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第一章 アルトルム王国の病
第十八話 案内役は……?
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道案内役の同胞は、案外簡単に見つかった。当初は、北の川辺で大勢の人間を目撃したという同胞に案内を頼むつもりであったが、どうやら北の川辺での話を興味本意で確認しに行った同胞がわりと多かったらしい。
だから……結論を言えば、チャーもその場所を知っていたのだ。
「にゃっにゃあにゃっ(師匠、昨日は置いていかれたのかと思ってしまいましたが、きっとこれは修行の一環なのだと分かり、ちゃんと師匠の居場所の特定、できましたよっ)」
「に、にゃあ(う、うむ、そうであるな)」
そして現在、我輩はキラッキラと目を輝かせて、我輩に尊敬の眼差しを送るチャーと対面している。
バルディス達はまだ宿屋におり、我輩、案内役を探すという名目で朝から外へ出てきたのであったのだが、チャーは、外に出てすぐに寄って来た。そこで、我輩、ちょうど良いとばかりに北の川辺のことを尋ねたところ、知っているとの答えとともに何やら誤解された行動の解釈を話され、この視線を送られているのだ。
我輩、とってもタジタジなのだ。とてもではないが、本当にチャーのことを忘れていて、置いてきぼりにしてしまったなどということは言えないのだ。
少し涼しいくらいの爽やかな朝。空は晴れ渡り、風が心地好く当たる今日この頃。我輩、人間であったなら、大量の冷や汗をかいているところなのだ。
「にゃにゃーっ(師匠、この修行は、敵の追跡のためのものなんですよねっ)」
「に、にゃー。にゃあ。にゃ(そ、そうであるな。ただ、どんな時も、深追いはしてはならないのだ。命が一番大切なのだ)」
「にゃ……にゃあっ。にゃにゃっ(師匠、俺を心配して……分かりました、師匠っ。俺、しっかり気を付けて頑張りますっ)」
修行のつもりではなかったなどと言えない我輩は、せめて、それらしくしようとアドバイスをしてみたのだが……何か、悪化したような気がするのだ。我輩、崇拝されても怖いだけなのだ。だから、だから、どうか、チャーには早く正気に戻ってもらいたいのだ。そして、このどうしようもないくらいに膨れ上がった罪悪感から解放されたい。
「にゃあ(すまないのだ)」
「にゃあ? にゃ(何か言いましたか? 師匠)」
「にゃ(いや、何でもないのだ)」
不思議そうに我輩を見つめるチャーにそう告げた我輩は、いつまでもここで突っ立っているわけにもいかず、本題に入ることにする。
「にゃあ……にゃーにゃにゃ(それで、だな……すまないのだが、人間達を見たという北の川辺に案内してほしいのだ)」
「にゃっ。にゃあ。……にゃ(お安いご用ですっ。師匠。……あっ)」
敬礼でもしそうな勢いで応えたチャーは、その直後何を思ったのか、オロオロとしだし、ついには耳を横にして、我輩の表情を窺うようにして見てくる。
「にゃあ? (どうしたのだ?)」
さすがに様子のおかしいチャーを見て、我輩、心配になる。ただ、チャーの様子がおかしい理由までは全く分からないせいで、どうしたら良いのかも分からない。
「にゃにゃーにゃ…(あ、いえ、ただ、今日は花屋の姐さんのところに行く予定だったと思って…)」
「にゃあ……にゃにゃー(あぁ、この前言っていた……ふむ、それならば、案内はチャーの用事が終わってからで良いのだ)」
さすがに、本来の予定を曲げてまで案内してもらうつもりはない。そんなことをすれば、ただでさえ強い罪悪感が際限なく膨れ上がりそうなのだ。それに……。
「にゃー? にゃにゃ(その花屋のレディは、どのような様子なのだ? まだ落ち込んでいるようであれば、我輩も力になれないか行ってみたいのだが)」
「ふにゃっ(そ、そんなっ、師匠のお手を煩わせることではありませんっ)」
「にゃっ! ふにゃーっ! しゃーっ! (何を言うかっ! レディが困っているのであれば、できる範囲で力を尽くすのが紳士というものだっ! その努力を怠るなど、言語道断っ!)」
もちろん、何でもかんでも手を貸せば良いというわけではないが、困っていることを知っていて見過ごすことはできない。紳士として、それだけは、絶対にやってはいけないことなのだ。
「ふにゃあっ! にゃにゃっ。にゃあぁっ(す、すみませんっ! 俺、紳士として最低なことをしようとしていたんですねっ。もう、二度と同じ間違いはしませんっ)」
「にゃっ。にゃあにゃっ(その意気なのだっ。ではっ、出発なのだっ)」
そうして我輩、本来の目的を盛大に放り投げて、花屋のレディの元へと向かうことにする。もちろん、後からちゃんと本来の目的も果たすつもりではあるものの、我輩、なぜかこの花屋のレディには絶対に会わなければならない気がしていた。
後から思えば、それは、野性の勘とも言えるものだったのだろう。我輩は、花屋のレディに会うことで、とても大切な事実を知ることになったのだから……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一日遅れましたが、更新です!
……ちょっと、別の作品を準備してたら、更新が遅くなりました。
すみません。
さてさて、作者が結構気に入っているチャーはいかがでしょうか?
タロも天然だけど、チャーも天然です。
その天然の方向性は……ある意味同じですけどね。
それでは、次回も楽しく書いていきますねっ。
だから……結論を言えば、チャーもその場所を知っていたのだ。
「にゃっにゃあにゃっ(師匠、昨日は置いていかれたのかと思ってしまいましたが、きっとこれは修行の一環なのだと分かり、ちゃんと師匠の居場所の特定、できましたよっ)」
「に、にゃあ(う、うむ、そうであるな)」
そして現在、我輩はキラッキラと目を輝かせて、我輩に尊敬の眼差しを送るチャーと対面している。
バルディス達はまだ宿屋におり、我輩、案内役を探すという名目で朝から外へ出てきたのであったのだが、チャーは、外に出てすぐに寄って来た。そこで、我輩、ちょうど良いとばかりに北の川辺のことを尋ねたところ、知っているとの答えとともに何やら誤解された行動の解釈を話され、この視線を送られているのだ。
我輩、とってもタジタジなのだ。とてもではないが、本当にチャーのことを忘れていて、置いてきぼりにしてしまったなどということは言えないのだ。
少し涼しいくらいの爽やかな朝。空は晴れ渡り、風が心地好く当たる今日この頃。我輩、人間であったなら、大量の冷や汗をかいているところなのだ。
「にゃにゃーっ(師匠、この修行は、敵の追跡のためのものなんですよねっ)」
「に、にゃー。にゃあ。にゃ(そ、そうであるな。ただ、どんな時も、深追いはしてはならないのだ。命が一番大切なのだ)」
「にゃ……にゃあっ。にゃにゃっ(師匠、俺を心配して……分かりました、師匠っ。俺、しっかり気を付けて頑張りますっ)」
修行のつもりではなかったなどと言えない我輩は、せめて、それらしくしようとアドバイスをしてみたのだが……何か、悪化したような気がするのだ。我輩、崇拝されても怖いだけなのだ。だから、だから、どうか、チャーには早く正気に戻ってもらいたいのだ。そして、このどうしようもないくらいに膨れ上がった罪悪感から解放されたい。
「にゃあ(すまないのだ)」
「にゃあ? にゃ(何か言いましたか? 師匠)」
「にゃ(いや、何でもないのだ)」
不思議そうに我輩を見つめるチャーにそう告げた我輩は、いつまでもここで突っ立っているわけにもいかず、本題に入ることにする。
「にゃあ……にゃーにゃにゃ(それで、だな……すまないのだが、人間達を見たという北の川辺に案内してほしいのだ)」
「にゃっ。にゃあ。……にゃ(お安いご用ですっ。師匠。……あっ)」
敬礼でもしそうな勢いで応えたチャーは、その直後何を思ったのか、オロオロとしだし、ついには耳を横にして、我輩の表情を窺うようにして見てくる。
「にゃあ? (どうしたのだ?)」
さすがに様子のおかしいチャーを見て、我輩、心配になる。ただ、チャーの様子がおかしい理由までは全く分からないせいで、どうしたら良いのかも分からない。
「にゃにゃーにゃ…(あ、いえ、ただ、今日は花屋の姐さんのところに行く予定だったと思って…)」
「にゃあ……にゃにゃー(あぁ、この前言っていた……ふむ、それならば、案内はチャーの用事が終わってからで良いのだ)」
さすがに、本来の予定を曲げてまで案内してもらうつもりはない。そんなことをすれば、ただでさえ強い罪悪感が際限なく膨れ上がりそうなのだ。それに……。
「にゃー? にゃにゃ(その花屋のレディは、どのような様子なのだ? まだ落ち込んでいるようであれば、我輩も力になれないか行ってみたいのだが)」
「ふにゃっ(そ、そんなっ、師匠のお手を煩わせることではありませんっ)」
「にゃっ! ふにゃーっ! しゃーっ! (何を言うかっ! レディが困っているのであれば、できる範囲で力を尽くすのが紳士というものだっ! その努力を怠るなど、言語道断っ!)」
もちろん、何でもかんでも手を貸せば良いというわけではないが、困っていることを知っていて見過ごすことはできない。紳士として、それだけは、絶対にやってはいけないことなのだ。
「ふにゃあっ! にゃにゃっ。にゃあぁっ(す、すみませんっ! 俺、紳士として最低なことをしようとしていたんですねっ。もう、二度と同じ間違いはしませんっ)」
「にゃっ。にゃあにゃっ(その意気なのだっ。ではっ、出発なのだっ)」
そうして我輩、本来の目的を盛大に放り投げて、花屋のレディの元へと向かうことにする。もちろん、後からちゃんと本来の目的も果たすつもりではあるものの、我輩、なぜかこの花屋のレディには絶対に会わなければならない気がしていた。
後から思えば、それは、野性の勘とも言えるものだったのだろう。我輩は、花屋のレディに会うことで、とても大切な事実を知ることになったのだから……。
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一日遅れましたが、更新です!
……ちょっと、別の作品を準備してたら、更新が遅くなりました。
すみません。
さてさて、作者が結構気に入っているチャーはいかがでしょうか?
タロも天然だけど、チャーも天然です。
その天然の方向性は……ある意味同じですけどね。
それでは、次回も楽しく書いていきますねっ。
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