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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百十七話 竜との決着
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『睡蓮』か……久々に見たな。
『睡蓮』は、元々存在する睡蓮という名の花を模した魔法だ。対象に寄生し、根を張り、血を吸い上げる魔法。しかし、その魔法はあまりにも残虐なものとして、禁術の指定を受けている。この魔法を使える者は、ごく一部の禁術の使用を許された者達だけだ。
「グギッ、ギャアァァァアッ!!」
術が効いてきた竜は激痛にのたうち回る。しかし、その周りには当然騎士達が居るわけで、このままでは騎士達が踏み潰されてしまいかねない。
「『多重結界』」
いくつもの睡蓮を模した水が竜に吸い付いたまま、どんどん赤く、そして、大きく成長していく様を観察しながら、俺は騎士達を守るための結界を構築する。『多重結界』ならば、竜の攻撃でも耐えられるだけの力はある。コントロールは少し大変で、習得している者はファルシス魔国でも少数だが、魔王である俺は使えて当然だ。
さて、そろそろか?
悲鳴を上げながらのたうち回っていた竜は、何度も何度も『多重結界』に体当たりをするものの、その程度の衝撃でびくともしない。
騎士達の方は、最初こそ退避しようとしたものの、結界に守られていることが分かってからは、また竜を攻撃すべく魔法の準備をしていた。
血走った目で体当たりを続けていた竜は、このままでは進めないと判断したのか少し後退して作戦を変えてくる。
「っ、跳ぶぞ! 打てーっ!」
そう、竜は結界を飛び越えようとしたのだ。指揮官の指示によって、魔法が直撃する竜だったが、どうやら一定以下の魔力の攻撃は受け付けないらしく、それらを全て弾いてしまう。
そんな中、ラーミアは一つの魔法を行使する。
「『水鎖』」
地面に手を当てて行使したその魔法は、かつて竜の森で使ったものと同じだったが、一点だけ違うところがあった。それは……。
「今回は、地面からの鎖ですよ」
そう、今回は、ラーミアの手から伸びているわけではない、地面から伸びた鎖だった。
それらの鎖は、今まさに結界の上を通過している竜へと絡みつき、バランスを崩した竜は、そのまま結界の上に落ちてくる。
「ちょうど良いな。『変形』」
魔法の形を変えるための魔法、『変形』を使って、俺は竜がちょうど串刺しになるように結界の一部を尖らせる。すると……。
「ギャアァァァ…ァ……ァ…………」
断末魔を上げた竜は、形を変えた『多重結界』に串刺しにされて、息絶えるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラーミア、禁術まで使えるなんて……なんだか、どんどん女性陣の強さが明らかになっていくような気がします。
次回もまだバルディス視点でお送りする予定です。
それでは、また!
『睡蓮』は、元々存在する睡蓮という名の花を模した魔法だ。対象に寄生し、根を張り、血を吸い上げる魔法。しかし、その魔法はあまりにも残虐なものとして、禁術の指定を受けている。この魔法を使える者は、ごく一部の禁術の使用を許された者達だけだ。
「グギッ、ギャアァァァアッ!!」
術が効いてきた竜は激痛にのたうち回る。しかし、その周りには当然騎士達が居るわけで、このままでは騎士達が踏み潰されてしまいかねない。
「『多重結界』」
いくつもの睡蓮を模した水が竜に吸い付いたまま、どんどん赤く、そして、大きく成長していく様を観察しながら、俺は騎士達を守るための結界を構築する。『多重結界』ならば、竜の攻撃でも耐えられるだけの力はある。コントロールは少し大変で、習得している者はファルシス魔国でも少数だが、魔王である俺は使えて当然だ。
さて、そろそろか?
悲鳴を上げながらのたうち回っていた竜は、何度も何度も『多重結界』に体当たりをするものの、その程度の衝撃でびくともしない。
騎士達の方は、最初こそ退避しようとしたものの、結界に守られていることが分かってからは、また竜を攻撃すべく魔法の準備をしていた。
血走った目で体当たりを続けていた竜は、このままでは進めないと判断したのか少し後退して作戦を変えてくる。
「っ、跳ぶぞ! 打てーっ!」
そう、竜は結界を飛び越えようとしたのだ。指揮官の指示によって、魔法が直撃する竜だったが、どうやら一定以下の魔力の攻撃は受け付けないらしく、それらを全て弾いてしまう。
そんな中、ラーミアは一つの魔法を行使する。
「『水鎖』」
地面に手を当てて行使したその魔法は、かつて竜の森で使ったものと同じだったが、一点だけ違うところがあった。それは……。
「今回は、地面からの鎖ですよ」
そう、今回は、ラーミアの手から伸びているわけではない、地面から伸びた鎖だった。
それらの鎖は、今まさに結界の上を通過している竜へと絡みつき、バランスを崩した竜は、そのまま結界の上に落ちてくる。
「ちょうど良いな。『変形』」
魔法の形を変えるための魔法、『変形』を使って、俺は竜がちょうど串刺しになるように結界の一部を尖らせる。すると……。
「ギャアァァァ…ァ……ァ…………」
断末魔を上げた竜は、形を変えた『多重結界』に串刺しにされて、息絶えるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラーミア、禁術まで使えるなんて……なんだか、どんどん女性陣の強さが明らかになっていくような気がします。
次回もまだバルディス視点でお送りする予定です。
それでは、また!
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