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第一章 アルトルム王国の病
第三十四話 薬作り
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「ふにゃあ(よく寝たのだ)」
パクの花探しは、案外リツが活躍し、それなりの数を確保できた。しかし、さんざん動き回ったせいか、我輩、途中でバルディスに抱えられて眠ってしまったのだった。
「おっ、目が覚めたか」
大きくあくびをしていると、バルディスが我輩の居る部屋へとやってきた。そう、部屋。ここは、あの宿屋の一室であった。
何やら荷物を持っているバルディスに、我輩、あれからどうなったのかを聞いてみる。すると……。
「あぁ、パクの花を見つけたは良いんだがな、薬にするにしても、それを人間に渡すにしても、伝がないんだ。それで、今、それをどうするか話し合ってたところだ」
そう言われて、確かに、薬の材料はパクの花の花弁とハチツボ草の葉を擂り潰すとあったが、どの割合だとかいった具体的なことが示されていなかったことを思い出す。
そして、もし薬ができたとしても、それを人間に渡すのは難しいだろう。今、この件に関わっているのは、魔族三人と猫二匹なのだから。
「にゃ(確かに、それは問題なのだ)」
きっと、この問題を解決するには、誰か人間を加えれば良いのだろうが、正体を隠したいバルディス達には難しい。かといって、我輩やチャーが人間に訴えたところで、言葉は通じない上、猫の戯れ言としか捉えてもらえないだろう。
と、そこで、バルディスが持っていた荷物の中から、丸くて白い花弁が特徴のパクの花と、見覚えのない壺のような形をした草を取り出す。
「にゃあ(『探索』なのだ)」
分からないものは、探索能力を使用した方が早い。そう思って、我輩、じっと草を見つめて能力を発動する。
『ハチツボ草の葉
恐ろしく甘い植物。
誤って口にすれば、竜でさえ昏倒するほどに甘い。
妖精の主食であるため、ハチツボ草が多く集まる場所には妖精が住み着いていることも多い。
パクの花の花弁と一緒に擂り潰すと、マリス毒の特効薬になる』
バルディスが『探索?』と聞いてくるのをひとまず置いておいて、我輩、その説明をよくよく読み込む。
むむむ、やはり、薬の作り方の具体的な方法が書かれていないのだ。
ちょっと残念に思いながら、我輩、パクの花とハチツボ草の二つを視界に入れ、ため息を吐こうとした……が、その前にとんでもないことに気づいた。
『パクの花の花弁とハチツボ草の葉
マリス毒の特効薬、『ドキン薬』の材料。
パクの花の花弁、十に対して、ハチツボ草の葉を一加え、すり鉢で擂り潰し、水を少量加えて液状にすれば完成。
ハチツボ草を一枚加えるだけの量で、およそ十人分の薬になる』
「にゃっ! (おぉっ、これはっ!)」
ほしい情報が偶然手に入り、我輩、声を上げて喜ぶ。
「どうかしたのか?」
そして、訝しげに聞いてくるバルディスに、我輩が、『探索能力』の結果を告げると、バルディスも喜んでくれたのだ。
……まぁ、味が気になるところではあるが、きっと大丈夫であろう。
そんなわけで、我輩達は、薬を一人と一匹で作ることにしたのだった。
ゴリバキバキッ……ゴリゴリゴリ……。
ジョロジョロピチュンッ、ドロォ…………ジョロジョロ……。
薬のレシピ通り、我輩達は頑張った。所々おかしな音が混じっているのは…………察してもらえるとありがたいのだ。
そうして、完成した薬(鉛色の液体)を入れた小瓶を前に、我輩達は、完成を喜び、互いに称え合うのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……何だか、薬作りの風景がとんでもないことになったので、音声のみでお送りしております。
『薬の色じゃないだろっ!』だとか、『味は……大丈夫?』だとかの突っ込み及び疑問は、ドシドシ募集中です(笑)
次の更新は、二日後くらいにできたらいいなぁと思いながら、頑張ってみます!
それではまた。
パクの花探しは、案外リツが活躍し、それなりの数を確保できた。しかし、さんざん動き回ったせいか、我輩、途中でバルディスに抱えられて眠ってしまったのだった。
「おっ、目が覚めたか」
大きくあくびをしていると、バルディスが我輩の居る部屋へとやってきた。そう、部屋。ここは、あの宿屋の一室であった。
何やら荷物を持っているバルディスに、我輩、あれからどうなったのかを聞いてみる。すると……。
「あぁ、パクの花を見つけたは良いんだがな、薬にするにしても、それを人間に渡すにしても、伝がないんだ。それで、今、それをどうするか話し合ってたところだ」
そう言われて、確かに、薬の材料はパクの花の花弁とハチツボ草の葉を擂り潰すとあったが、どの割合だとかいった具体的なことが示されていなかったことを思い出す。
そして、もし薬ができたとしても、それを人間に渡すのは難しいだろう。今、この件に関わっているのは、魔族三人と猫二匹なのだから。
「にゃ(確かに、それは問題なのだ)」
きっと、この問題を解決するには、誰か人間を加えれば良いのだろうが、正体を隠したいバルディス達には難しい。かといって、我輩やチャーが人間に訴えたところで、言葉は通じない上、猫の戯れ言としか捉えてもらえないだろう。
と、そこで、バルディスが持っていた荷物の中から、丸くて白い花弁が特徴のパクの花と、見覚えのない壺のような形をした草を取り出す。
「にゃあ(『探索』なのだ)」
分からないものは、探索能力を使用した方が早い。そう思って、我輩、じっと草を見つめて能力を発動する。
『ハチツボ草の葉
恐ろしく甘い植物。
誤って口にすれば、竜でさえ昏倒するほどに甘い。
妖精の主食であるため、ハチツボ草が多く集まる場所には妖精が住み着いていることも多い。
パクの花の花弁と一緒に擂り潰すと、マリス毒の特効薬になる』
バルディスが『探索?』と聞いてくるのをひとまず置いておいて、我輩、その説明をよくよく読み込む。
むむむ、やはり、薬の作り方の具体的な方法が書かれていないのだ。
ちょっと残念に思いながら、我輩、パクの花とハチツボ草の二つを視界に入れ、ため息を吐こうとした……が、その前にとんでもないことに気づいた。
『パクの花の花弁とハチツボ草の葉
マリス毒の特効薬、『ドキン薬』の材料。
パクの花の花弁、十に対して、ハチツボ草の葉を一加え、すり鉢で擂り潰し、水を少量加えて液状にすれば完成。
ハチツボ草を一枚加えるだけの量で、およそ十人分の薬になる』
「にゃっ! (おぉっ、これはっ!)」
ほしい情報が偶然手に入り、我輩、声を上げて喜ぶ。
「どうかしたのか?」
そして、訝しげに聞いてくるバルディスに、我輩が、『探索能力』の結果を告げると、バルディスも喜んでくれたのだ。
……まぁ、味が気になるところではあるが、きっと大丈夫であろう。
そんなわけで、我輩達は、薬を一人と一匹で作ることにしたのだった。
ゴリバキバキッ……ゴリゴリゴリ……。
ジョロジョロピチュンッ、ドロォ…………ジョロジョロ……。
薬のレシピ通り、我輩達は頑張った。所々おかしな音が混じっているのは…………察してもらえるとありがたいのだ。
そうして、完成した薬(鉛色の液体)を入れた小瓶を前に、我輩達は、完成を喜び、互いに称え合うのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
……何だか、薬作りの風景がとんでもないことになったので、音声のみでお送りしております。
『薬の色じゃないだろっ!』だとか、『味は……大丈夫?』だとかの突っ込み及び疑問は、ドシドシ募集中です(笑)
次の更新は、二日後くらいにできたらいいなぁと思いながら、頑張ってみます!
それではまた。
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