我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第五章 ルビーナ商国とボスティア海国の闇

第五百二十六話 巨大魚の腹をぶち破れ(九)

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 魔魚達を前に、立ち往生の我輩達。そんな中、ラーミアはとても冷静だった。


「ようするに、この魔魚達をぶちのめせば良いのでしょう?」


 そうして、ラーミアは我輩に禁断の術の使用許可を出す。


「むぅ、し、しかし……」

「さっ、やってしまってください。タロ」


 ラーミアに命じられれば、我輩、動かざるを得ない。例え、魚人達が信じられないというような顔をしていようとも、ビー兄さんがすっかり怯えきっていようとも、我輩に、ラーミアの命令を断るという道はないのだ。


「では、行くのだっ。『雷槍』っ」


 我輩、慎重にそれを結界の外に出現させ……次の瞬間、バチバチバチッという音とともに、魔魚達の攻撃が止む。


「お、おぉ……」

「何て恐ろしい……」


 魔魚達は、一瞬にして力を失い、水流に従ってどこかへ行ってしまう。


「……やったのだ」

「良くやりましたわ。タロ」


 ラーミアに優しく頭を撫でられるものの、我輩、とっても複雑なのだ。そうこうしながらも、我輩達、水流に乗って、どんどん奥へと突き進み……。


「……タロ、この壁、壊せませんか?」

「調べてみるのだっ。『探索』っ」


 ラーミアのそんな指示に、我輩、とりあえず『探索能力』を使う。すると……。


《『邪神の眼』と化した巨大魚の胃。

魔力三千で破壊可能。

ただし、修復能力が高く、早く離脱しなければまた閉じ込められてしまう》


「とのことなのだ」

「そうですか……では、やはり周りの水を操れるようになっておかなければ、厳しいですわね。いえ、もしくは、反対側に攻撃を放って、水流を起こすか……」


 そうブツブツ言うラーミアを横目に、何やらビー兄さんが騒がしくなる。


「おぉっ、できたぞ!」

「うるさいですよ?」


 ギンッと睨むラーミアをものともせず、ビー兄さんはニコニコと泳いでくる。


「いや、だがな? 俺は水流を操れたんだっ!」

「「はっ?」」


 我輩も、ラーミアも操れなかったのに、ビー兄さんは操れた?


 そこを疑問に思うものの、ラーミアはすぐに切り替えたらしい。


「タロ、三千の魔力で『水花火』を放つ準備を。ビーは穴が開いたら、すぐにそこを通り抜けられるようにしてください」

「了解っ」

「分かったのだ」


 そうして、数秒後、我輩達を阻む壁に、大穴が空き、大地震が起こるとともに、決死の脱出作戦が決行するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


やっと、巨大魚の腹を破るところまできました!

そして、フィリアちゃんに関しては、またもうしばらく後に出します。

それでは、また!
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