかならない。
 避難している方向とは逆方向に駆け出した俺を見て、話していた騎士が俺を止めようとするが、混雑した避難者達に遮られて上手くいかない。まんまとその場から抜け出した俺は、南門に向かって走り出して……直後、進行方向から聞き慣れた竜の咆哮が響いてきた。


「ギュオォォォオッ!!」


 パニックに陥る人々をかき分け、俺は急いでその場へと向かうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


封じられていた竜が溢れだした。

さて、何が原因でこうなっているのかを、今後ゆっくり時間をかけて書いていこうと思います。

それでは、また!
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