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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第四百二十九話 精神侵略魔法(四)
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男は、斬り伏せた途端、体から血を吹き出して倒れる。ただ、それと同時にケルトも倒れてしまい、私は男が死んだかどうかの確認もせずに、ケルトへと駆け寄る。
「ケルトっ、もう大丈夫なのだっ。私が、ケルトを助けに来たのだっ」
『光剣』を出してから、どうやら私はこの空間に干渉できるようになったらしく、ケルトを抱き起こすことに成功する。しかし、ケルトの顔色はあまりにも悪い。
「ケルっ!?」
ケルトの名前を呼びかけて、私は、ケルトの体が濡れていることに気づいた。
(血!? このままでは、ケルトが死んでしまうっ!)
そうはさせないと、私はケルトへと『治癒』をかける。ケルトを失いたくない私は、何がなんでもケルトに生きてほしかったのだ。
「死ぬな。ケルトっ」
全力で『治癒』を行えば、傷口はあっさり塞がる。しかし、流れ出た血までは補充できない。今はとにかく安静にして、起きてくれば、血肉になる食べ物を食べさせなければならないだろう。
「これは、本当にあったことなのか? ケルト?」
抱き上げたケルトの体は、子供だといっても、かなりの軽さで、食事がまともに摂れていないことを表していた。
「……とにかく、ここは場所が悪いのだ。早く、安全なところへ……っ!?」
ケルトを抱えて歩き出そうとしたところで、私は、背後からの殺気を受けてすぐにその場を飛び退く。
「返せっ、返せ返せ返せ返セ返セカえセカエセカエセっ」
そこには、まるで幽鬼のように立ち上がる、何とかデイカーが居た。その目は完全に血走り、正気を保っている様子はない。
「チッ、まだ生きていたのか」
私としては、確実に仕留めたつもりだったのだが、どうやら甘かったらしい。
この世界に来て、初めて人を殺したというのに、罪悪感も何も感じないのは、単にそれがケルトのためであるからにほかならない。それを自覚しつつも、私は男に再び剣を向ける。ケルトを片手に抱きながらでも、男を殺すことは可能なはずだ。
「カエセカエセカエセカエセ」
「うるさいのだ」
そう言って、私はふたたび、男へと剣を振るう。しかし……。
「ガエゼガエゼガエゼェェェエっ」
傷を負ったはずの男は、一度は倒れながらも、また立ち上がってくる。その姿は、まさにゾンビと言えるもので、私は密かに戦慄する。
「カエセェェェエっ!」
しかも、回復能力が高いのか、私が斬った傷は、もう塞がってしまっていた。
「くっ」
もしかしたら、頭を斬り落とせば倒せるのかもしれなかったが、まだまだ顔色が悪いケルトをこのままここに置いておくわけにもいかず、私は男を蹴り飛ばし、一気に扉を出て、階段を駆け上がるのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……あれ?
ジャンル、ホラーじゃなかったよね?
と、思いながら、割とホラーな様子を書いた自覚はあります。
案外、この精神世界のお話は長くなるかもです。
それでは、また!
「ケルトっ、もう大丈夫なのだっ。私が、ケルトを助けに来たのだっ」
『光剣』を出してから、どうやら私はこの空間に干渉できるようになったらしく、ケルトを抱き起こすことに成功する。しかし、ケルトの顔色はあまりにも悪い。
「ケルっ!?」
ケルトの名前を呼びかけて、私は、ケルトの体が濡れていることに気づいた。
(血!? このままでは、ケルトが死んでしまうっ!)
そうはさせないと、私はケルトへと『治癒』をかける。ケルトを失いたくない私は、何がなんでもケルトに生きてほしかったのだ。
「死ぬな。ケルトっ」
全力で『治癒』を行えば、傷口はあっさり塞がる。しかし、流れ出た血までは補充できない。今はとにかく安静にして、起きてくれば、血肉になる食べ物を食べさせなければならないだろう。
「これは、本当にあったことなのか? ケルト?」
抱き上げたケルトの体は、子供だといっても、かなりの軽さで、食事がまともに摂れていないことを表していた。
「……とにかく、ここは場所が悪いのだ。早く、安全なところへ……っ!?」
ケルトを抱えて歩き出そうとしたところで、私は、背後からの殺気を受けてすぐにその場を飛び退く。
「返せっ、返せ返せ返せ返セ返セカえセカエセカエセっ」
そこには、まるで幽鬼のように立ち上がる、何とかデイカーが居た。その目は完全に血走り、正気を保っている様子はない。
「チッ、まだ生きていたのか」
私としては、確実に仕留めたつもりだったのだが、どうやら甘かったらしい。
この世界に来て、初めて人を殺したというのに、罪悪感も何も感じないのは、単にそれがケルトのためであるからにほかならない。それを自覚しつつも、私は男に再び剣を向ける。ケルトを片手に抱きながらでも、男を殺すことは可能なはずだ。
「カエセカエセカエセカエセ」
「うるさいのだ」
そう言って、私はふたたび、男へと剣を振るう。しかし……。
「ガエゼガエゼガエゼェェェエっ」
傷を負ったはずの男は、一度は倒れながらも、また立ち上がってくる。その姿は、まさにゾンビと言えるもので、私は密かに戦慄する。
「カエセェェェエっ!」
しかも、回復能力が高いのか、私が斬った傷は、もう塞がってしまっていた。
「くっ」
もしかしたら、頭を斬り落とせば倒せるのかもしれなかったが、まだまだ顔色が悪いケルトをこのままここに置いておくわけにもいかず、私は男を蹴り飛ばし、一気に扉を出て、階段を駆け上がるのだった。
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……あれ?
ジャンル、ホラーじゃなかったよね?
と、思いながら、割とホラーな様子を書いた自覚はあります。
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それでは、また!
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