我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第九十九話 引っ越し大作戦(二)

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 タロの疑問に、俺は、タロが魔力切れという概念を知らない可能性に思い至る。考えてみれば、タロが魔力を切らしているところなど見たことがない。


「魔法を使う時、魔力が減るのは分かるか?」

「にゃ(分かるのだ)」

「その魔力の量が少なければ、行使できる魔法も少なくなるんだ」

「……にゃあ。にゃにゃあっ。にゃーにゃ(……なるほど。でも、それなら問題ないのだっ。我輩、魔力はいつもそんなに使うことないのだ)」

「……具体的な量が分かれば良いんだがなぁ」


 タロの話を聞いていると、どれだけの魔力を普段使っているのかが良く分からない。あまり少ない量ではなさそうだったが、かといって多目に見積もるなんてこともできない。

 どうしたものか、と頭を悩ませていると、タロは俺の足をテシテシと叩いてくる。


「にゃあにゃあ(バルディス、我輩の魔力量は一億らしいのだ)」

「いっ!?」


 『一億!?』と叫びそうになるのを我慢して、俺は平常心を心がける。通常、人間で魔力の多い者が千前後、魔族では三千から六千、魔王ともなれば、七千か八千といった値になってくるのだが、タロのそれは、魔王を軽く越えた値だった。

 それなりに多いだろうとは思っていたものの、まさかこれほどまでとは思わなかった俺は、これなら作戦も実行できると考えると同時に、悪用された場合の恐怖を思って内心ゾッとする。タロ自身が善良なのは分かっているつもりだが、それを利用する者が現れないとも限らない。後で、このことは誰にも言わないよう口止めをしておくべきだろう。


「……分かった、タロ。今回の作戦、お前に任せるぞ」

「にゃっ! (分かったのだっ!)」

「大丈夫そうなの?」

「あぁ、タロなら、必ずやり遂げられる」


 半信半疑といった様子のリリナにそう言えば、とりあえずはうなずいてくれる。


「はぁ、あんた達みたいな手練れが、誰も『転移』が使えないとは思わなかったわ。『転移』できれば楽だったのに」

「まぁ、それは仕方ないですわ。それでも、タロが居るのですから、大丈夫ですわよ」


 本当は、俺達全員、『転移』は使える。ただ、ファルシス魔国から飛ばされた際の呪いによって、一時的に使えなくなっているだけだ。だから、俺達は内心がどんなに複雑でも、タロに頼るしかない。


「土魔法に関してはこちらからも手を貸そう。幻術は、さすがに使える者が居るかどうか分からないから、何とも言えないがの」

「それで頼む。それじゃあ、そろそろ移動をしよう」


 元サナフ教国二日目の朝。俺達は、レジスタンスをまた助けに行くことになったのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


……すみません、作戦、始動しなかったです。

バルディス視点じゃないと説明できないこととかあったので、バルディス視点で話を進めましたが、あまり話自体が進まなかった……。

次こそは、作戦始動です!

そしてそして、また匿名さんからのイラストです。

今回は、ガリガリを使った姿です。

かっこいいというより可愛いと思ってしまう私の目はおかしいだろうか?



それでは、また!
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