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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第四百二十五話 半身
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最初に聞いた時から予感はあった。そいつが、私にとって重要な存在であるという予感が。
タロやアグニとともにバルディス達が待機しているという奴隷にされかけた者達が集まる場所へと向かうと、そこは随分と静まり返っていた。
いや、違う。静かなわけではない。ただ、何かが、何か、大切なものがそこにある予感に、心が震え、周りの音を遮断してしまっていたのだ。
一応は会話に混ざりながら、それでも心惹かれる何かが気になりソワソワしていると、先代魔王がここに居ることを聞かされる。
(きっと、それなのだっ)
私に似ているという先代魔王が、恐らく心惹かれるものの正体だと確信を持った私は、本来ならばタロの通訳としても、『転移』を使える者としても、奴隷にされかけた者達の解放に向かわなければならないところを、タロに任せて出てきた。
「? ケント、どうして、ここ?」
「うむ、少し気になったのでな。先代魔王を見せてもらえるか?」
「分かった」
見張りをしているディアムには疑問に思われたが、私はどうしても先代魔王と会いたい。これが何という感情なのかはまだ分からないものの、とにかく会いたくて会いたくて仕方がなかった。
『そこに居る。見てくると良い』そう言って、指し示された方向へと歩けば、彼は、確かにそこに居た。
顔に不気味な黒い紋様を持つ彼は、確かに私と酷似した顔をしている。昏睡薬というもので昏睡状態にある彼は、自分で言うのも何だが、どこか美しく見えた。
(やっと、会えたっ)
自分が何を思ったのかの自覚もないまま、私は震えそうになる手で彼に触れる。
思えば、日本では心惹かれる人に出会ったことなどない。唯一の癒しは、タロのモッチリボディだと断言できる私は、ここまで初対面の男に惹かれているという事実に驚きつつも、当然のことなのだと納得してしまう。
その後、私はしばらく彼を眺め、『探索能力』が私一人では発動しないことを確認した直後、タロを呼びに戻る。
(名前が知りたい。話を、してみたい)
タロと一緒に確認した情報に、私は邪神に対して、怒りのあまり頭の中が白くなった。彼を、ケルトを傷つけた者が居るという事実だけで、許しがたいと思えた。
そして、私の魂が、ケルトと一つであったということに、私はとても納得できた。ケルトの側こそが、私の居場所だと思えてしまうのだから、それも当然だろう。
「必ず救ってみせるのだ。ケルト……」
『精神侵略』という魔法がどんなものかは分からないが、私は必ずケルトを救ってみせる。
その決意を胸に、私はさっさと安全な宿屋へと向かうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……下手をすればBL?
と、思いながら、とりあえず書き書き。
次回は、『精神侵略』魔法発動、の予定です。
それでは、また!
タロやアグニとともにバルディス達が待機しているという奴隷にされかけた者達が集まる場所へと向かうと、そこは随分と静まり返っていた。
いや、違う。静かなわけではない。ただ、何かが、何か、大切なものがそこにある予感に、心が震え、周りの音を遮断してしまっていたのだ。
一応は会話に混ざりながら、それでも心惹かれる何かが気になりソワソワしていると、先代魔王がここに居ることを聞かされる。
(きっと、それなのだっ)
私に似ているという先代魔王が、恐らく心惹かれるものの正体だと確信を持った私は、本来ならばタロの通訳としても、『転移』を使える者としても、奴隷にされかけた者達の解放に向かわなければならないところを、タロに任せて出てきた。
「? ケント、どうして、ここ?」
「うむ、少し気になったのでな。先代魔王を見せてもらえるか?」
「分かった」
見張りをしているディアムには疑問に思われたが、私はどうしても先代魔王と会いたい。これが何という感情なのかはまだ分からないものの、とにかく会いたくて会いたくて仕方がなかった。
『そこに居る。見てくると良い』そう言って、指し示された方向へと歩けば、彼は、確かにそこに居た。
顔に不気味な黒い紋様を持つ彼は、確かに私と酷似した顔をしている。昏睡薬というもので昏睡状態にある彼は、自分で言うのも何だが、どこか美しく見えた。
(やっと、会えたっ)
自分が何を思ったのかの自覚もないまま、私は震えそうになる手で彼に触れる。
思えば、日本では心惹かれる人に出会ったことなどない。唯一の癒しは、タロのモッチリボディだと断言できる私は、ここまで初対面の男に惹かれているという事実に驚きつつも、当然のことなのだと納得してしまう。
その後、私はしばらく彼を眺め、『探索能力』が私一人では発動しないことを確認した直後、タロを呼びに戻る。
(名前が知りたい。話を、してみたい)
タロと一緒に確認した情報に、私は邪神に対して、怒りのあまり頭の中が白くなった。彼を、ケルトを傷つけた者が居るという事実だけで、許しがたいと思えた。
そして、私の魂が、ケルトと一つであったということに、私はとても納得できた。ケルトの側こそが、私の居場所だと思えてしまうのだから、それも当然だろう。
「必ず救ってみせるのだ。ケルト……」
『精神侵略』という魔法がどんなものかは分からないが、私は必ずケルトを救ってみせる。
その決意を胸に、私はさっさと安全な宿屋へと向かうのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……下手をすればBL?
と、思いながら、とりあえず書き書き。
次回は、『精神侵略』魔法発動、の予定です。
それでは、また!
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