我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第二章 反撃のサナフ教国

第百三話 窮状を伝える者(二)

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 話し合いの内容は、いかにしてクーデターを成功させるかということだった。話を聞いていると、これ以上レジスタンスが増える見込みがないのだそうで、仕掛けるならそろそろだとのこと。


「これだけの戦力でか?」

「これだけの戦力で、だ」


 バルディスの問いに、ロッダが大真面目に答える。しかし、バルディスの様子を見る限り、それは無謀なことなのだろう。ただ、だからといって、我輩に考えがあるわけでもない。我輩はやはり猫。人間の細かなことにはどうしても疎いのだ。


「……何か策があるのでしょうか?」

「えぇ、あるわよ。でなきゃこんな無茶は言わないわ」


 あっさりと肯定したリリナに、ハーグは眉間にしわを寄せる。


「この男女っ、こんな奴らに作戦を伝えては、何があるか分からんのだぞっ! ロッダ様。やはり、このような者達と関わる必要はございません。どうか、私にこの者達を排除する命令を」

「ならん。バルディス達は貴重な協力者だ。そんなに不満なら、ハーグ隊長、お前が出ていけ」

「ぐっ」


 ロッダに厳しく叱責されたハーグは、言葉を詰まらせる。しかし、そこを動く気はなさそうだった。


「隊長ー。話し合いの邪魔をしちゃあダメじゃないですか。ほら、眉間のしわをとって、穏やかに、穏やかにっ」

「ええいっ、うるさいっ! これは元からだっ」

「おっと、そいつは失敬」


 グリグリと眉間のしわを伸ばす勇者は、我輩ではなくジルクであった。そして、鬱陶しそうにふ払われると、堪えた様子もなくニコニコと笑う。


 うむ、あのジルクは面倒な人間なのだ。


 きっと、ジルクという人間は、どんな状況でも物怖じせず、ヘラヘラと笑いながら何もかもこなしてしまえるのだろう。そういう人間を相手にするのは、とても疲れるのだ。


「それで、策というのは?」

「あぁ、策、と言えるかどうかは分からないが、セイクリアに助力を求めることが一番だと考えている」

「西に位置する大国、セイクリア教国か。しかし、助力してもらえるあてはあるのか?」

「正直、僕にも分からない。ただ、サナフ教国とセイクリア教国は長い付き合いのある国だし、ミルテナ帝国と敵対関係にある。全く何も示されないということはないと思っている」


 そんな言葉に、バルディスが顔をしかめるのが分かった。どうやら、曖昧なものへ挑戦しようとしているらしいロッダに、不安を覚えているらしい。
 しかし、それでもロッダは言葉を続ける。


「そして、こちらの窮状を知らせる使者として、リリナとあなた達の中の誰かに向かってもらいたいんだ」

「何だと?」

「にゃ? (我輩達のうちの誰か?)」


 ぼんやりと聞いていたら、何やらおかしな展開になったようだと、我輩、声をあげるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さぁて、ここからどうなるっ!

というところで、今回は終わりです。

次回は…………ちょっと別視点を予定しています。

誰かは秘密ですが。

それでは、また!
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