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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第三百七十二話 食事会
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ザルト兄様との食事会。それはなぜか、王族のほぼ全員が揃っての食事会へと変更されていた。
カレッタ小王国国王、ルーデル・リ・カレッタ。王妃のフィリアル・リ・カレッタ。第一王子にして王太子であるバルト・リ・カレッタ。第一王女、シェリア・ル・カレッタ。第二王子、ロデック・ル・カレッタ。第三王子、ザルト・ル・カレッタ。第二王女、リリアス・ル・カレッタ。第三王女、ミリアーナ・ル・カレッタ。第四王子、キルト・ル・カレッタの総勢九名。第五王子のミアト兄様の姿が見えないことは残念だが、そんな彼らと一緒に、僕達は食事をすることとなったのだ。
ちなみに、ミドルネームの『リ』は、王と王妃、王太子にのみつけられる名前で、それ以外の王子や王女には『ル』の名前が冠される。だから、僕も本来ならば、第六王子、フルル・ル・カレッタとなる。
「それでは、勇者殿の無事を祝って、乾杯っ」
カレッタ小王国の名産である赤ワインを注いだグラスを軽く上に上げた父様に、全員がそれに続いてグラスを上に持ち上げる。庶民の間では、グラスをかち合わせるらしいのだが、王候貴族ともなればそんなことはできない。バルディスも一歩遅れる形で同じ動作を行うのを確認した後、僕は、つい気になってタロの姿を探す。
『良いか、タロ。お前には最重要任務を授けるのだ』
ここに来る数時間前、ケント殿がタロに言い聞かせていた言葉が、ふいに頭の中に蘇る。
『私達はこれから食事会に出席することになる。その際、その場に居る全員の『心術』を解くことが、タロの役目なのだ。……あぁ、時間がかかるのは分かっているのだ。だから、できる限り話を伸ばすこととするのだ。……大丈夫なのだ。もし時間内に全て解析できなければ、後に回すから、解析をできるだけしてほしいのだ。……む? それ以外の失敗? それはもちろん許さないのだ』
にゃあにゃあと鳴くタロに、優しく、しかし威圧的に話すケント殿は、正直、とても怖かった。ただ、ケント殿の命令が達成されるとなれば、僕は今日、家族を取り戻すことができるかもしれない。
大丈夫。ケント殿は、記憶を戻してくれる。僕が失うものは何一つない。
今日、ミアト兄様が来られなかったのは、何でも体調が思わしくないかららしい。もしかしたら、僕が拐われた時に刺された傷がまだ治っていないのかとも思ったが、それとは別だという。ただ、僕が拐われた後から、段々と部屋に引きこもるようになっていったらしいから、記憶さえ戻れば、すぐにでもお見舞いに行きたいところではあった。
ゆっくりと食事が運ばれて、歓談しながらの食事会が始まる。タロは、ここに来る前にすでに食事を終えていたため、今はそれぞれの王族の近くでじっと佇み、解析をしているようだった。
大丈夫。きっと、何もかも上手くいく。
そう思っている時だった。ふいに、部屋の外が騒がしくなったのは……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とりあえず、王族の記憶だけは戻してしまおうということで、タロに多大な負担がかかっている今日この頃。
タロは緊張感を持って任務にあたることになりそうですね。
次回は、ちょっと別視点でのお話になりそうです。
それでは、また!
カレッタ小王国国王、ルーデル・リ・カレッタ。王妃のフィリアル・リ・カレッタ。第一王子にして王太子であるバルト・リ・カレッタ。第一王女、シェリア・ル・カレッタ。第二王子、ロデック・ル・カレッタ。第三王子、ザルト・ル・カレッタ。第二王女、リリアス・ル・カレッタ。第三王女、ミリアーナ・ル・カレッタ。第四王子、キルト・ル・カレッタの総勢九名。第五王子のミアト兄様の姿が見えないことは残念だが、そんな彼らと一緒に、僕達は食事をすることとなったのだ。
ちなみに、ミドルネームの『リ』は、王と王妃、王太子にのみつけられる名前で、それ以外の王子や王女には『ル』の名前が冠される。だから、僕も本来ならば、第六王子、フルル・ル・カレッタとなる。
「それでは、勇者殿の無事を祝って、乾杯っ」
カレッタ小王国の名産である赤ワインを注いだグラスを軽く上に上げた父様に、全員がそれに続いてグラスを上に持ち上げる。庶民の間では、グラスをかち合わせるらしいのだが、王候貴族ともなればそんなことはできない。バルディスも一歩遅れる形で同じ動作を行うのを確認した後、僕は、つい気になってタロの姿を探す。
『良いか、タロ。お前には最重要任務を授けるのだ』
ここに来る数時間前、ケント殿がタロに言い聞かせていた言葉が、ふいに頭の中に蘇る。
『私達はこれから食事会に出席することになる。その際、その場に居る全員の『心術』を解くことが、タロの役目なのだ。……あぁ、時間がかかるのは分かっているのだ。だから、できる限り話を伸ばすこととするのだ。……大丈夫なのだ。もし時間内に全て解析できなければ、後に回すから、解析をできるだけしてほしいのだ。……む? それ以外の失敗? それはもちろん許さないのだ』
にゃあにゃあと鳴くタロに、優しく、しかし威圧的に話すケント殿は、正直、とても怖かった。ただ、ケント殿の命令が達成されるとなれば、僕は今日、家族を取り戻すことができるかもしれない。
大丈夫。ケント殿は、記憶を戻してくれる。僕が失うものは何一つない。
今日、ミアト兄様が来られなかったのは、何でも体調が思わしくないかららしい。もしかしたら、僕が拐われた時に刺された傷がまだ治っていないのかとも思ったが、それとは別だという。ただ、僕が拐われた後から、段々と部屋に引きこもるようになっていったらしいから、記憶さえ戻れば、すぐにでもお見舞いに行きたいところではあった。
ゆっくりと食事が運ばれて、歓談しながらの食事会が始まる。タロは、ここに来る前にすでに食事を終えていたため、今はそれぞれの王族の近くでじっと佇み、解析をしているようだった。
大丈夫。きっと、何もかも上手くいく。
そう思っている時だった。ふいに、部屋の外が騒がしくなったのは……。
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とりあえず、王族の記憶だけは戻してしまおうということで、タロに多大な負担がかかっている今日この頃。
タロは緊張感を持って任務にあたることになりそうですね。
次回は、ちょっと別視点でのお話になりそうです。
それでは、また!
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