我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第一章 アルトルム王国の病

第四十九話 エルブ山脈攻防(四)

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 ふうむ、どうにか、間に合ったのだ。


 バルディスに背を向け、仮面の魔族を威嚇する我輩は、そっと安堵する。


 バルディスの腕が切り落とされた瞬間は、冷や汗ものだったのだ。


 そう、我輩は、ずっと見ていた。バルディス達が宿屋に居るときからずっと……。




 バルディスに『仲間だったわけではない』なんていう酷い言葉を投げかけられた直後、我輩、外に飛び出して考えたのだ。


 バルディスは、本気で言っているように見えなかったのだ。きっと、何か裏があるのだ。


 そう考えてしまえば、あの不自然な程の突然な拒絶も納得できる。


 確か、こういう時は……『とうちょー』と『かんし』をすれば良いのであったな。……今までは一度も成功したことはないが、きっと、今の我輩ならできるのだっ。


 かつて、飼い主がどこに食べ物を隠しているのかを知ろうと、そーっと近づいて観察しようとしたことがあったが、それは見事に失敗した。なぜか、飼い主は我輩を見つけてしまったのだ。
 そして、ニッコリと笑って、お風呂に連れて行かれ……。うむ……あれは、地獄だったのだ……。

 その地獄を思い出してブルリと震えた我輩は、ひとまず建物の影に隠れる。そして、小さく鳴いて呼び掛けた。


「にゃあ。にゃーにゃ。にゃー? (サポートシステムよ。我輩、誰にも気づかれず、バルディス達の様子を知りたいのだ。何か方法はないだろうか?)」

《『サポートシステム』起動します。これより、最適方法を選出します。……最適方法、魔法の使用を推奨します。闇の魔法による『闇化やみか』が適切です。サポートは必要ですか?

はい/いいえ 》


 と、ここで、我輩、いつもなら『はい』を選択するところであったが、そもそもこのサポートが何かを知らなかったことに思い至る。


「にゃあ? (サポートはどのようなことをするのだ?)」

《この場合のサポートについては、タロ様の代わりにサポートシステムが術の行使を行い、その結果のみを提供するものです》

「にゃにゃ? (サポートなしでも発動できるのだろうか?)」

《現在、タロ様の魔力熟練度はこの術を行使できるレベルにありません。答えは否。魔力熟練度を上げれば可能です》

「にゃ? (魔力熟練度とは、どのように上げるのだ?)」

《魔法を行使する、もしくは、魔法訓練を行うことによって上がります》


 そんな答えを聞いて、我輩、すぐにはどうにもならないことを悟る。そして……。


「にゃ(いつも通り、『はい』を選択するのだ)」


 結局、我輩はサポートシステムに魔法の行使を任せるのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


う、ううむ……戦闘回にするつもりが、回想が長くなってしまった。

まだ次も回想……もしかしたら、ちょこっと戦闘シーンに入るかも、くらいですね。

入れたいシーンが多いのも困りものです。

次回も、明日、更新しますね。

それでは、また!
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