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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第四百四十五話 ナージャ様の旅(十一)
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妙に手慣れたエスコートでナージャが連れていかれたのは、こぢんまりとした個室のある喫茶店。もしかしたら、ここで本格的にナンパされるのかもしれないと警戒を強めるナージャに、ケントはさっさと店員に個室への案内を頼む。
「む? あぁ、警戒せずとも良いのだ。別に、ナンパするつもりではない」
「でしたら、何が目的ですの?」
個室で向かい合わせに座った途端、ケントはナージャの心の内を読んだかのような言葉を発する。ナージャはそれに対して、平然とした表情を作ったまま、問いかける。
「うむ、その前に先に謝っておくのだ。勝手に調べてしまい、すまなかったのだ」
「……『調べた』とは?」
「たまたま、結構な手練れが居ると思っただけだったのだがな……タロが日常的に『探索能力』を使っているのを思い出して、私もそれを使ってしまい……端的に言うのであれば、ナージャ殿の情報を確認してしまったのだ」
そのケントの言葉を聞くや否や、ナージャは素早く立ち上がり、隠し持っていた毒針を投げかけて……。
「バルディスとは知り合いなのだ」
とりあえず、毒針を使うことを取り止めとする。
「バル様と? あなたが? いったいどのような関係ですの?」
情報を引き出してからでも遅くはないと、ナージャは何事もなかったかのように、ゆっくり席に戻って紅茶をすする。
「うむ、魔王と勇者なのだ」
「んぐっ!?」
紅茶を吹き出しそうになりながらも何とか抑えたナージャは、ゲホゲホとむせながら涙目でケントをにらむ。
「勇者、ですって?」
「うむ、このカレッタ小王国で召喚されたのだ。……あぁ、バルディスとは友人……いや、同志、なのだ」
少し考えた後に告げられた魔王たるバルディスに対する好意的な関係性の示唆に、ナージャはじっとケントをにらんだまま考え込む。
「……あなたが勇者として、なぜバル様と敵対することがなかったのか、不思議ですわね」
「む? 何も不思議なことはないであろう? バルディスは何も悪いことはしていないのだ。それに、私は、邪神を倒すために、この世界に呼ばれたのだから、魔王など管轄外なのだ」
「邪神……」
初めて聞いた勇者の目的に、ナージャはしばし呆然とする。
「うむ、まずは、聞いた話がほとんどであるが、アルトルムからこの国に至るまでのバルディス達の行動を教えておくのだ」
そう言って、ケントはアルトルム王国、サナフ教国、セイクリア教国、カレッタ小王国でのバルディス達の行動をナージャへと語るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ペースが完全に飼い主のものに……。
ナージャ様もあくが強いキャラクターですが、飼い主を前にすると大人しくなってるような……?
それでは、また!
「む? あぁ、警戒せずとも良いのだ。別に、ナンパするつもりではない」
「でしたら、何が目的ですの?」
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「うむ、その前に先に謝っておくのだ。勝手に調べてしまい、すまなかったのだ」
「……『調べた』とは?」
「たまたま、結構な手練れが居ると思っただけだったのだがな……タロが日常的に『探索能力』を使っているのを思い出して、私もそれを使ってしまい……端的に言うのであれば、ナージャ殿の情報を確認してしまったのだ」
そのケントの言葉を聞くや否や、ナージャは素早く立ち上がり、隠し持っていた毒針を投げかけて……。
「バルディスとは知り合いなのだ」
とりあえず、毒針を使うことを取り止めとする。
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「うむ、魔王と勇者なのだ」
「んぐっ!?」
紅茶を吹き出しそうになりながらも何とか抑えたナージャは、ゲホゲホとむせながら涙目でケントをにらむ。
「勇者、ですって?」
「うむ、このカレッタ小王国で召喚されたのだ。……あぁ、バルディスとは友人……いや、同志、なのだ」
少し考えた後に告げられた魔王たるバルディスに対する好意的な関係性の示唆に、ナージャはじっとケントをにらんだまま考え込む。
「……あなたが勇者として、なぜバル様と敵対することがなかったのか、不思議ですわね」
「む? 何も不思議なことはないであろう? バルディスは何も悪いことはしていないのだ。それに、私は、邪神を倒すために、この世界に呼ばれたのだから、魔王など管轄外なのだ」
「邪神……」
初めて聞いた勇者の目的に、ナージャはしばし呆然とする。
「うむ、まずは、聞いた話がほとんどであるが、アルトルムからこの国に至るまでのバルディス達の行動を教えておくのだ」
そう言って、ケントはアルトルム王国、サナフ教国、セイクリア教国、カレッタ小王国でのバルディス達の行動をナージャへと語るのだった。
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ペースが完全に飼い主のものに……。
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それでは、また!
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