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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇
第五百二十五話 巨大魚の腹をぶち破れ(八)
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転移陣に飛び込んだ瞬間、我輩達は激流に飲み込まれる。
「うわぁぁぁぁあっ!!」
「タロっ、落ち着いてくださいっ。大丈夫ですからっ」
ギュウッとラーミアに抱き締められて、我輩、目を開けると……。
「回っていない?」
いや、正確には、回ってはいる。ただし、我輩を含め、ラーミアやビー兄さん達も全員大きな『結界』で囲っているため、ゆっくりゆっくり回っているような状態だった。つまりは、スピードにさえ慣れれば大したことはない。
「水流を調節しなければ、どこに出るか分かりません。タロ、水の流れを緩めますわよっ」
「分かったのだっ」
そうして、我輩は辺りの水に魔力を巡らせて、水流を調節しようとしたのだが……。
「……」
「……これは……」
「おいっ、水の流れの調節はまだか?」
ビー兄さんの問いかけに、我輩の代わりにラーミアが答える。
「別の魔力……らしきものが混ざっていて、全く調節できませんわ」
そう、ここら辺の水は、何やら禍々しい魔力らしきもので満たされており、我輩達の魔力を弾いていたのだ。
そうこうしているうちに、我輩達は何やら巨大な空間へと投げ出される。そして……。
ガツンっという音とともに、それらは現れる。
「魚……」
「これは、まさか……」
「魔魚、か?」
真っ黒で、ギザギザの歯を剥き出しにした五十センチほどの大きさの魚達。魔魚と呼ばれたそれらは、我輩達を獲物として認識したのだろう。ガツガツと、『結界』へ体当たりやら噛みつきやらを繰り返してくる。もう、辺り一面が魔魚だらけだ。
「ひっ、海の殺し屋が、こんなにっ」
「バッキャロー! こんなの、怖くなんて……うぅ、うわぁあっ、討伐に参加するんじゃなかったぁぁあっ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、骨も残らないのは嫌ですっ」
そして、魔魚というのは、魚人達にとって恐怖の対象らしく、ビー兄さん以外が大いに取り乱している。正直、我輩も『結界』がなければと思うとゾッとする。魚を食べることは考えるものの、魚に食べられることは考えたことがなかったのだ。しかし、悪いことはさらに続く。
ピシッ。
「……タロ、今の音は?」
「……うむ、『結界』が軋んでいるのだ」
「あぁ、なるほど。魔魚は確か、魔力を食らうからなぁ」
どこか遠い目でそう告げるビー兄さん。
「「それを先に言うのだっ(言いなさいっ)」」
我輩、大慌てで『結界』を強化し、どうにかこの絶望的な状況から抜け出そうと、ラーミア達に意見を聞くのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一面真っ黒魔魚だらけ~。
さぁ、早くしないと、骨も残らずに食べられちゃいますね。
それでは、また!
「うわぁぁぁぁあっ!!」
「タロっ、落ち着いてくださいっ。大丈夫ですからっ」
ギュウッとラーミアに抱き締められて、我輩、目を開けると……。
「回っていない?」
いや、正確には、回ってはいる。ただし、我輩を含め、ラーミアやビー兄さん達も全員大きな『結界』で囲っているため、ゆっくりゆっくり回っているような状態だった。つまりは、スピードにさえ慣れれば大したことはない。
「水流を調節しなければ、どこに出るか分かりません。タロ、水の流れを緩めますわよっ」
「分かったのだっ」
そうして、我輩は辺りの水に魔力を巡らせて、水流を調節しようとしたのだが……。
「……」
「……これは……」
「おいっ、水の流れの調節はまだか?」
ビー兄さんの問いかけに、我輩の代わりにラーミアが答える。
「別の魔力……らしきものが混ざっていて、全く調節できませんわ」
そう、ここら辺の水は、何やら禍々しい魔力らしきもので満たされており、我輩達の魔力を弾いていたのだ。
そうこうしているうちに、我輩達は何やら巨大な空間へと投げ出される。そして……。
ガツンっという音とともに、それらは現れる。
「魚……」
「これは、まさか……」
「魔魚、か?」
真っ黒で、ギザギザの歯を剥き出しにした五十センチほどの大きさの魚達。魔魚と呼ばれたそれらは、我輩達を獲物として認識したのだろう。ガツガツと、『結界』へ体当たりやら噛みつきやらを繰り返してくる。もう、辺り一面が魔魚だらけだ。
「ひっ、海の殺し屋が、こんなにっ」
「バッキャロー! こんなの、怖くなんて……うぅ、うわぁあっ、討伐に参加するんじゃなかったぁぁあっ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、骨も残らないのは嫌ですっ」
そして、魔魚というのは、魚人達にとって恐怖の対象らしく、ビー兄さん以外が大いに取り乱している。正直、我輩も『結界』がなければと思うとゾッとする。魚を食べることは考えるものの、魚に食べられることは考えたことがなかったのだ。しかし、悪いことはさらに続く。
ピシッ。
「……タロ、今の音は?」
「……うむ、『結界』が軋んでいるのだ」
「あぁ、なるほど。魔魚は確か、魔力を食らうからなぁ」
どこか遠い目でそう告げるビー兄さん。
「「それを先に言うのだっ(言いなさいっ)」」
我輩、大慌てで『結界』を強化し、どうにかこの絶望的な状況から抜け出そうと、ラーミア達に意見を聞くのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一面真っ黒魔魚だらけ~。
さぁ、早くしないと、骨も残らずに食べられちゃいますね。
それでは、また!
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