我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第一章 アルトルム王国の病

第四十七話 エルブ山脈攻防(二)

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 一番に動いたのはバルディスだった。

 長剣を素早く抜き放ち、仮面の魔族へと一瞬で肉薄する。そして……。


 ガキンッ!


 激しい金属音とともに、剣が戦斧に防がれる。


「アァァアッ」

「っ!?」


 しかし、力は拮抗すらしない。圧倒的な馬鹿力で戦斧を扱う仮面の魔族は、すぐさまバルディスの剣を弾き、その胴に、鈍い光を降り下ろす。


「『加速』『加速』『加速』っ」


 普通に防ぐにも避けるにも間に合わないと思ったバルディスは、『加速』を重ねがけして転がりながらそれを避ける。

 ズシンッと地面が悲鳴を上げる音を聞きながら、バルディスは吹き付ける突風に流されるように飛び上がり、体勢を建て直す。

 そうしている間に、他の戦いが動き出した。




 バルディスが『雑兵』と称した通り、周りに居る騎士達は、ラーミアやディアムの敵ではない。ただ、数の多さが問題でもある。

 ディアムが影を用いて騎士達を串刺しにしていく間に、ラーミアは双剣を手に次々に騎士達をほふっていく。二人とも、早く、バルディスに合流するために必死でそれらを処理していく。

 しかし、現実は厳しかった。


「お、おい、あれっ」

「な、なんだ? どうなってっ」


 それは、ラーミアとディアムが殺そうとしている騎士達からの声だった。その声にいち早く気づいたラーミアは、襲いかかってきた騎士を弾き飛ばしながら戦場をサッと眺める。


 いったい、何が?


 戦場において、情報の遅れは時に命取りにもなる。それをよく理解しているラーミアは、戦いに身を置きながらも観察し……ようやく、異変に気づく。

 殺したはずの騎士達が、立ち上がってきていたのだ。


「っ、ディアム! 騎士は手足全てか、頭を吹き飛ばしてください!」

「っ、承知!」


 指示を出せば、ディアムは即座にその意味を理解する。なぜなら、あのスラムでの戦いを覚えているから。仮面の魔族が、ネクロマンサーだという疑いを思い出したから。
 帝国の騎士の様子から、彼らはそのことを知らなかったのだろうが、そこに同情することはない。生身の人間だろうが、ゾンビだろうが、ラーミア達にとって、敵であることに代わりはないのだから。

 そうして、ディアムが影を飛ばして首をはねるように戦術を変え、ラーミアも自身へ肉体強化の魔法をかけて首を切断していくようになった頃。突如として、聞き覚えのある悲鳴が上がる。


「ぐあぁぁあっ!」

「「っ、バル!?」」


 バルディスは、力で敵わないことが分かってすぐ、魔法による撹乱と『加速』魔法による回避とを使用していたが、どこかでそれが崩れたらしい。バルディスの左腕は、無惨にも切り離されてしまっていた。

 魔王であるバルディスは、魔王であるべく、日々肉体を鍛えてきた。が、いかに鍛えているとはいえど、腕を切り落とされて平気なはずがない。

 そして、それは致命的な隙となった。

 降り下ろされる戦斧。

 全てがスローモーションに見える錯覚の中、懸命に自らの主を助けようと騎士を振り払うラーミアとディアム。

 しかし、それはやはり間に合うことはなく、絶望が降り注いだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


う、うーむ、やっぱり、かっこよくというのは無理があったか?

混戦だから余計に難しいというのもありますが…………色々と読んで、戦闘シーンの描写が上手くできるよう頑張ってはいるんですけど、難しいです。(い、いや、でも、もしかしたらかっこいいって言ってくれる人もいるかも?)

次も引き続き戦闘シーンです。

戦闘シーン、戦闘シーン……頑張ります。

それでは、また!
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