我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第四百三十三話 二号

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 しばらくケルトと抱き締め合った飼い主は、気がすんだのか、ようやくケルトをその腕から離す。


「にゃあ……(飼い主……)」

「む? タロはなぜ凹んでいるのだ?」

「いや、さっきから、ケントが先代魔王に盗られたと思ってタロは嘆いていたんだが?」


 バルディスのそんな突っ込みに、飼い主は首をかしげつつも一つうなずくと、我輩を抱き上げる。


「タロ。ケルトは私の半身なのだ。とても大切な存在なのだ。しかし、だからといって、タロがいらないなどというわけではない」

「にゃ? (飼い主?)」


 飼い主が盗られたわけではないのだろうかと、一縷の希望を持って見上げてみると、飼い主はその視線を我輩の後ろへと投げる。


「ふむ、ケルト、タロを抱き上げてみてはくれないか?」

「あ、あぁ……っ、このもっちりとした感触はっ!?」

「そうだろう。病みつきになるであろう?」

「あぁ、これは、良いな」

「タロ。私とケルトは、元々同一人物なのだ。だから、タロにとっては、私が二人に増えたことと同じなのだ」


 飼い主が、二人……?


 確かに、飼い主とケルトはとても良く似ている。と、いうか、『傀儡』魔法が解けたせいか、顔の紋様がなくなり、なぜか匂いまでもが飼い主にとても良く似ている。


 大好きな、飼い主が二人?


 それは、どんなに素晴らしいことだろう。我輩は、飼い主のその言葉に、一瞬にして魅了された。


「にゃっ! (飼い主二号なのだっ!)」

「むっ? 何となく言っていることが分かるような……第二の飼い主、ということで合っているか?」

「にゃっ(そうなのだっ)」


 やはり、飼い主は飼い主だ。我輩の言いたいことをしっかりと理解してくれる。


「……もう、驚くのは疲れたな」


 バルディスが隅で一人、何事かを呟いてはいるものの、そんなことは気にならない。我輩、とにかく嬉しくて、耳をピンと立てて飼い主二号に甘える。


「にゃー(二号ー)」

「くっ、ケント。タロが可愛過ぎる」

「あぁ、同意なのだ。ケルト、共にタロを愛でようぞ」


 スリスリと顔を二号に擦り付ければ、二号と飼い主の手が我輩を撫でてくれる。至福の一時だ。


「あー、そろそろ、話をしたいんだが、良いか?」

「「今はダメだ(なのだ)」」


 勇気を出して割って入ったらしいバルディスは撃沈し、そのまましばらく、我輩は幸せに浸るのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


は、話が進まなかった……あ、明日こそは!

それでは、また!
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