我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第九十一話 ひ・み・つ!

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 改めて通された部屋には、元々椅子が三脚しかなかったので、赤髪の青年がさらに三脚持ってきて丸テーブルを囲うように置いていく。


「よぉし、これで良いだろ」


 話し合いの場が整い、赤髪の青年はドカッと椅子に座る。俺達もそれを見て各々固まって座り、レジスタンスのメンバーと対面する。


「まずは、自己紹介といこうかの」

「あぁ、そうだな。ならまずは俺達の方からとしようか」


 そうして、俺達はそれぞれに自己紹介を行う。


「俺はバルディスだ」

「ラーミアです」

「ディアム」


 それに対して、レジスタンスの三人も倣うように名前を言う。


「ロッダだ」

「ノルディだわい」

「俺は……説得力を引っ張り出してくるから、待ってろ」


 ただ、赤髪の青年だけは、そう、良く分からない言葉を言い残して、部屋を出ていく。


「どういう意味だ?」


 名前の紹介になぜ説得力がいるのかが分からず、俺がラーミア達の意思を代表して言えば、ロッダと名乗った男の子はふいっと視線を逸らす。


「すぐに分かる」


 そして、そのロッダの言葉は真実だった。

 数分後、扉がノックされ、ノルディと名乗った老人が入室を許可すると、そこには、赤髪の美女が立っていた。


「私はリリナよ。よろしくね?」


 パチリとウィンクを寄越す美女に、俺は、魔力の質が先程の赤髪の青年と全く一緒であることに気づく。気づいてしまう。
 声はバリトンからソプラノへ、顔は精悍なものから気の強そうな美形へ、体型はスラリとしたものから肉感的なものへと変わっているというのに、魔力だけは同じ。

 夢か幻覚かと疑うほどに変化した彼、もしくは彼女に、俺達はしばし、声を失う。


「って、言っても分からねぇよな。ほら、俺だ俺。さっきまで一緒に話してた男だ」


 声を失った俺達に何を思ったのか、赤髪の美女、リリナは『ほら』のところから声を男だった時のそれに変えて、説明という名の追撃を加えてくる。理性が間違いなくリリナとあの赤髪の青年は同一人物だと伝えてくるのに、常識がそれを否定する。


「やはり、リリナの自己紹介は刺激が強すぎるのう」

「慣れてもらわなくては困る。一応、こいつらは使える人間なのだからな」


 ただ、俺達の立ち直りはわりと早かっただろうとは思われた。何せ、猫が勇者をやっていて、魔王と旅をしているという常識破りな出来事を経験しているのだ。これくらいで、男が女に変化したくらいで話ができなくなってしまうわけにはいかない。


「少し驚いたが、その、リリナは……どっちなんだ?」

「おっ、立ち直りが早いわね。そうねぇ、性別に関しては、ひ・み・つってことで」


 男性か女性か分からないリリナは、その性別を秘密だと人差し指を口許に立てて言う。その様は、いかにも女性のそれで、とりあえず、この美女姿の時は女性として扱おうと心に決めるのだった。


「メンバーも揃ったことだし、話の続きをしようかの」


 そうして、本格的な話し合いが始まるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


やっと、やっとリリナが登場……というか、登場自体はしていましたが、種明かし成功!

いやぁ、こういうキャラクターが居ると楽しいかなぁと思って作ったキャラなので、ちょっと愛着が……。

ううむ、だからといって、あまり傾倒しすぎないようにせねばっ。

それでは、また!
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